氷肌玉骨 ~氷のような君との物語~
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私は理事長に妊娠したことを告げると、目を見開き、頭を抱えていた。
「こんな大事な時に・・・!!」
そりゃあ、そうよね・・・。こんな大事な時に、妊娠だなんて・・・。
「それで?相手は知ってるのか?」
「いえ、知りません。もう別れましたから・・・。」
「はぁ!?」
私は包み隠さず、彼と交際していたことを話し、お腹の子供の父親も彼だと告白した。
「あの人には言うつもりはありません・・・。言ったら、迷惑になるかと思うので・・・。」
「・・・。」
「けど、私はこの子を産んで、育てたいです・・・!!仕事も今まで以上に頑張ります・・・、劇団を辞めるつもりはありません・・・、お願いします・・・!!」
私は頭を下げると、
「・・・わかった。そこまで本気なら許可をする。ただし、」
「・・・!!」
「安定期になるまでに仕事を続けろ。他の団員には言わないでおく。けど、お前が信頼している奴だけに言った方がいい。
安定期が入ったら、私も援助する。マリア、お前は1人じゃない。それだけは忘れるな。」
「ッ・・・!!ありがとう、ございます・・・!!」
こうして、私は安定期が入るまで仕事を続けた。理事長の言うとおり、七海を含む理解者である数人の団員に妊娠したと告げると、
「おめでとう」と祝福してくれ、「私たちもできる限り、助けますので!」と言ってくれて、私は胸が少し軽くなった。
安定期が入り、私は仕事をお休みとなった。理事長が私のためにお金を援助してくれて、このお腹じゃ外に出られないと七海たちに、買い物とかしてくれて、正直、助かってる。
今は8ヶ月になり、後2ヶ月で出産。定期検診の時に性別が女の子だと判明した。お腹を撫でているとふと自分の姿を鏡で見て、もう5ヶ月も切ってない肩につく長さの髪。
別れた今でも、まだ彼のことを思ってる、まだ彼のことが好き。
もう恋なんてしないと決めていたのに、彼が現れてから、また恋をしたっていうのに自分でも驚いている。
彼はその後、メジャーデビューをし、音楽番組とかテレビの出演が増えた。テレビで映ってる彼を見て、これでよかったんだと自分を言い聞かせている。
けど、本当は・・・、彼に会って、妊娠したことを告げて、お互いに喜びあって、一緒に育てたかった・・・。まだ見ぬ娘と一緒に・・・。
そう思うと私は今まで我慢していた涙が流れ、お腹を支えながら、膝から崩れ落ちた。
その時、インターホンが鳴り、七海かと思った私は涙を拭き、お腹を抱えながら立ち、玄関に向かい、ドアを開けるとまさかの彼がいた。
5ヶ月前より髪も長くなり、少し痩せていて、彼女のお腹は既に大きくなっていて、どうやら、産むことを決心したのかと確信をした。
「ヨシキ、さん・・・?」
「とにかく、上がらせてくれない?ここじゃ、なんだから・・・。」
俺がそう言うと彼女はすかさず、家を上がらせてくれて、わざわざ、お茶も用意してくれた。
「単刀直入に言うけど、そのお腹の子は俺の子なんでしょ?」
「ッ・・・!!」
彼女は俺の言った言葉に目を見開いていたが、
「な、何を言ってるんですか・・・!?そんなわけないでしょ・・・!?」
「君と仲が良い七海ちゃんから聞いてる。後、住んでるマンションも教えてくれた。」
「ッ・・・!?(七海、言わないでって言ったのに・・・!!)」
「それで?本当なの?」
「・・・はい。本当です。」
マリアは観念したのか、俺の子供だと認めた。
「なんで、あの時に言わなかったの?」
「・・・だって、ヨシキさんはバンドとして大事な時期ですし、もうすぐデビューするって言う時に言ったら、迷惑になるかと思って・・・。」
「それで、別れを・・・?」
「・・・はい。」
この5ヶ月間、そこまで、悩んでたなんて・・・。
「マリア、ごめん・・・。」
「え・・・?」
「あの時、俺の不注意のせいで、こんなに悩んでたなんて・・・。まさか、妊娠してるなんて思ってもみなかったし・・・。」
「私もです・・・。けど、あの時に、「このまま、ヨシキさんとの子供を身籠ればいいのに・・・。」って思っていたんです・・・。けど、安心してください。私、1人で育てますから。あなたに迷惑をかけるつもりはありませんので・・・。」
無理な笑顔で言う彼女に、俺は彼女の家に向かう時の決心はもうついた。
「マリア、結婚しよう。」
「え・・・?」
「もちろん、子供がデキたから、責任を持って結婚しようと言ったわけじゃない。本当は俺が安定した時にプロポーズをしようと考えていた。でも、妊娠は予想外だったけど、俺は嬉しいよ。俺と君の血を分けた子供が。」
「・・・。」
「俺、マリアと別れてからの5ヶ月間、がむしゃらのように仕事とバンド活動に打ち込んだ。けど、マリアのことは1度も忘れられなかった。やっと、心から笑ってくれる笑顔、君といた日々を・・・。」
「ヨシキさん・・・。」
「マリアには苦労するかもしれないけど、俺は、マリアと、お腹の子供を、必ず、幸せにする・・・!」
マリアは一瞬、目を見開いたが、
「・・・私、ヨシキさんと別れてから、1度も忘れたこともありませんでした。寧ろ、振ってしまったことを後悔していて、まだ、あなたのことが好きな自分がいるんです・・・。
ヨシキさんと出会ってから、もう恋なんてしないと決めていた私が、こんなにもヨシキさんのことが好きで、また恋をした事に、自分でも驚いていて・・・。」
「マリア・・・。」
「私、ヨシキさんと、家族になりたい・・・。一緒に人生を歩んでいきたいです・・・。私の事だけじゃなくて、お腹の子供と一緒に・・・。」
マリアは泣きながら、俺のプロポーズをOKしてくれた。
「マリア、一緒に幸せになろう・・・。」
「はい・・・。」
その後、俺はマリアとお互いの家族と挨拶に行き、メンバーや事務所にも結婚の報告した。驚いてはいたけど、祝福してくれた。
極秘結婚という形に済ませ、俺たちは入籍した。その2ヶ月後の7月に元気な女の子が無事に生まれた。
「生まれたんだ・・・!?マリア、よく頑張ったね・・・!」
「はい。元気な女の子・・・って、へっ!?」
マリアは俺たちの変装を見て、あっけらかんとしている。
「ほぉ~、これがお前の子供か・・・。」
「とってもかわいい・・・。」
「天使みたい・・・。」
「癒やされるわ~♡」
「プッ、ククッ・・・。」
七海ちゃんはミキを除く、俺たちを見て、笑いを堪えている。
「ヨシキさんたちの・・・、その格好はなんですか?」
「実は、七海ちゃんが俺たちの姿を見て、「これじゃ、バレるよ!」と言われ、七海ちゃんプロデュースで変装を手伝ってくれたんだ。」
「この格好、すっげぇ恥ずかしいけど・・・。」
「変装というより、女装だけど・・・。」
「ヨシキさん・・・、この子の顔見て、ドン引きしてます・・・。」
「う・・・。」
マリアがそう言うと、生まれたばかりの娘は俺たちの格好を見て、ドン引きしていた。
「え、ええぇ・・・。ドン引きされるのはちょっと、ショックだなぁ・・・。」
「アッハハハ・・・!!意外な反応ね~!!」
「生まれたばっかりなのに、これを見てドン引くとは・・・。意外と分かってるな・・・。」
「将来、大物になれそうね~。」
「マリアさんみたいなしっかり者になれそうだなぁ~・・・。」
「そうだね。」
生まれた娘の名前は「歌音」と名付けた。マリアは出産後、舞台に復帰し、以前と変わらぬ人気ぶりだった。
俺もデビュー後はバンドとして成功し、日本武道館、東京ドームでのライブ、そして、紅白歌合戦にも出場した。
家庭は順調だけど、仕事の方は全然順調じゃなく、世界進出のためにアメリカへ拠点を移した。マリアと歌音を置いて。ボーカルのトシの英語の発音で当時の俺もイライラしていた。
無理だと分かっていてもつい、トシにキツく当たるのは俺の悪いクセだった。
暇な時はたまに日本に帰り、家族との時間を過ごした。歌音の笑顔を見るとイライラが吹っ飛ぶし、マリアから優しく介意してくれた。
彼女は俺と結婚してから、俺がヘルニアを発症し、忙しいにもかかわらず看病してくれたり、消化の良い食べ物も作ってくれたり、
「Xの世界進出」のことを話したら、反対することもなく、俺に背中を押してくれた。
結婚して7年目にマリアが2人目を妊娠し、「引退」「結婚発表」のことを話した。
「今まで、仕事と育児を両立してましたけど、これからはあなたを支えることと、子供といる時間を専念したいとずっと思ってました・・・。それに、いつまでもコソコソと結婚したことを隠す訳にはいかないなと思ってまして・・・。」
と言っていた。俺は元々、反対はしていない。マリアは十分、頑張ってるし、逆に俺は忙しくて、家の事を全然していない事をずっと、申し訳なく思ってた。それにいつかは俺たちのことがバレるとずっと、思ってたから、俺はマリアの意見を承諾をした。
俺はマリアと共に後日、結婚会見を開く事になった。
続く
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