氷肌玉骨 ~氷のような君との物語~
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七海が女性と楽しそうに話してるのを横目で見ていた時に、
もう1人いた男性に話しかけられてきた。
彼の名前はヨシキ。Xというインディーズのバンドでドラムとピアノを2足わらじでしている。
すごいわね、ドラムとピアノを同時にやってるのは・・・。
それから、彼が暇さえあれば私を会い来てくれるようになった。
自分でもわからなかったけど、何故か、自分の過去を自然と彼に話した。彼は見た目によらず、私の話を真剣に聞いてくれた。
私の話が終わった後、彼が自分の過去のことを話してくれた。
年齢は私より3つ年上だった。顔が幼く見えたから学生だと思ってた。
私とは反対で裕福な家庭に育てられたけど、小さい頃は身体が弱く、小児喘息を患っていて、入退院を繰り返していた事。
病弱な彼を心配してくれた、大好きだった父親が自殺。中学になると大人達への反抗心が芽生え、不良になり、喧嘩に明け暮れていた事、幼なじみでもあり、バンドメンバーのトシさんのことも話していた。
幼くして死を考えるようになるなんて・・・、大人達への不信感と反抗・・・。喧嘩に明け暮れていた日々・・・。私たちは違うけど、同じなんだ・・・。
そう思ってからか、私は彼のことが気になるようになり、
私から会いに行くようになった。
私の誕生日当日に彼と七海の友達でもあり、彼のバンドメンバーの人が楽屋にやってきた。
帰ろうとした彼がメンバーに背中を押され、私の前に来た彼は照れくさそうな感じで私に花束を渡された。
それは赤い薔薇とピンクのガーベラというかわいい組み合わせの花束だった。
ファンからのプレゼントは高価な物だけじゃなく、花束もあったが、どれも白と黒、青の寒色系の花だったが、こういうかわいい色の花束を渡されたのは初めてだった。
私は彼からのプレゼントが嬉しくて、ふと頬が緩んだ。
それから、私は暇さえあれば、彼のライブに行くようになり、楽屋にも行くようになった。
違ったのが、普段の彼とライブの時の彼の差だった。
普段は穏やかだけど、ライブになると髪型も半分立てて、派手なメイク、激しくヘッドハンティングしながらドラムを叩き、美しくピアノを演奏している姿に釘付けとなった。
「どういう風の吹き回し?次の舞台があるでしょ?なのに、来て大丈夫なの?」
「いいんです。私が行きたくて、来てるだけですから。次の舞台、違う人で私は出ないんです。それに初めて見ましたけど、ロックってすごく開放感があって、細い身体なのにドラムを激しく叩くって衝撃を受けますね。」
「・・・。///」
知り合って2ヶ月、彼は私に告白をし、私は何も言わず、ただ頷いて、側にいた。まだ、あの人との思いが消えた訳じゃない。
ただ、彼は嘘とかつかないから、信じようと私たちは付き合い始めた。その時の彼はまだインディーズのバンド、私は人気絶頂のトップスター。身分差の恋だった。
来年の3月に彼たちのデビューが決まり、私は祝福した。
「ヨシキさん、これからも私の側に、いてくれますか?」
「もちろんだよ。」
と彼は笑顔で言うと、そっと私の唇をそっと重ね、私たちは一夜を共にした。
あれから、3ヶ月が経ち、私は稽古中に倒れた。ここ最近、体調が優れなくて、食べ物のにおいだけで気持ち悪くなり、吐き気でトイレに駆け込むことも多々あった。
次に目覚めた時ら、ここは病院だった。先生からこんな事を告げた。
「あなた、妊娠していますね。」
「・・・え?」
「妊娠」というワードに私は頭が真っ白になり、冗談かと思ったけど、3ヶ月だと言っていた。
やっぱり・・・、あの時・・・!!彼に言うべき・・・?
けど、いきなり「妊娠した」って言ったら、困るに決まってる・・・!!メジャーデビューを控えてるのに・・・!!
私は彼に困らせたくないと、別れを告げた。
「別れてください・・・。」
「え?なんで・・・。」
「ごめんなさい・・・、勝手なのはわかってます・・・。けど、
あなたに迷惑をかけたくありません・・・!」
と私は泣くのを堪えて、去って行った。
赤ちゃん、ごめんなさい・・・、パパはいないけど、ママが立派に育ててあげるからね・・・。
私は堕胎はせず、産むこと、1人で育てることを決意した。
続く