氷肌玉骨 ~氷のような君との物語~
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公演が終了し、ミキが歌劇団のメンバーと知り合いだったらしく、俺と一緒に楽屋へと行った。
そこにはあの彼女もいた。近くで見る彼女は俺と同じぐらいの身長の高さでより美しいけど、どこか近寄りがたいオーラがしていた。
それはまるで氷のように冷たかった。
俺は彼女のことが気になり、勇気を出して、彼女に話しかけた。
彼女の名前は橘 マリア。俺より3つ下で父親はロシア人とウクライナ人のハーフで母親が日本人。俺より年下とは思えないほど大人っぽく、冷静沈着でお姉さん的な存在だった。
それから、俺は暇があれば彼女と会うようになった。
「両親はいません。私が幼い頃に亡くなりました。」
聞けば、当時のマリアの家は貧しく、小さいながらも欲しい物を我慢していて、日本に一時期住んでたが、混血、ハーフが原因でいじめられていたことや、兄と慕っていた愛する人が亡くなるなど辛い過去だった。それ以来、彼女はトラウマを持ち、何も信用できなくなり、心を閉ざしたと話していた。
彼女も相当、苦労をしていたんだな・・・。
俺と同じく、幼くして大好きだった人を亡くすって・・・。
俺も彼女の過去を聞いた後、自然と自分の過去を話した。
それがきっかけなのか、彼女は徐々に俺に心を開きかけたのか、
彼女から会いに来てくれるようになり、色々とお話をした。
「マリアの誕生日はいつなの?」
「・・・6月19日です。」
「6月19日・・・、それって、来週・・・?」
「はい。」
知り合って1ヶ月、俺は彼女の誕生日を知らず、何の準備もしてなかった。俺は急いで何が良いかと考えていたけど、当時はお金に余裕がなく、なるべく、自分が買ったやつで渡したいと思い、
誕生日当日、赤い薔薇とピンクのガーベラの花束にした。
ファンから誕生日プレゼント、高価な物とか、花束とかいっぱい貰ってるかもしれないけど、どうしても、彼女に渡したいていう思いが勝っちゃう。
僕はミキを付き添い、楽屋に行くと、ファンから彼女への誕生日プレゼントの山がいっぱいだった。
帰ろうとした俺にミキは背中を押し、俺は勇気を出し、彼女に花束を渡した。すると彼女は一瞬、驚いてはいたが、頬がちょっと赤くなりながら、嬉しそうに微笑み、すっと、受け取ってくれた。
俺は彼女の笑顔を見たのは、初めてでずっと真顔だったので、俺の胸が高鳴った。
予想外に忙しいのにもかかわらず、彼女が俺たちのライブに来てくれて、楽屋にも来るようになった。
「どういう風の吹き回し?次の舞台があるでしょ?なのに、来て大丈夫なの?」
「いいんです。私が行きたくて、来てるだけですから。次の舞台、違う人で私は出ないんです。それに初めて見ましたけど、ロックってすごく開放感があって、細い身体なのにドラムを激しく叩くって衝撃を受けますね。」
「・・・。///」
それから、知り合って2ヶ月、僕は彼女に告白、彼女は何も言わず、ただ頷いて、側にいてくれた。こうして俺らは付き合い始めた。その時の俺はまだインディーズのバンド、彼女は人気絶頂のトップスター。身分差の恋だった。
だけど、付き合って3ヶ月の時に彼女からこんな言葉が、
「別れてください・・・。」
突然のお別れ宣言だった。
「え?なんで・・・。」
「ごめんなさい・・・、勝手なのはわかってます・・・。けど、
あなたに迷惑をかけたくありません・・・!」
と言うと彼女は泣きそうになりながらもその場を去り、
俺は失恋のショックでヤケ酒した。
なぜ、別れなければならないと心が荒れていた。
だが、彼女が別れを切り出された真実があったのを俺は知らなかった。
続く