短編


CMside

僕はとりあえずオートドアのロックを解除し、しばらくするとチャイムが鳴り、僕はすかさず玄関に行き、ドアを開けた。

上「邪魔するぞ・・・。」
「は、はい・・・。でも、どうしてここがわかったんですか・・・?」
上「ユノから、この住んでる場所が書かれたメモを渡されたから・・・。」
「あっ・・・。そうなんですか・・・。」

僕は竜也をソファに座らせ、暖かい飲み物を出し、竜也の隣に座った。

「久しぶりですね・・・。竜也・・・。」
上「・・・あぁ。」

素っ気ない態度・・・、そりゃあそうだ・・・。久しぶりに裏切った男を会ってそんな態度に取られるのは当然だ・・・。僕が責める権利なんてないんだ・・・。

僕は久しぶりの竜也の横顔を見た。髪は短くなり、目つきも悪く、ヤンキーみたいな風貌になっていたが、あの頃の面影を重ねると7年前と全然変わっていなかった。

僕はふと彼の胸元の所を見ると、そこには初めて竜也の誕生日にプレゼントをしたネックレスを着けていた。

上「ん?なんだ・・・?」
「えっ・・・!?いや、まだ着けてくれてたんですねぇと思って・・・。」
上「えっ・・・?あっ・・・!!」

竜也は自分の胸元を見ているととっさにネックレスを握り隠した。

「いや、今更隠したって遅いですよ・・・。」
上「るせぇよ・・・。捨てるに捨てられなかっただけだ・・・。」
「でも、まさか竜也がライブに来てたなんて思いませんでしたよ・・・。」
上「従姉妹の誘いで今日来たんだ。別に俺の意思で来たわけじゃねぇよ・・・。」
「・・・そうですよね。別れた相手のライブなんて、平然として行けるわけないですよね・・・。」
上「ッ・・・。」

僕がそう言うと竜也は下唇を噛みながら、顔を下に向いた。

まだ・・・、根に持ってるんだ・・・。僕に振られた事を・・・。
そりゃあ、別れて7年経っても根に持つのはおかしくないか・・・。

「それで・・・?なんでここに来たんですか・・・?」

そう言うと竜也は着けていたネックレスを外し、僕に渡された。

上「これ、返しに来た・・・。」
「これを、ですか・・・?」
上「あぁ・・・。もう、お前に未練なんてねぇし・・・。捨てるよりはお前に渡した方がいいと思って・・・。それだけだ・・・。いつまでも過去の恋なんて引きずるわけにも行かねぇからな・・・。
じゃあな・・・。」

竜也はそう言うとソファから立ち上がり、背中を向け部屋を出て行こうとする。

「ちょっと待って下さいよ・・・!!」

僕が待てと言うと、竜也は立ち止まり、

上「・・・勘違いすんな。お前とやり直したくてここに来たわけじゃねぇし、今更お前と話す事なんてねぇから・・・。」
「・・・。」
上「一言だけ言っておくぞ・・・。もし俺とバッタリ会っても話しかけてくんなよ・・・。」
「竜也・・・。あなたは相変わらず・・・、元気そうで安心しました・・・。」
上「・・・。」

僕がそう言うと竜也は振り返ることもなく、部屋を出て行った。
彼を出て行ったドアを見つめ、僕は竜也から渡されたネックレスを見つめた。








上田side

俺はバカだ・・・。もう逃げないなんて思ったのに・・・!また、いつもの強がりのクセが・・・!

俺は東方神起のマンションに出た後、近くの公園でブランコに乗りゆらゆらと漕ぎながら、涙を流しながらさっきのことで後悔をした。

でも・・・、もう今更撤回することもできないし・・・。アイツも諦めがついたと思う・・・。

顔を俯いていると頭から冷たい物がひらりと降ってきた。顔を上げると空からひらひらと雪が降っていた。

「どうりで寒いと思ったら・・・。そういえば、夜中から降るって天気予報が言ってたな・・・。はぁぁ~・・・、しかし寒ぃなぁ・・・。マフラー持ってくればよかった・・・。」

急な寒さで俺は自分の手にハァと息を吐き温めたけど、これだけじゃ温かくならなかった。ふと俺はまた昔の事を思い出した。

ー回想ー

寒い夜の日、竜也は全然眠れないのかベランダで夜空を見上げていた。

CM「ん?竜也・・・?」
「おぉ・・・、チャンミン・・・。眠れないのか・・・?」
CM「いや、ちょっとトイレ行ってたんですけど・・・。寒さで目が覚めちゃいました・・・。ていうか、その格好じゃ、風邪引きますよ。」

チャンミンはベランダに出て、竜也にブランケットを被せた。

「大丈夫大丈夫!全然平気だから!」
CM「竜也が大丈夫って言っても、仕事に影響がでたらどうするんですか・・・?てか何してるんですか?こんな所で・・・。」
「あぁ、なんか急に眠れないからベランダの外行って空気でも吸おうかなって思ってて、
そしたら、すげぇキレイな星空だったから、つい見てたんだ・・・。」
CM「えぇ?あ、ホントだ・・・。」

チャンミンも夜空を見上げると、写真で納めたいぐらいのキレイな星空だった。

「夏の星空もキレイだけど、冬の星空もキレイだな・・・。」
CM「・・・そうですね。ずっと忙しかったせいか、こんなにキレイな星空を見る機会がないですから・・・。こんなにキレイだったなんて知らなかった・・・。」
「うん・・・。クシュン・・・!!」

竜也はあまりの寒さにくしゃみをした。

CM「さっき、大丈夫って言ったくせに、やっぱり寒いじゃないですか・・・。ていうか僕もさすがに限界がきました・・・。もう、入りましょう・・・。」
「あ、あぁ、そうだな・・・。」

2人はあまりの寒さに限界が来たのか、部屋の中に入った。

ー回想終了ー

俺は昔の事を思いだしたせいか、またより寒くなってきた。体も心も。

もう・・・、あの頃には戻れねぇのか・・・?幸せだった頃には、戻れねぇのかよ・・・?

俺はそう思うと、段々寂しさが募り、涙が溢れてきた。その時、ふと俺の首にマフラーが巻かれていた。

顔を上げると、そこにはチャンミンが立っていた。

「チャ、チャンミン・・・。」
CM「全く・・・、ずっと、ここにいたんですか・・・?あなたは本当に相変わらずですね・・・。」
「げ、幻覚じゃないよな・・・?」
CM「何言ってるんですか・・・?本物に決まってるじゃないですか・・・。」

チャンミンはそう言うと俺を優しく抱きしめ、

CM「本当に、ごめんなさい・・・。あの頃の僕が弱かったせいで、あなたを傷つけてしまいました・・・。別れてから7年間・・・、ずっと後悔していましたし・・・、あなたのことがずっと忘れられなかった・・・。まだ、竜也のこと、愛しているんです・・・。」
「ッ・・・!!」
CM「竜也は・・・、まだ、心の中に、僕がいますか・・・?」

チャンミンの告白で俺はまた、涙がどんどん溢れてきた。
俺はチャンミンの背中を回してギュッと抱きしめた。

久しぶりの・・・、チャンミンのぬくもり・・・。チャンミンの香り・・・。やっぱり俺・・・、チャンミンがまだ好きなんだ・・・!!

「ふっ・・・。うっ・・・。うっ・・・。うわぁぁーーー・・・!!」

俺は我慢できなくなったのか、チャンミンの腕の中に子供みたいに泣いた。チャンミンはそんな泣いてる俺を背中で優しく撫でてくれた。








No side

一方ユノと未来は、

未「竜兄・・・、あれから大丈夫かなぁ・・・?」
YN「大丈夫だよ、きっと。」

ユノは竜也の愛犬・チビと遊びながら未来に「大丈夫だよ。」と安心させた。

未「・・・ユノさんは、なんでそんな風に言い切れるんですか?」
YN「実は俺・・・、一度別れてまたやり直した過去があったんだ・・・。」
未「えっ・・・?」
YN「元メンバーのジェジュンと俺・・・、元々恋人として付き合ってたんだ・・・。」
未「えっ・・・!?昔、デキてるんじゃないかって噂はあったけど、本当だったんだ・・・。」
YN「うん・・・。でも、脱退と同時に別れたけど・・・。でも、やっぱりまだ好きっていう感情が残ってて・・・、別れてから2年後に再会したんだ・・・。」
未「そうなんですか?」
YN「うん・・・、今は元サヤになって・・・。今はすごく幸せなんだ・・・。」

するとユノはスマホを取り出し、未来に写真を見せた。そこに写ったものは、ジェジュンにそっくりな女の子の姿があった。

未「この子・・・、誰ですか・・・?」
YN「俺の娘なんだ・・・。」
未「へぇ~・・・えっ・・・!?」

ユノの衝撃発言に未来は目を見開いた。

未「えっ・・・?本当に言ってるんですか?」
YN「ホントだよ。産んだのはジェジュンなんだ。」
未「えっ!?マジっすか!?」
YN「うん・・・、再会した日にちょっと・・・。」
未「お持ち帰りしちゃった系っすか・・・?」
YN「うん・・・、その後連絡先を渡して、そのまま別れたけど・・・。あの日から3ヶ月後にジェジュンが妊娠したってユチョンが電話で言ってた・・・。」
未「それで・・・、その後どうしたんですか・・・?」
YN「その後、ユチョンとジュンスと再会出来て、娘のおかげでまたみんなが集まったんだ・・・。」
未「その子のおかげでまた仲間の絆が取り戻せたって感じ・・・?」
YN「うん・・・。」

ユノは娘の写真を愛おしそうに見つめた。

未「きっと・・・、竜兄たちも・・・ユノさんと同じ事になるかもしれませんね・・・。」
YN「・・・そうだな。」

2人は雪が降っている窓の外を見ながら、2人のことを願った。

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