鬼の嫁入り
ミンスが生まれてしばらく経ったある日の昼下がり。俺は屋敷の縁側でミンスをあやしながら、ふとした疑問をユリに投げかけていた。
「なぁ、ユリ。ずっと気になってたんだけど・・・。」
ユ「なんでしょうか?」
「この屋敷もすごい豪華だし・・・、送迎車とかもすぐ手配してくれるし、金持ち特有の良いお菓子も用意してくれるし、この里の資金源ってどうなってんだ? 食費も維持費もすごいだろ?」
俺の問いにユリは「ふふっ」と何故か誇らしそうに胸を張った。
ユ「実はですね。外の世界では『超巨大企業』を経営しているんですよ。社長は旦那様で副社長は若なんですよ。そして、社内の役員や社員もほとんどがこの里の鬼の一族なんですよ。」
「えぇ!?」
俺が驚いているとちょうど、スーツ姿のチャンミンが歩み寄ってきた。若頭としての服装も様になっているがビシッと高級スーツを着こなした姿は完全に「若きエリート副社長」そのものだった。
チャ「僕たちの話ですか?」
「チャ、チャンミン・・・。お前、副社長だったのかよ!?」
チャ「えぇ。さっき、外の世界の役員会から戻ってきたところです。鬼の一族は長寿で人間より頭脳も明晰ですから、人間社会でビジネスを展開するのはそれほど難しくないんですよ。外の世界での資金力があるからこそ、この里の平穏とスンヒやミンスの暮らしを不自由なく支えられるんです。」
そう言って、チャンミンはサラリと完璧な笑みを浮かべ、ミンスの小さな頬を愛おしそうに撫でた。
チャ「ちなみに父上は社長として、今日も海外の投資家と交渉中なんです。」
「お、お義父様まで・・・!と言うことはお義母様は社長夫人ってわけ・・・?」
チャ「まぁ、そういうことになります。」
「鬼の頭領・若頭」、「巨大企業の社長・副社長」と言う2つの顔を持つ夫と義父。あまりにもハイスペックすぎる夫と義父の正体に俺は改めて、「とんでもない一族の花嫁になってしまい、いつの間にか、誰もが憧れる玉の輿に乗ったんだ・・・。」と実感させられたのだった。
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