鬼の嫁入り
里に来て1週間、俺は花嫁衣装である白のチマチョゴリを着ている。今日は俺が若頭・チャンミンの花嫁として迎える儀式。
まさか、里に来て1週間で白のチマチョゴリを着るなんて・・・。
確か、今日はチャンミンの両親が来ているって聞いた・・・。
どんな人なのかな?厳しい人だったら、失礼のないようにしなきゃ・・・。なんでかって?ここの里の長だからに決まってる・・・!!
チャ「スンヒ。僕の両親が来ました。挨拶に行きましょ。」
「お、おう・・・。」
新郎の服装である白の韓服の姿のチャンミンを思わず見惚れてしまったが、我に返り、チャンミンの両親がいる部屋に向かった。
待機している部屋に着き、チャンミンはドアをノックした。
チャ「父さん。チャンミンです。」
?「どうぞ。入って。」
合図と同時にチャンミンはドアを開け、俺が見たのは、ソファーに座ってる男女の後ろ姿だけだった。
あれが、チャンミンの両親・・・。よぉし・・・。
「は、はじめm・・・、?「いやーん!会いたかったー!!」え・・・?」
挨拶をしようとしたら、急に抱きしめられたのは、俺より小柄でダークブロンドと青みがかったグレーの瞳を持った綺麗な女性だった。
?「ハイド。彼女、困惑してるよ。ハイドが急に抱きしめるから。」
と女性を優しく指摘して言ってるのは、黒髪にチャンミンと同じ赤い瞳を持った色気が溢れるイケメンな男性だった。
?「えぇ?だって、花嫁ちゃんに会いたかったやも~ん!(ムゥ)」
チャ「母さん・・・。」
え!?母さん・・・!?てことは、この女性・・・。
「チャンミンのお母さん・・・!?」
チャ「そう。あなたに抱きついてる女性は正真正銘、僕の血の繋がった母です。そして、あそこにいるのが僕の父さん。鬼の頭領です。」
え!?若すぎねぇか・・・!?
?「チャンミンの父のガクトです。息子から君の話は聞いてるよ。」
?「母のハイドで~す♪マジで会いたかった~♪」
「は、はぁ・・・。あ、スンヒと言います・・・。お忙しい中、ありがとう、ございます・・・。」
ガ「いいよ。律儀にならなくて。僕たち、家族になるんだから。」
ハ「そうやで。遠慮せず、なんでも聞いて♪」
「あ、はい・・・。お母様は、目の色がが赤くないってことは、人間、ですか・・・?」
ハ「そうやで。せやから、久しぶりに人間の子が来て、嬉しいんや。」
「お母様が人間で、お父様が鬼ってことは、チャンミンは鬼と人のハーフか・・・?」
チャ「いえ、鬼は単体ですから。僕は純粋な鬼なんです。僕だけじゃなく、男性も女性も。人と交わった場合、鬼同士と変わりなく、鬼として生まれるんです。」
「な、なるほど・・・。」
お母様はまだ、俺に抱きついてるけど・・・。
「ちなみにお母様っていくつですか・・・?」
ハ「今年、35になるで。ちなみに16でチャンミンを生んだから。」
「え!?」
そんなに若くして出産したのか・・・!?ちょっと待って、16で生んで、35だから・・・。
「チャンミンって、19才なのか・・・!?」
チャ「はい。そうです。」
「俺より2才上だったんだ・・・。」
チャ「2才上って、いくつなんですか?」
「今年、11月で17になるけど・・・。」
ガ「てことは、チャンミンが早生まれだから、学年だと3才差だね。」
話していると使用人さんがきた。
使用人「若、花嫁様、もうすぐお時間です。」
「あ、はい・・・!」
ハ「えぇ~?もっと、話したかったのに~・・・。」
「あの、これを終えたら、またお話しましょう・・・。」
ハ「え?ええの!?やったー!!」
ガ「よかったね。ハイド。」
チャ「やれやれ・・・。;」
それから、婚礼の儀が執り行われ、里の鬼達の前でお披露目され、俺は恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。チャンミンが里の鬼達に挨拶をし、杯を交わし、俺はチャンミンの妻として迎え入れられることとなった。
里の皆、優しい人ばっかり・・・。こんな俺でも、祝福してくれる・・・。なんだか、嬉しい・・・。
チャンミンside
これは僕が小さい頃、一時期は里を離れて、人間の町に住んでたことがあったが、僕が鬼だと理由でいじめられたことがあった。
僕たち鬼の一族の特徴は赤い瞳だった。他の人間には持っていなかったし、この色で気味悪がられた。
けど、あの子だけは違った。
?「お兄ちゃんの赤い目、すごく綺麗!」
大きな目でキラキラと輝きながら見ていた女の子。僕より年下だった。そう、僕の初恋だった。それから、毎日、その子に会っていた。聞けば、女の子はずっと、お姉さんと比べられてると泣きながら言っていた。
それを聞いていた僕は女の子を見て、
僕が立派になったら、彼女を花嫁として迎えたい・・・!!
そう決心した。そして、僕が鬼の里に帰る時は女の子は号泣していた。
「これ、僕からのお守り。大きくなったら、君を、お嫁さんとして迎えに行くから。泣かないで。」
?「グスッ。うん・・・。」
女の子に渡したのは、鬼の一族が代々受け継がれている、赤い石で2つあるが、もう1つは運命の人が見つかったら、その相手に渡すという慣習だった。
だから、僕は別れ際にその子にあげた。里に帰ってきた後、里の皆に「運命の相手が見つかった!」と言ったら、ドンチャン騒ぎだった。
あれから、10年・・・、僕は立派な頭領になるために必死で頑張っていたある日、帰る途中の道端で女の子が倒れていた。僕は慌てて、彼女を抱き上げ、荷物は僕のお世話係が運び、僕の家まで運んだ。
女性の鬼の使用人達が彼女を着替えさせてた時、「若!若!!」と呼ぶ声がし、僕は何なのかと部屋に行くと、
使「こ、これを・・・!!」
「ッ・・・!?」
僕が見たのは、彼女の首にぶら下がってる赤い石だった。
そ、その石って、まさか・・・!!
僕はこの石を見て、確信した。僕があの時、花嫁を迎えると決めていた女の子だったと。
「間違いない・・・。僕の、花嫁だ・・・!!」
使「わ、若の・・・!?それは一大事です・・・!!」
使2「すぐに頭領、奥方様、里の皆に報告してきます・・・!!」
と着替えを終えさせた彼女を尻目に2人は出て行った。
やっとだ・・・。やっと、見つけた・・・!僕の、花嫁・・・!!
それから、彼女が目が覚めたと報告を受け、彼女がいる部屋に行き、僕の顔を見て、呆然としていた。
彼女は僕がもう1つの石を持っていたのを見て、あの時の事を思いだしたようで、結局、あの家は上手くいっておらず、家出したと言っていた。
10年越しでやっと、名前を聞くことができたけど・・・。
本当に予想外だったけど、僕にとって好都合だった・・・。だって、花嫁として迎え入れられるんだ・・・。
僕は嬉しさのあまり、彼女を、スンヒを3日間、抱きつぶしていた。「やり過ぎだ!」と怒られたけど。
その翌日、父さんと母さんに3日後に婚礼の儀を行うと連絡をした。
今、海外旅行中でここにはいない。
母さんが「花嫁ちゃんがもう来たん!?」と嬉しそうに言っていた。
隣にいるかって聞かれたけど、「今はいない。」と言った。残念がってたけど。
ハ「じゃあ、3日まで会えへんってこと~・・・?」
そう、明日は父さん達が帰ってくる日で明後日は長旅で疲れたから、ゆっくりするらしい。
ハ「いやや、いやや!花嫁ちゃんに会いたい、花嫁ちゃんに会いたい~・・・!!」
と泣きながら駄々こねていたが、父さんがフォローしてくれたおかげで渋々だが、なんとか承諾してくれたけど。
全く、母さんは昔から気分屋だから、こっちが気苦労する・・・。あれが僕の実の母親って、今でも信じられませんけど・・・。
けど、10年越しでやっと会えましたから、今度は、僕が、スンヒを守る・・・!!
続く
