短編
その後、僕たちは結婚した。ユウと社員達ににそのことを報告すると、祝福された。
スンヒちゃんは僕との結婚を機に日本に永住すると言っていた。
結婚して7ヶ月後、竜姫ちゃんは二卵性の双子の男の子と女の子が生まれた。僕に似た兄が「竜雅」、竜姫ちゃんに似た妹が「雅妃」。その1ヶ月後、スンヒちゃんは同じく二卵性の双子の女の子と男の子が生まれた。僕に似た姉が「佳蓮」、スンヒちゃんに似た弟は「瑠佳」。
息子と娘同士が異母兄弟って、なんか、複雑な気持ちだな・・・。
竜姫ちゃんの両親がうちの会社に押しかけてきて、「竜姫を出せ!」と言われ、最悪なタイミング、竜姫ちゃんが僕の忘れ物を取りに行き、社長室に来てた時だった。
僕も一緒に着いて行き、同席することになった。両親の姿は身なりがボロボロでやつれきってた。
聞いた話によると、姉は一流大学に入り、一流企業に就職したが、1年で辞めて、その後はバイトを転々とし、最終的には引きこもりになってしまい、美人の面影もなく醜く太っていた。
「立派になって・・・。」と泣いていたが、本当はバレバレ。
どうせ、金貸して欲しいとかそれしかなかった。
僕はどう追い返そうと考えていたが、
竜「どうせ、金の要求でしょ?あんたたちのことなんてバレバレなんだよ。私が大手企業の社長と結婚したことで手のひら返しでしか見えないよ。」
と強く言い放つと、両親は顔が強ばった。
竜「言っとくけど、今更親面なんかしないでほしい。ずっと、あんたたちから蔑ろにされて、ずっと辛かった・・・。私のこと、愛して欲しかった・・・。けど、あんたたちは結局、私のことなんて見ていなかった・・・。あんたたちなんて、死ねばいいのに・・・。」
と睨みながら言うと、両親は怖かったのか、「ヒッ!」と声を上げながら、肩をビクつかせた。
竜「あんたたちなんか家族じゃない。私の家族は、ガクトさんと、スンヒちゃん、子供達だけだから。」
と言うと、両親は諦めたのか、肩をガクッと落ちながら、トボトボと帰って行った。
僕は竜姫ちゃんに大丈夫かって言うと、
竜「言いたいこと言えて、スッキリしました!それにガクトさんが側にいてくれたおかげで勇気が出ました!」
と清々しい顔で言ってから、僕はホッとした。
後、スンヒちゃんの友達から聞いた話だと、スンヒちゃんのお父さんの会社はあの後、倒産となった。
元々、評判が悪かったことだけじゃなく、男尊女卑という古い考えが批判の的だったため、取引先からドンドンと打ち切られ、倒産となった。
今は多くの借金があり、しかも中には闇金があった。
スンヒちゃんの居場所を教えてくれって言われたけど、「知らない」と一点張りで、日本だと教えなかった。
まぁ、自業自得でしか思えないし、可哀想とも1ミリも思わない。
あ、スンヒちゃんのお姉さんとは相変わらず仲が良好で、たまに日本に来てくれる。
あれから、16年が経ち、子供達は今年、高校生になり、僕たち譲りなのか、美しく成長した。夢だと思ってた一夫多妻制は現実のままだった。
竜姫ちゃんは今、独立して、自分のお店を持つようになり、軌道が乗り、独立する前の常連さんが来て、その常連さんが友人や知り合いに店の紹介をし、今ではSNSとか雑誌に載るほどの人気の美容院となった。
スンヒちゃんは出産のため、大学を休学し、何とか卒業ができ、卒業後は日本で就職、僕の会社じゃなく、社員ファーストのホワイト企業に就職した。
ス「ガクトさんの会社に入ったら、コネだと思われそうですし、別の会社なら大丈夫だろうと思って、それに今、働いてる会社の社長は社員を一番に考えてくれる優しい人です。」
と言っていたから。今でも楽しく働いてるそうで安心した。
一方の僕は相変わらず、社長をやっていて、会社はより軌道に乗っていて、今日も大忙し。
まさか、こんな結末になるとは思わなかったよ。まぁ、でも、一緒になれて結果オーライになったから別にいいけど♪
終わり
