短編


「はぁ・・・。」
ユ「ど、どないしたん?ガク。」

と心配そうに僕を見ていたのは、副社長のユウだった。

「うん・・・。ちょっと寝不足・・・。」
ユ「ほんまに大丈夫なん?」
「うん・・・。」

全然、大丈夫じゃない・・・。はぁ、なんて返事をしたらいいのか・・・。

と思っていると、

【人気俳優の〇〇 △△さんの4人目の奥様は、9才年下の元アイドルで・・・。】

ん?この人って、確か、人気女優と結婚していなかった・・・?けど、4人目の奥様って・・・。

【皆さんも好きな人を見つけて、じゃんじゃん結婚しましょうね~!】

と呑気な事を言ってるアナウンサー。

「何言ってんの?この人・・・。普通、たくさんの人と結婚は犯罪でしょ?」
ユ「は?何寝ぼけたことを言うとん?大丈夫?」
「は?」

ユウが僕におかしなことを言ってるみたいなリアクションをしていた。

は?ユウも何寝ぼけたことを・・・。

【一夫多妻の日本。こんな素晴らしい国に住めて幸せですね!】

「え?は?どういうこと・・・?」
ユ「は?お前、小学校の時に習わんかった?」

いや、そんな習った覚えはないよ・・・!!確かに昔はあったけど、現代にはもう既に廃止されて、重婚罪っていう犯罪が存在してるんだよ・・・!!

そう思ってると、聞き覚えのある着信が来て、

こ、この着信音は・・・!!

携帯を見ると「スンヒちゃん」と書いてあった。

やっぱり・・・!!出るしかない・・・。

『も、もしもし・・・。』
ス『あ、ガクトさん!急な話ですみませんけど・・・。』
『・・・何?』
ス『実はさっき、日本に着いたんですよ。』
『・・・え?日本?』
ス『はい。元々実家にいた頃に貯めていた貯金とバイト代で少し貯めていた貯金が貯まりまして、そのついでにガクトさんに会おうと今、日本にいるんですよ。』
『え、ええぇぇーーー・・・!!??』

や、やばいやばいやばいやばい・・・!!スンヒちゃんが日本にいる・・・。竜姫ちゃんにバレる、スンヒちゃんにもバレる・・・。修羅場になる・・・。

ス『じゃあ、俺、ホテルに荷物置いてから。電話しますので。じゃあ。』

とプツッと電話が切れた。

ユ「ガク?誰からやった?」
「た、ただの知り合い・・・!そ、そんなことより、ちょ、ちょっと、出かけてくる・・・!!」
ユ「お、おう・・・。」

僕はそそくさと家を出て、自分の愛用の車に乗り、とりあえず、竜姫ちゃんに電話をした。

「も、もしもし・・・。竜姫ちゃん・・・?」
竜「なんですか?ガクトさん。」
「い、今、大丈夫かな?」
竜「え?大丈夫ですけど・・・。何か?」
「ちょっと、話したいことがあって・・・。いつものカフェで待ち合わせしといて・・・。すぐ来るから・・・。」
竜「いつものですか?わかりました。」

と通話を切り、するとスンヒちゃんから電話が来た。

『な、何?』
ス『あー。ホテルに荷物を置いたので、今から向かいます。〇〇カフェって所に来て欲しいです。』
『え?〇〇カフェ・・・?』
ス『はい。それじゃあ、待ってますので。』

とプツッと通話が切れた。

嘘だろう・・・!!??〇〇カフェって、僕と竜姫ちゃんがいつも行くカフェじゃーーん・・・!!しかも、ダブルで待ち合わせ場所って、ヤバい、修羅場が・・・!!

僕は慌てて、急いで行きつけのカフェに行き、着くともう2人が既に違う席にいた。

あー・・・。ど、どうしよう・・・!!

考えても仕方なかったため、僕はカフェに入った。

竜「あ!ガクトさん!え?」ス『あ、ガクトさん!え?』

だぁーーーー!!!会わせてしまった・・・。会っちゃいけない2人を会わせてしまった・・・!!

俺は店員さんにテーブルをくっつけていいかと許可を取り、テーブルをくっつけ、僕の目の前には2人の恋人が、

竜「ガクトさん、この子とはどういう関係ですか?」
ス『ガクトさん、この人とはどういう関係ですか?』

同時に責められても・・・!!

「竜姫ちゃん、ごめん!!実は僕、このスンヒちゃんと隠れて付き合ってたんだ!しかも、彼女も妊娠してて・・・。僕の子供を・・・。」
竜「え・・・?」
『スンヒちゃんもごめん!!実は僕、この竜姫ちゃんと隠れて付き合ってたんだ!しかも、彼女も妊娠してて・・・。僕の子供を・・・。』
ス『は・・・?』
「騙してたことは謝る・・・!けど、2人のことも愛してる・・・!!だから、ごめん・・・!!慰謝料も養育費も払うから・・・!!」

僕は頭下げたが、自分の額がガン!とテーブルにぶつけたにもかかわらず、2人に謝罪した。

「うわ・・・。痛そう・・・。」「なになに?修羅場?」

竜・ス「「・・・プッ、アハハハ・・・!!」」
「へ?」

僕は2人の笑い声に呆気を取られた。

竜「ダメ、もう・・・。ウック・・・!!ww」
ス「こんな、面白い人だとは思わなかった・・・!ww」
「え?スンヒちゃん、日本語・・・。」
ス「あぁ、ガクトさんと合わせるように日本語勉強しました!」
「そ、そうなんだ・・・。じゃ、じゃなくて、僕は2人のことを騙したんだよ?!」
竜「そうですね。それに関しては怒ってます。」
「でしょ?!」
ス「けど、他の人と付き合ってるって言うなら最初から言えばよかったのに、一夫多妻制にもかかわらず言わなかったことに怒ってます。」
「え・・・?」

え?夢じゃないの・・・?さっき、一夫多妻制って・・・。

「韓国でも、一夫多妻制なの・・・?」
ス「そうですよ。何言ってるんですか?」
竜「日本も一夫多妻制だよ。」
ス「本当ですか!?じゃあ、安心して結婚出来ますね!」
「え!?」
竜「何驚いてるんですか?もしかして、結婚がいやなんですか?」
「い、いやじゃないけど・・・。」
ス「けど、ずっと黙ってたガクトさんにも非がありますからね。
俺たちのこと、愛してますよね?」
「も、もちろん・・・!」
竜「じゃあ、決定だね!ガクトさん、もちろん、拒否権はないですからね~♪」
ス「俺たちのこと、お腹にいるこの子たちの事も幸せにしてくださいね~♪」

こ、これは夢なのか・・・?2人同時に結婚って・・・。
けど、これで別れずに済むってなればいいか・・・。

「う、うん・・・。」
竜「よぉし!決定!これで私たちは家族になりますね!」
ス「多くいたら、賑やかになりそう!」

「いよ!兄ちゃんいいな~!!」「こんな、綺麗な子達と・・・。」
「おめでとう!」「幸せになれよ!」

店内にいるお客さんと店員さんは僕たちのことを祝福してくれた。

まぁ、修羅場にならずに済んでよかった・・・。

続く
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