短編


今世紀最大のピンチ・・・!!

なんで、僕がピンチだって?それは・・・。

「え?今なんて?」
竜「だから、私、妊娠したんですよ!もちろん、ガクトさんの子供を!」

妊娠・・・?僕の、子供・・・?

「え、ええぇぇーーー・・・!!??」

恋人の「妊娠した」発言に僕は思わず絶叫した。

僕はガクト。僕は大手企業の会社を経営している。いわゆる社長をしている。おまけに付き合ってるかわいい恋人もいる。

その恋人は上田 竜姫ちゃん。僕より10才年下の子で美容師をやっている。出会いは3年前、僕の行きつけの美容院で彼女は美容師のスタイリストになったばかりだった。僕は彼女の仕事ぶりとアシスタントのフォローとか、笑顔で接客を対応してくれる所に惚れた。

そこから、僕は彼女を猛アタックの末、付き合う事になった。
実は彼女も僕に惚れてたらしい。今までは顔とお金だけの女性ばっかだったけど、彼女は僕自身を見てくれるから、彼女を選んだ。

竜姫ちゃんは優秀で美人な姉に比較され続け、両親は姉ばっかり溺愛し、竜姫ちゃんを蔑ろにしていた。姉とは昔から仲が悪く、竜姫ちゃんのことも蔑ろにしていた。

交際してから3年、そして今、彼女に話したいことがあるとLINEがきて、呼ばれた所に行くと、彼女は嬉しそうな笑顔で「妊娠」発言をした。今、3ヶ月らしい。

3ヶ月って、確か・・・、僕の家でお家デートした時に・・・。

竜「え?何?嬉しくないですか?」
「ハッ!ごめん、ごめん。う、嬉しいよ・・・!もちろん、自分との子供だから・・・!」
竜「そうですか、よかったです・・・!」
「だけど、突然のことで頭がこんがらがってて・・・。」
竜「そ、そうですよね・・・。ごめんなさい、突然で・・・。」
「竜姫ちゃんは悪くないよ・・・。ちょっと、最近、働きづめで疲れちゃってて・・・。脳が追い付いてないんだ・・・。ちょっと、頭を冷やしてから、話し合おう。なるべく早く、答えを出しとくから・・・。」
竜「あ、はい・・・。」

僕は一旦、家に戻り、頭を抱えていた。

まさか、妊娠したなんて・・・。やばい、”スンヒ”ちゃんになんて言えばいいんだ・・・。

スンヒちゃんとは、僕より14才年下で韓国に住む大学生、
チェ・スンヒちゃん。出会いは1年前、僕が出張で韓国に来た時に彼女がガラの悪い連中に絡まれていた時、僕は真っ先に彼女を助け、撃退した。

助けて貰ったお礼に安い所だけど、韓国料理をごちそうしてくれた。味は美味しかった。

スンヒちゃんは元々、住んでた地元の大きな会社の社長の娘で、両親は男の子がほしかったらしいが、子供は姉とスンヒちゃんだけで、仕方なく両親はスンヒちゃんを男の子として育てられたが、スンヒちゃんは跡取りになんかなりたくないと高校卒業後に家を出て、親の援助なしで大学生活を送っている。

姉と仲が良好で、スンヒちゃんのこと妹として接してくれた。

僕はそんな彼女を放っておけなくなり、彼女を慰めてるうちにいつの間にか好きになり、僕たちの交際がスタートした。

そう・・・、これが僕のピンチな理由・・・。僕は・・・、
二股をしていたから・・・!

もちろん、竜姫ちゃんの想いが冷めたわけじゃない。変わらず愛してる。けど、スンヒちゃんのことも愛してる。韓国にいるスンヒちゃんと遠距離恋愛をしていた。

ちなみにこのことは誰にも言っていない。このご時世、不倫とか浮気は大問題になっている。だから、2人に内緒で会って、デートしてた。日本と韓国だから問題ないと思って。

はぁ・・・。これ、スンヒちゃんに言わなきゃダメだな・・・。
来週会って、仕方ないけど・・・、別れを言うしかない・・・。

俺は溜め息をつきながら、スンヒちゃんにメールをした。スンヒちゃんから「俺も話したいことがあります」と返事が返ってきた。

けど、この1週間後・・・、まさか、スンヒちゃんの口から信じられない言葉が・・・。

『え?今なんて?』⇐(2回目)
ス『実は・・・、俺、妊娠したんですよ!もちろん、ガクトさんの子供を!』

な、なんか、デジャブ・・・。妊娠・・・?僕の・・・?

『え、えええぇぇぇーーー・・・!!??』

なんと、彼女のお腹には僕の子供を妊娠していた。今、2ヶ月らしい。

2ヶ月前って、スンヒちゃんが生理が終わって、やっと、できるって時だった・・・!

ス『ごめんなさい・・・。本当はメールで言いたかったんですけど・・・、直接会って、話したかったから・・・。』
『・・・。』

突然のことで僕は開いた口がふさがらない。

ス『それでなんですけど、ガクトさん。ガクトさんはこの子をどうしてほしいですか?』
『え?』
ス『ガクトさんが産んでほしいって言ったら産みますけど・・・、堕ろしてほしいって言ったら、堕ろします・・・。』
『ちょ、え・・・?』
ス『・・・俺はまだ若いですし、1人で育てる自信がなくて、ガクトさんに答えてほしくて・・・。時間はあげますよ・・・。だけど、3ヶ月までに答えてくださいね・・・。』
『・・・。』

僕は結局、別れを言えないまま、帰国し、自宅のベッドに寝転び、

ガクト、今世紀最大のピンチ・・・!!というか、最悪のピンチ・・・!!まさか、2人同時に妊娠してるなんて・・・。しかも、僕の子供を・・・!!

そりゃ、嬉しいけど・・・、2人のことは、愛してるけど・・・、日本と韓国も重婚は禁止されてるし・・・。けど、2人とは離れたくない・・・。

僕は本に挟んであった、2枚の写真を取りだした。それは付き合ったばっかりの頃のそれぞれの写真。

どっちか、捨てなきゃいけない?そんなの、嫌だ・・・!!

僕は、2人だけじゃなく、2人のお腹にいる子供と一緒にいたいんだ・・・!!

続く
1/4ページ
スキ