偽装結婚 ~愛を信じない同士の偽りという契約~


今日は音楽番組の収録で私たち、KAT-TUNも出演する。

田中「上田、最近、なんか綺麗になったな。」
「え?」

楽屋で聖が私を見ながら、「綺麗」だと言った。

田口「俺も思った!なんか、前よりはかわいくなった気がする!」
「そ、そうか・・・?」

がっちゃんと契約結婚してから1ヶ月が経ったんだけど、がっちゃんはあれ以来、料理をしてくれている。

私が料理が苦手だと理解してくれて、忙しいのにもかかわらず、私のご飯を作ってくれている。

たまに一緒に晩ご飯を食べたりもする。他愛もない会話をしながら。

私より年上なのに・・・、なんだか、申し訳ないな・・・。

赤「ただいま。ふぁ、眠みぃ・・・。」
中「ちゃんと本番はしっかりしろよな。」
亀「私たちのリハの出番だって、行くよ。」

亀がそう言うと私たちは楽屋に出て、スタジオに向かった。

中「さっき、なんの話してたんだ?」
田口「あぁ、最近、たっちゃんが可愛くなったねって聖と話してたんだ。」
亀「え?あー、確かに前より綺麗になってる気がする-。」
田中「だろ?お前、もしかして、彼氏でもできたのか?」
「え!?か、彼氏はいないよ・・・!!」
赤「いねえのか?だったら、なんで?彼氏いねぇのに、なんで?」
「そ、それは・・・。」

これって、言うべきなのか・・・?けど、ここだとマズい気がする・・・。私が結婚したって・・・。

亀「ちょっと、仁!あんまり、たっちゃんを問い詰めない方がいいよ。」
赤「あー、悪い悪い。」
亀「本当に、デリカシーがないんだから・・・。」
赤「なんだ?嫉妬か?かわいいな~。亀は~♡」
亀「ちょ・・・!」

赤西と亀はここはテレビ局の廊下にもかかわらず、イチャつき始めた。私はそれを見て、胸が痛み始めた。

やめてよ、そんなの、私に見せつけないでよ・・・!!

田中「お前ら、テレビ局でイチャつくな!!」

聖がイチャつく2人に頭をはたきながら、突っ込んだ。

中「う、上田・・・?大丈夫か・・・?」

中丸が心配そうに私を見ていたが、私は大丈夫と言おうとしたら、立ちくらみがして、倒れそうになった時に後ろから誰かが私を支えてくれた。

後ろを見るとそこには、旦那(仮)であるがっちゃんがいた。

なんで、がっちゃんが・・・?

がっちゃんは私を支えながら、体勢を立て直してくれた。

ガ「大丈夫?たっちゃん。」
「あ、はい・・・ちょっと、立ちくらみがしただけで平気です・・・。ありがとうございます・・・。支えてくれて・・・。」
ガ「いいよ。平気だったらよかった。何かあったからと思って、ヒヤヒヤしたよ。」
「すみません・・・。」

がっちゃんは心配そうに私を見て、私はまた、迷惑をかけたなと少し罪悪感があった。

中「あ、あの~・・・。」

すると中丸が恐る恐る、聞いてきた。

ガ「何?」
中「あぁ、すみません・・・!俺、上田と同じグループの中丸と言います・・・!」
ガ「中丸くんね。珍しい名字だね。」
中「いえ、そんな・・・。そうじゃなくて、上田と、どういう関係ですか・・・!?」
ガ「え?たっちゃん、言ってないの?」
「すみません・・・。忙しすぎて、報告する暇がなかったんです・・・。社長にも言ってないですし・・・。」
ガ「そうなんだ。あー、実は僕たち、夫婦なんだ。」
メンバー「「「え・・・?」」」

こうなったら、言うしかない・・・。

「実は、私、1ヶ月前に、結婚したの・・・。ガクトさんと・・・。///」
メンバー「「「え、えええぇぇぇ!!??」」」

遅れた結婚報告にメンバーは当然、驚いていた。
赤西は叫ばず、ただただ目を見開きながら、立ち尽くしていた。

亀「あ、私、亀梨 和美と言います!本当なんですか・・・!?」
「本当だよ。一目惚れしたの僕の方だから。」
田口「意外です・・・。あ、俺、田口 淳之介です。」
田中「田中 聖と言います。上田が結婚か・・・。とりあえず、おめでとう。」
竜「ありがとう。聖。」

立ち尽くしていた赤西が我に返り、

赤「・・・あ、赤西 仁っす。ガクトさんは上田のどこに惚れたんっすか?」
ガ「そうだね・・・。一緒にいると安心感があるし、気を使う所とか、他の人には見せない繊細な所、努力家で一生懸命な所、そして、何より笑った顔がかわいい所が。」
「ッ・・・!!///」

ガクトさんは私の肩を寄せながら、私の惚れた所を淡々と言った。

本当に、この人だけは・・・!!///

赤「そ、そうなんすか・・・。」
ガ「たっちゃんはここで仕事?」
「はい、音楽番組の収録です!がっちゃんもですか?」
ガ「うん。違う音楽番組のね。そうだ、たっちゃん、この後予定は?」
「この音楽番組だけで、終わりですけど・・・。」
ガ「そうか。僕もそうだよ。今日の晩ご飯、僕の行きつけのお店なんだけど、たっちゃんの大好物のたこもある店なんだ。」
「たこ!?行きます!!」
ガ「了解。じゃあ、僕は戻るから。仕事頑張ってね。皆もたっちゃんのこと、これからもよろしくね。」
メンバー「「「は、はい・・・!!」」」

そう言うとがっちゃんは自分の楽屋に戻っていった。

田中「上田、まさか、ガクトさんと結婚してたなんて・・・。」
田口「おめでとう。たっちゃん。」
「ありがとう。田口。」
亀「でも、なんで言わなかったの?」
「言うタイミングがなかったし・・・、それにこの結婚は、極秘結婚なの・・・。」
中「極秘結婚?」
「うん。がっちゃんと話し合って、決めたことなんだ。もちろん、結婚式も挙げない。」
亀「そうなんだね・・・。あ~ぁ、たっちゃんのウエディングドレス姿見たかったな~・・・。」

亀がつまんなそうにしている一方、赤西は複雑そうな顔で私を見ていた。

なんで、そんな顔するの・・・?私の事、用済みだと思って、捨てたクセに・・・!

スタッフ「KAT-TUNさーん!リハお願いしまーす!」

とスタッフさんの声で我に返り、私たちはリハのため、スタジオに向かった。

けど、もう赤西への思いなんかどうでもいい・・・。がっちゃんと過ごす様になってから、気持ちが薄れたから。逆にがっちゃんへの思いが募っていく・・・。契約結婚だとわかってるのに・・・。
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