偽装結婚 ~愛を信じない同士の偽りという契約~
「はぁ・・・。緊張した・・・。」
私の両親の挨拶後、私は荷造りをした。
もう、ここにはいられない・・・。赤西を思い出してしまうから・・・。
私は「ダメだ」と頭を横に振り、荷造りに集中した所で、ガクトさんからメールが来た。
【今度のオフはいつ?付き合ってほしい所があるから。教えて欲しい。】
付き合ってほしい所・・・?なんだろう・・・?
私は【次のオフは〇曜日】と送ると、【ごめんだけど、その日に空けておいてほしい。10時に迎えにくるから。】と返ってきた。
そして、〇曜日の10時。私服姿のガクトさんがきて、停めてある車に私をエスコートさせて、乗せてくれた。
「この間は、ありがとうございます・・・。わざわざ、実家まで・・・。」
ガ「いいよ。結婚の挨拶だったし、行かないと失礼だと思って。」
「そうですね・・・。あ、今日は、どこに行くんですか・・・?」
ガ「結婚指輪を買おうと思って。」
え・・・?
連れて行かれた場所は誰もが知ってる有名な人気ハイブランドの宝石店だった。
「あ、あの、こ、ここで買うんですか・・・?」
ガ「そうだよ。別のブランドものがよかった?」
「い、いえ、そうじゃなくて・・・。」
私はガクトさんに耳打ちをし、
「偽の結婚なので・・・、もっと普通ので、いいんじゃないですか・・・?(コソ)こういう指輪は、本当に好きな人に、プレゼントして下さい・・・。(コソ)」
周りが聞こえないように言ったら、ガクトさんは無言になりながら私をじっと見ていた。
「あ、あのー・・・。」
ガ「あ、あぁ、ごめん。そういう遠慮な事を言われたの久しぶりで・・・。ビックリしただけ。」
「え・・・?」
久しぶり・・・?過去にそういう女性がいた、ってこと・・・?
ガ「そんなことより入ろう。ここじゃ怪しまれるから。」
「あぁ、はい・・・。」
私たちはお店の中に入ると、テレビとかよく観る一緒の光景でビックリした。特に天井にシャンデリアがぶら下がってた。
てか、ガクトさん・・・。なんで、そんなに堂々と入れるの・・・?
ガ「竜姫ちゃん、選んでくれない?」
「えっ・・・!?え、選べません・・・!ガクトさんが、選んでくれませんか・・・?」
こんな高級なもの、これがいいですなんて言えねぇ・・・!!
ガ「そうだね。竜姫ちゃんには・・・。」
ガクトさんは指輪のデザインをじっくり見て、
ガ「すみません。これとこれを、見せてもらえますか?」
ス「はい。かしこまりました。」
ガ「つけてみて。」
「は、はい・・・!」
私はガラスケースから取り出された2つの指輪を左薬指にはめ、
うわぁ~・・・!輝いてる~・・・!!
私は初めて付けたハイブランドの指輪に思わず、見惚れた。
ガ「(クス)僕にも見せてくれないか?」
「あ!すみません・・・!」
ガクトさんは後ろから私の腕を優しく握り、至近距離で指輪を見つめた。
うわぁ・・・!!///ち、近い・・・!!///
ガ「う~ん・・・、このデザインは似合わないな・・・。こっちはどう?」
ガクトさんは真剣な眼差しで、私に似合う指輪を探し、何度も着けたり外したりと繰り返した結果、
ガ「やっぱり、これが一番似合うよ。」
言われて選んだのは、外回りが丸くラウンド形状になってるフォルムの中に1粒のダイヤモンドが輝いていた。
私はガクトさんに「一番似合う」って言われて、勘違いしちゃダメだと分かってるのに、嬉しい気持ちが込み上がってくる。
それから、私たちは結婚の準備を進めていき、ガクトさんの提案で「契約書」を作成することにした。
最初に交わした約束のほかに、同棲中のことについても話し合い、組み込み、私たちはこれから、契約を遵守しながら結婚生活を送るのだった。
そして、私は住んでた家も引っ越し、ガクトさんの家に引っ越した。
ガ「これで僕たちの結婚は成立。1年間、よろしくね。」
「は、はい!よろしくお願いします・・・!」
今日から、ガクトさんと暮らすんだ・・・。
ガ「これ、婚姻届。」
「こ、これが、婚姻届・・・!」
ガ「そんなに珍しいの?」
「いや、初めて生で見ましたから・・・。ん?左って、ガクトさんですよね・・・!?」
ガ「そうだけど。」
「ガクトさんって、私より10才も年上・・・!?「ガクト」も本名なんですか・・・!?」
ガ「そう。あー、まだ言ってなかったね。」
ガクトさんの名字って、かっこいい・・・!!「大城」って・・・。世間にはまだ知らないことを自分だけ知って、なんか、嬉しい・・・!!
ガ「何じっと婚姻届みてるの?」
「あ!すみません・・・!まだ、世間には公表していないことを、自分だけ知って、嬉しくてつい・・・。///」
ガ「・・・フフッ。」
私は右の配偶者の記入列に自分の名前を書き、印鑑を押し、
ガ「じゃあ、婚姻届は明日、ユウに区役所に出してきてって頼んでくる。そしたら君も・・・、”大城” 竜姫になるから。」
「ッ・・・!///」
そうだ・・・!私、明日から、上田 竜姫から、大城 竜姫になるんだ・・・!不思議な感じ・・・。///
私はずっと一緒だった名字が変わるのは寂しい気持ちはあったが、
新しい自分に生まれ変われそうな気がした。
ガ「竜姫ちゃん、左手を出して。」
私はガクトさんに言われ、左手を出すと、この間買った結婚指輪をはめてくれた。ガクトさんの左の薬指には同じデザインの指輪が着けてあった。
ガ「これで少しは夫婦に見えるよね。仕事の時は外してほしいけど、家の中だけ着けて欲しい。」
「は、はい!わかりました・・・。///」
こうして、ニセモノの夫婦生活が始まった。
おまけ 呼び名
ガ「夫婦になったんだから。お互いの呼び名で呼び合うっていうのが夢だったんだ。」
「え!?よ、呼び名・・・!?」
ガ「うん。(コクリ)」
「呼び名・・・。私は別に構いませんけど・・・。ただ、ガクトさんにはちょっと、抵抗感があって・・・。」
ガ「なんで?」
「いや、結構厳しい方だと思って・・・。「さん」付けとか。」
ガ「あー。それは知らない奴から言われてた時だよ。知ってる同士だから別にいいよ。」
「う~ん・・・。いいよって言われると・・・。メンバーからは「上ピー」とか「上ぽむ」、「たっちゃん」って呼ばれることが多いです・・・。」
ガ「じゃあ、「たっちゃん」って呼ぶね。」
「ッ・・・!!///(た、たっちゃんって、呼ばれた・・・!!///)は、はい・・・。///ガクトさんは、なんて呼んで欲しいとかありますか・・・?他の人は「ガクちゃん」とか「がっくん」って呼ばれることが多いですし・・・。」
ガ「・・・。」
?『がっちゃん!』
ガ「・・・がっちゃん。」
「え?」
ガ「僕のこと、がっちゃんって、呼んで欲しい・・・。」
「え?え?えっ!?いいんですか・・・?」
ガ「うん。それで呼んで欲しい。」
「じゃ、じゃあ・・・、がっちゃん・・・。///(ボソ)」
ガ「何?」
「ッ~~・・・!!!///」
慣れない呼び名で恥ずかしくなる上田であった。