偽装結婚 ~愛を信じない同士の偽りという契約~
ガクトside
あれ以来、僕はたっちゃんが前に弾いてくれた曲にハマり、
音楽プレイヤーに入れ、休憩の時とか本番前でも聴いている。
初めて原曲、歌詞を聴いたと時、ハイドに片想いしていた頃の自分を思い出す。まるで僕が体験したことを知ってるかのような歌詞だった。
♪君を好きになって どれくらい経つのカナ?
気持ち 膨らんでゆくばかりで
君は この思い気付いているのカナ?
一度も言葉には してないけど
♪雪のように ただ静かに
降り積もり つづけてゆく
♪Hold me tight こんな思いなら
誰かを好きになる気持ち
知りたく なかったよ
Ilove you 涙止まらない
こんなんじゃ 君のこと
知らずにいれば 良かったよ
僕はこの曲を聴き、ハイドとの思い出が嫌でも蘇ってくる。
やっと断ち切れたと思ったのに・・・。なんで、今になって・・・。
って思ってたけど、この曲は何の罪もないし、僕は変わらずこの曲を聴いていた。
契約結婚から2ヶ月が過ぎ、たっちゃんは暇があったら僕のトレーニングに付き合ってくれるし、僕もたっちゃんのボクシングの相手をしている。
まさか、僕のトレーニングを付き合ってくれる女性がいるとは思わなかったよ・・・。ハイドだったらすぐ面倒くさがる・・・。
ある日のことだった。僕は家に帰ると部屋は真っ暗。たっちゃんと住む前は真っ暗だったが、たっちゃんと一緒に住んでから少し明るくしたけど、僕は明かりをつけるとたっちゃんがリビングで座り込んでいた。
上「あ、おかえり、なさい・・・。」
「た、ただいま・・・。」
元気がないたっちゃんに僕は様子を見ると、泣いてたのかたっちゃんの目が赤くなり、腫れていた。
「どうしたの?なんか嫌なことでもあったの?」
上「・・・。」
するとたっちゃんは顔を上げ、
上「がっちゃん・・・。私って、がっちゃんに迷惑かけてませんか・・・?」
と涙を流しながら、僕に迷惑をかけてないかと質問してきた。
「え?どういうこと・・・?」
上「実は今日・・・、ハイドさんとバッタリ会って・・・。私とがっちゃんと結婚のことで・・・、「君には悪いと思うけど、君とはがっちゃんを幸せになれへん、がっちゃんにとって重荷やと思うし、迷惑かけると思うよ。」って言われて・・・。」
「ッ・・・!!」
ハイド、たっちゃんにそんなヒドいことを・・・。
上「ねぇ、がっちゃんは私のこと、迷惑ですか・・・?」
僕は泣き崩れてるたっちゃんを見て、思わず抱きしめた。
「そんなことないよ・・・。僕はたっちゃんにとって、迷惑だと思った事ないよ。ハイドに言われたこと気にしないで。」
上「がっちゃ・・・。」
「それより、ご飯はもう食べた?」
上「・・・。(フルフル)」
「じゃあ、前に行った店に行こう。たっちゃんが美味しいって言ってた、たこの天ぷら。だから、泣かないで。」
上「・・・。(コクリ)」
いくら、ハイドでも許さないよ・・・。たっちゃんを泣かせるなんて・・・。
数日後、僕の所に招待状が届いた。それは結婚式の招待状だった。
誰のだと思い、差出人を見るとたっちゃんを泣かせたハイドだった。
結婚式、挙げてなかったんだ・・・。そうか、あの時は子供とか生まれて、仕事で忙しかったから、挙げる余裕なかったんだ・・・。
旦那さんには悪いけど・・・、正直、僕は、祝えない・・・!
僕は恨めしい気持ちになり、招待状を思わず握りつぶしてしまった。
そんなある日、レコーディングの時に一通のメールが来た。
相手は姉さんだった。
僕は終わった後に姉さんと待ち合わせ場所に行くと姉さんが既に着いてた。
「ごめん、遅くなって・・・。」
ヤ「ええよ。さっき着いたとこ。」
「それで?話って何?」
ヤ「いや~、実はね・・・、ウチ、ハイドさんの旦那と同級生やったんや。」
「え!?そうなの!?もしかして、結婚式の招待状が来たの?」
ヤ「そうなんや。あれ?もしかして、ガクも?」
「そうなんだ。それで?旦那さんがどうしたの?」
ヤ「実はね・・・。」
姉さんが言った言葉に僕は驚きが隠せなかった。
「えぇ・・・!?」
ヤ「後、もっとヤバかったのは・・・。」
予想以上の言葉にさすがの僕もドン引きしてしまった。
「これは許せないよね・・・。」
ヤ「確かに・・・、ハイドさんには悪いけど・・・。これで結婚式でやろうと思って・・・。なんか面白そうだから・・・(笑)」
「姉さん・・・。本音がダダ漏れ・・・。」
確かに・・・、使えそう・・・。ハイドへの仕返しにもちょうどいい・・・。たっちゃんを泣かせたんだから・・・。少しぐらいいいよね・・・?
