運命の歯車


ガクトside

今年は仮面ライダーの主題歌も決まり、ソロ活動10周年を迎えた。

マネ『次の仕事が来ました。』
『仕事?何の?』
マネ『CM出演なんですが・・・。』
『何のCM?』
マネ『・・・ブライダルマガジンです。』
『・・・は?』

マネージャーの言葉に僕は耳を疑った。

ブライダルマガジン・・・?それって、結婚式の・・・。

『僕は、何の役・・・?』
マネ『花婿、新郎の役です。』
『・・・は、はあぁぁーーー!!??』

思わぬ言葉に僕は思わず叫んでしまった。

僕が花婿役ってことは、花嫁役がいるってことだよね・・・?
てことは、女の子とキスシーンがあるってこと・・・?僕はいいけど、相手役が僕とキスシーンはハードル高いと思う・・・。

考えた結果、僕はCM出演を承諾した。相手は誰なのかって聞いたんだけど、マネージャーは知らないと言っていた。

どんな子かな-。かわいいも良いけど、美人系もいいな-。正直言って、ハイド似の子とかいいな-。

なんて思いながら、撮影当日がきた。僕はヘアセットとメイクもしてくれて、フロッグスーツに着替えた。

メイクさんとスタイリストさんも僕を見て、見惚れてたけど。

まぁ、当然ちゃ当然だ。

撮影場所はチャペルで演出は扉を開けた瞬間、僕と相手役が互いに手を取り、見つめ合い、出席者から祝福され、花嫁役の子がブーケトスをし、子役の女の子がキャッチ、僕たちは馬車に乗り、ブーケを取った女の子を見つめ去って行く、女の子は子役の男の子と笑い合うというシーン。

なんだ・・・、キスシーンがないのか・・・。

そして、撮影場所に着くと、皆は僕を見て、キャーキャー言ってたけど、僕の目的だった花嫁の役の子がウエディングドレス姿で既にいて、僕の方に向いた。

その子は黒髪で低めのシニヨンヘア、ハーフだと思いそうな目鼻立ちハッキリした顔立ちで、印象的なのが黒と赤みがかった茶色の左右違う色の瞳を持っていた。今まで綺麗な女優さんとかモデルさんを見てきたけど、こんなに惹かれるぐらいの綺麗な子は初めてだった。

?『あ、ハジメマシテ、私、BIGBANGという韓国のグループの、T.O.Pデス。今日ハ、ヨロシクオ願イシマス・・・!』

たどたどしい日本語で自己紹介をしている。

韓国・・・?BIGBANG・・・?あぁ、友達が話してた今話題になっているグループか・・・。そりゃ、デビューしたばっかで日本語はそう簡単に覚えられないのは当然か。

『よろしく。』

僕は彼女に握手しようと手を差し出すと、彼女は何故か恐る恐る、僕の手に近づき、握手をしてくれた。

一体何なんだ・・・?

「なんで、恐る恐るなの?」

僕は韓国語で彼女に問いかけた。

タ「あー、ガクトさんの握手は痛いって聞いたことありまして、それで・・・、思わず構えてしまって・・・。」

彼女は目を泳ぎながら、正直に言うと、僕が怒ってるとヤバいと思ったのか、

タ「ち、違います!悪い意味で言った訳じゃなく、風の噂で聞いていて・・・、決してガクトさんが悪いって訳じゃないのはわかっています・・・!不快な思いをしてしまって、本当にごめんなさい・・・!!」

彼女はあたふたと慌てだし、早口で弁解した後、90度のお辞儀で僕に謝罪をした。

あぁ・・・。そういうことだったんだ・・・。まぁ、事実は事実だし、さすがに女の子相手は・・・。けど、必死すぎて何か面白い・・・。

「・・・フッ、アハハハ!!」

僕は彼女の慌てっぷりに面白くて、思わず吹き出してしまった。
彼女はキョトンと僕を見ていたけど。

タ「あ、あの-・・・。」
「ご、ごめんごめん。(笑)必死すぎて、面白かっただけで・・・。(笑)別に握手のことで気にしてないよ。事実だし。むしろ、君をビビらせてしまったことに僕にも原因があるから、本当にごめんね。」
タ「あー、いえ・・・。大丈夫です・・・。」
「さすがに女の子相手に握手は力入れないよ。」
「そうですか・・・。はい・・・。」

彼女は僕が怒ってないと確信したのか、ふぅと溜め息をついた。

端麗な容姿とは裏腹にかわいいな・・・。

監『すみませーん!そろそろ撮影を始めまーす!』
「さぁ、もうすぐ始まるし、行こうか。(ニコ)」
タ「は、はい・・・。///」

顔を赤くなったり、青くなったりと忙しいなぁ・・・。けど、見ていて飽きないし、むしろ、かわいい。

その後、撮影は順調に行き、彼女の初めてとは思えない演技に僕はビックリしたし、何より切り替えるっていうのがすごかった。

まさか、彼女に惚れたというのはこの時の僕は思ってもみなかった。
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