運命の歯車
「ガ、ガクトさん・・・?」
ガ「・・・。」
ガクトさんはよろめきながら、俺のベッドまで近づいてきて、ジヨンが椅子を用意し、座らせると病室を後にした。
「ど、どうしたんですか・・・?わざわざ、韓国まで・・・。」
ガ「・・・ネットニュース、見たんだ。君が事故に遭ったって。」
「え?」
ガ「見た時に血の気が引いたんだ・・・。また、大切な人がいなくなると思うと・・・。」
「大切な、人・・・?」
ガ「実は・・・、僕、夢で奈々桜に会ったんだ・・・。」
「奥さんに?」
ガ「うん。「私の事を想っててくれて嬉しいです。けど、貴方は私と同じぐらい大切な人ができたんですよね?凪兎の事を可愛がってくれますし、ずっと、天国で見守ってましたよ。貴方の事も、凪兎のことも・・・。だから、ガクトさんには幸せになってほしいんです。そして、凪兎だけじゃなく、スンヒさんのことも、幸せにしてください。」って言われたんだ・・・。その夢を見た後に君のニュースが流れてたんだ。」
「ガクトさん・・・。」
ガ「奈々桜のおかげで、僕は勇気をもらえたんだ。スンヒちゃん・・・。」
「は、はい・・・。」
ガ「初めて会った時から、君が好きです・・・。僕と、結婚前提にお付き合いしてくれませんか?」
「ッ・・・!!」
ガクトさんの告白に俺は嬉しくて、涙が止まらなかった。
「俺も、ガクトさんが好き・・・!勿論、イエスです・・・!」
ガ「ありがとう・・・。僕、嬉しいよ。」
ガクトさんはまだ安静していない私を傷つかないようにそっと優しく抱きしめてくれた。
ガクトside
ん?ここは?
?『ガクトさん・・・。』
『ッ!?』
声の方に振り向くと凪兎の母で亡くなった妻の奈々桜がいた。
『な、奈々桜・・・!!』
奈『ガクトさん・・・!』
僕は目の前にいる奈々桜に会えた事が嬉しくなり、ギュッと抱きしめると奈々桜は僕を抱きしめてくれた。
そうか・・・。ここは夢なんだ・・・。
『本当に、久しぶりだね・・・。奈々桜・・・。』
奈『本当ですね・・・。4年ぶりですね・・・。』
『あの時はごめんね・・・。僕がそばにいなかったせいで、君を死なせてしまって・・・。』
奈『いいんですよ。おかげで凪兎が無事に産むことができて、あの子が元気にすくすくと成長していることだけが嬉しいんです。』
『もしかして、見守ってたの?』
奈『はい。もちろん、貴方のこともスンヒさんのことも・・・。』
『ッ!!』
奈々桜の口から彼女の名前が出てくると思わなかった。
奈『私、知ってたんですよ。貴方はスンヒさんの事が好きなのに、私の事で告白できないことを。』
『ッ・・・!!』
奈『私の事を想っててくれて嬉しいです。けど、貴方は私と同じぐらい大切な人ができたんですよね?凪兎の事を可愛がってくれますし、ずっと、天国で見守ってましたよ。貴方の事も、凪兎のことも・・・。』
『奈々桜・・・。』
奈『だから、ガクトさんには幸せになってほしいんです。そして、凪兎だけじゃなく、スンヒさんのことも、幸せにしてください。』
『・・・!!』
奈々桜の言葉で僕は心が救われた気がした。
『・・・ありがとう、奈々桜。』
奈『いいえ。後悔するのはガクトさんの方ですから。』
『グッ・・・!』
奈『もう、帰る時間になりました。ガクトさん、私はいつまでも・・・、貴方達の事を、見守っています・・・。』
『ハッ・・・!!』
目が覚めるとここは僕の仕事部屋だった。どうやら、寝落ちしたみたい。
奈々桜・・・、ありがとう・・・。おかげで僕は勇気が出たよ・・・!!僕、スンヒちゃんに告白する・・・!!
そう思い、僕はスマホを手に取るとネットニュースが流れたそれは、スンヒちゃんが収録中に事故に遭い、意識不明の重症というニュースだった。
それを見た僕は血の気が引き、頭が真っ白になった。
また、大切な人が、いなくなるのか・・・?カミと奈々桜みたいに・・・。そんなの、そんなのいやだ・・・!!どうか、彼女を僕から奪わないでほしい・・・!!
3日後に彼女が目が覚めたとネットニュースが出た。それを見た僕はホッと安心すると、僕のスマホから知らない番号が出て、怪しいと思いながら出るとスンヒちゃんのグループメンバーのジヨンくんだった。スンヒちゃんはいつも僕の事をジヨンくんに話していた。
ジ「ヌナが・・・、もし、俺が何かあった時に電話番号を渡されたんです・・・。すみません。勝手なことをしてしまい・・・。」
と謝られたが、僕は「いいよ」と許した。
2日後に僕は韓国へ行き、ジヨンくんが迎えられてくれた。ジヨンくんは僕を車に乗せてくれて、少しの間だけ彼らの寮に泊まった。
翌日、僕は彼女が入院している病院へお見舞いに行き、ジヨンくんが彼女の病室に案内してくれて、ジヨンくんが先に入ったと思ったら、すぐに出てきて、僕を「どうぞ」と言われ病室に入るとベッドには包帯とガーゼが貼られ、痛々しい姿の彼女がいた。
ただ、違ったのは彼女の左の目の色が紫になっていた。
けど、僕は彼女が無事だと安堵し、ふらつきながら彼女のそばに向かい、ジヨンくんが椅子を用意してくれ、座った。
ジヨンくんはそのまま、退出すると彼女と2人きりとなった。
ス「ど、どうしたんですか・・・?わざわざ、韓国まで・・・。」
「・・・ネットニュース、見たんだ。君が事故に遭ったって。」
ス「え?」
「見た時に血の気が引いたんだ・・・。また、大切な人がいなくなると思うと・・・。」
ス「大切な、人・・・?」
「実は・・・、僕、夢で奈々桜に会ったんだ・・・。」
ス「奥さんに?」
「うん。「私の事を想っててくれて嬉しいです。けど、貴方は私と同じぐらい大切な人ができたんですよね?凪兎の事を可愛がってくれますし、ずっと、天国で見守ってましたよ。貴方の事も、凪兎のことも・・・。だから、ガクトさんには幸せになってほしいんです。そして、凪兎だけじゃなく、スンヒさんのことも、幸せにしてください。」って言われたんだ・・・。その夢を見た後に君のニュースが流れてたんだ。」
ス「ガクトさん・・・。」
「奈々桜のおかげで、僕は勇気をもらえたんだ。スンヒちゃん・・・。」
ス「は、はい・・・。」
「初めて会った時から、君が好きです・・・。僕と、結婚前提にお付き合いしてくれませんか?」
ス「ッ・・・!!」
僕の告白に彼女は涙を流した。
ス「俺も、ガクトさんが好き・・・!勿論、イエスです・・・!」
「ありがとう・・・。僕、嬉しいよ。」
僕はまだ安静していないスンヒちゃんを傷つかないように優しく抱きしめ、スンヒちゃんを僕を抱きしめ返してくれた。
「僕ね、君の蝶のヘアピン見た時に・・・、僕の亡くなった親友を思い出したんだ・・・。」
ス「え?」
「僕が所属していたバンドのメンバーでメンバーとの仲違いが原因で僕はバンドを脱退して、音沙汰もなかった。脱退して半年でその親友は亡くなったんだ。」
ス「・・・。」
「もう11年前になるけど・・・。その友人の名前は・・・。」
ス「カミさん・・・。」
「え?」
ス「カミさんですよね・・・?」
スンヒちゃんの口からカミの名前が出てきて、僕は驚きが隠せなかった。
「なんで、知ってるの・・・?」
ス「実は・・・。」
スンヒちゃんの話によると目覚める前に夢の中でカミが出てきて、そのまま、渡ってしまったら生きて帰れないと助けてくれ、いつも、僕の事を見守ってた。奈々桜と一緒に。僕からの伝言で
「あの時は本当にごめん・・・。幸せになれよって・・・。」
と僕への謝罪と「幸せになってほしい」の言葉だった。
僕はカミの言葉を聞き、涙が止まらなかった。
謝るのは僕の方だよ・・・。僕も、あの時はごめん・・・。って、直接、言いたかった・・・。
ス「後、この左の色はカミさんからのプレゼントらしいんです。」
「彼の・・・、メンバーカラーだったからね。すごく、綺麗だよ・・・。」
ス「・・・本当に奈々桜さんや、カミさんには感謝しかありません・・・。」
「本当だね・・・。あ!それとジヨンくんから聞いたけど、僕の番号を渡したんだって?」
ス「え?あ・・・。ごめんなさい!勝手な事をしてしまって・・・!!」
「いいよ。怒ってないよ。むしろ、助かったし、君は良い友人を持てたね。」
「ッ!!はい・・・!」
彼女の笑顔は今まで以上に輝いていて、僕はこの笑顔を絶対に壊したくない、失いたくないと心から誓った。
