運命の歯車


ガクトさんと出会ってちょうど1年、ナギくんと交流して半年が経ち、俺はバラエティ番組の収録で学校のロケに来て、収録を撮り、今は休憩中。俺は学校の廊下の窓辺で空を見上げていた。

「はぁ・・・。」
ジ「大丈夫?ヌナ。」
「ジヨン・・・。」
ジ「なんか、最近溜め息ばっかり吐いて・・・。何かあったの?」
「まぁ、ちょっとした悩みごとで・・・。」
ジ「メンバーにも言えない悩み事?」
「そうなんだ・・・。」

この半年間、ガクトさんの事で悩んでいた・・・。俺たちは付き合ってもないのに、こんなズルズルした関係のことで・・・。

ガクトさんは未だに、亡くなった奥さんの奈々桜さんのことを想っていて、告白ができない事にずっと悩んでいた・・・。メンバーにも心配かけたくないし・・・。

ジ「まぁ、無理に話す必要はないけど、もし、話したいって時はいつでも、話を聞いてあげるから。」
「ジヨン・・・。ありがとう・・・。」

ジヨンとはずっと、長い付き合いで互いに支え合い、過ごした大事な友人・・・。俺が脱退してから、疎遠になり、死ぬまで会う事はなかったけど・・・。やっぱり、俺にとってジヨンは大切な親友だ・・・。

ジ「ヌナ、もうすぐ休憩が終わるよ。早く戻ろうよ。」
「うん!」

俺はジヨンと他愛もないおしゃべりをしながら、場所に戻った時に俺は閉めている窓を軽くぶつかった瞬間、窓が壊れ、俺はそのまま転落し、割れた窓のガラスが刺さり、流れてる血を見ながら、俺はそのまま意識を失った。








「ん?ここは・・・。」

目が覚めると何もない暗闇の中だった。俺はキョロキョロと見渡しながら、前へ進んだ。

「確か俺は・・・、窓から落ちて・・・。そっか・・・。また死んだのか・・・。」
?『死んでなんかないよ。』

すると後ろから声がし、振り返ると肩までつく長さの赤茶色のストレートの髪に切れ長の目つき、紫の着物を着た青年が立っていた。

「だ、誰・・・?」
?『俺はカミ。君はまだ死んでないよ。』
「死んで、ない・・・?てか、日本語?」
カ『後、そこに行っちゃダメだ。そのまま行ったら、君は死んじゃうよ。』
「え・・・?」
カ『ここは生と死の間だ。その先には三途の川がある。あそこ渡ってしまったら二度と生き返れないよ。』
「ッ・・・!!」

カミさんと言った青年は俺がそのまま行ってしまったら、生き返れないと忠告してくれた。

『あ、ありがとうございます・・・。』
カ『君がガクが愛してる子なんだね。いつも、見守ってたから。』
『ガクって、ガクトさんのことですか・・・!?』
カ『うん。何故俺が現れたのか、君を助けるためだよ。』
『え・・・?』
カ『ガクは君の事を愛しているけど、死んだ奥さんのことで中々、踏み切れなかったんだ。』
『ッ・・・!?』

カミさんの思わぬ言葉で俺は目を見開いた。

ガクトさんが、俺のこと、愛してる・・・?

カ『アイツの奥さんと一緒に2人のこと、息子の事を見守ってたんだ。奥さんは君の事を許しているよ。君ならガクの事、息子の事を幸せにしてくれるって。』
『奈々桜さん・・・。てか、奈々桜さんと一緒ってことは、カミさんも亡くなってるってことですか・・・!?』
カ『あぁ。ガクには幸せになってほしいんだ。後、ガクに会ったら伝えてほしい。あの時は本当にごめん・・・。幸せになれよって・・・。』
『・・・はい!』

すると暗闇から光が差し込んできた。

カ『もうすぐ目が覚める時だ。あ、君にはガクが世話になってるお礼として受け取ってほしい。』

そう言うとカミさんは俺の左目に手を覆うと俺はそのまま、意識を失った。








ふと目が覚めると白い天井が目の前にあり、ここは病院だとハッキリ分かり、目の前にはメンバーがいた。

ジ「ヌナ!!」
ス「ヌナ、わかりますか?」
テ「先生!スンヒヌナが起きました・・・!!」
ヨ「よかった・・・。」
「ジヨン・・・、スンリ・・・。テソナ・・・、ヨンベ・・・?」

俺はベッドから起き上がると一瞬だけ目眩がした。

テ「あー!無理しないでください!」
「わ、悪い・・・。」
ジ「ヌナ・・・、あれから3日間、眠ってたよ。」
「3日間・・・。そんなに寝ていたんだ・・・。」
ス「あの時の事は憶えてます?」
「確か、ロケ中に転落したことは憶えている・・・。」
ヨ「記憶は問題ないな。」
「皆、心配掛けてごめんな・・・。」
ス「いいですよ!ヌナが無事ならそれでいいんです!」
テ「後でヌナの家族が来ますので。」
「そうか・・・。来るんだ・・・。」
ジ「ヌナ、ずっと気になってたんだけど・・・。」
「なんだ?」
ジ「左の眼の色が・・・。」
「え?」

ジヨンは俺に手鏡を渡され、確認すると俺の左目は黒じゃなく、紫色になっていた。

え・・・?なんで・・・?どういうこと・・・?あ!

カ『君にはガクが世話になってるお礼として受け取ってほしい。』

俺はカミさんの一言を思い出し、お礼とはこれのことだったんだと悟った。

先生から聞いた話だと事故によって虹彩の損傷でメラニン色素の分布に変化が起こることで後天性のオッドアイになると言っていた。けど、メンバーと家族は気味悪がられず、綺麗だと言ってくれた。

目が覚めてから3日が経ったある日、ジヨンが俺に面会人が来ていると言われ、「通して」と言うと日本にいるはずのガクトさんが俺の目の前にいた。
19/21ページ
スキ