運命の歯車
それから、帰るまでの2日間、ナギくんとお買い物に行ったり、遊びに行ったりした。
本当に小さい子は元気で、体力は無限・・・。けど、寝顔はかわいい♡
ガクトさんはお世辞なく、ナギくんの楽しそうな笑顔を見て、優しい笑みを浮かべていた。
そして、帰る日が来て、
ガ「この4日間、ありがとね。」
「いえ、ナギくんが楽しんでもらえて何よりです。」
ナ『おねーちゃん、帰っちゃうの・・・?』
ナギくんはガクトさんのズボンを握りしめながら、涙目で俺を見ていた。
『帰るよ。でも、またここに来たら会うから。泣かないで。』
ナ『ほんと!?』
ガ「え?いいよ。無理しなくても・・・。」
「いえ、俺が会いたいって思ってるから言ってるんです。ガクトさんも仕事も大変かもしれませんけど、無理しないで下さいね。」
ガ「ありがとう・・・。」
その後、俺は韓国へ帰り、相変わらず仕事で日本と韓国の行き来の繰り返しだった、日本にいる間はガクトさんに会い、ナギくんの面倒を見ている。
ガクトさんは・・・、誰ともお付き合いしようとは思わないんだ・・・。俺って、余計なことをしてしまったのかな・・・?
ガクトside
日本にいる間、ナギの母親代わりになってほしいなんて・・・、僕って結構酷だな・・・。
あのデートから年が明け、スンヒちゃんが日本に来るという良いタイミングのメールが来て、もっと僕のことを知って欲しいと思い、ナギの存在を打ち明けようとした。
そして、スンヒちゃんが来日、待ち合わせ場所に行くとスンヒちゃんがいて、僕を見た直後、ナギの存在に気づき、固まっていた。
紹介した後、ファミレスに行き、奈々桜のこと、ナギのことを話した。それで彼女がここにいる間、ナギの母代理になってほしいと言った。
まだ幼いナギは母親が必要な年だし、母親がいないナギにとって、母というのはどんなのか体験してほしかった。
彼女は嫌がるどころか寧ろ、笑顔で承諾してくれた。ナギも彼女がここにいる間はナギの母親って言うと笑顔で喜んでいた。
最初に行く所は動物園と決めていた。実は奈々桜が亡くなってから、親子で遊びに行く機会がなかった。仕事で忙しいのもあったし、他の親子を見ているとナギには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そう打ち明けると、
タ「そういうことなら、いいですよ。」
「え?」
タ「俺、将来、お母さんになったら、子供と一緒に遊びに行くのが夢なんです。それにどういうものなのか、体験になります!」
「ッ!ありがとう・・・!」
そう笑顔で言ってくれた。僕は今までの事をナギに謝り、一緒に動物園に行こうって言うと嬉しそうな笑顔で喜んでいた。
本当に申し訳ないことをしたなと心から反省した。
動物園に着き、色々と周り、ふれあいコーナーで小さい動物と触れあい、生まれたばかりのライオンの赤ちゃんの公開を見たり、ナギはずっとキラキラした目で動物たちを見ていた。
本当に楽しそうでよかった・・・。
帰る時にスンヒちゃんが、
ス「多分、ガクトさんには失礼かもしれないですけど、奥さんの奈々桜さん、どんな人だったんですか?」
「うーん、そうだね・・・。見た目は真っ直ぐで長い黒髪にナギと同じ金色に近い琥珀色の瞳、僕も僕のメンバーも赤面になるほどの美人で、儚げだけど、芯が強くて、慈悲深くて、優しい女性だった。」
ス「へぇ。今でも、奈々桜さんのこと、愛してるんですか?」
「そうだね・・・。亡くなった今でも、愛してるんだ・・・。」
そう言うとスンヒちゃんが何故か悲しそうな笑顔をしていた。
「あぁ、もちろん、愛してるけど。ナギに母親が必要だと思って、再婚を考えてはいるんだけど、中々踏み出せなくて・・・。」
ス「なんでですか?」
「天国の奈々桜は許してくれるだろうかと躓いちゃって・・・。」
ス「一歩踏み出せないと・・・?」
「そう・・・。」
ス「ごめんなさい・・・。せっかく、楽しい気分だったのに、俺のせいで、暗い話になってしまって・・・。」
「いや、いいよ。全然大丈夫だから。逆に僕が暗い話を変わってしまったからね・・・。むしろ、ごめんね・・・。」
好きになった子をここまで、悲しくさせるなんて・・・、僕はなんてダメなんだろう・・・。
ス「あ、ここです・・・!ここが俺が泊まってるホテルです・・・!」
「もう着いたんだ。じゃあ、ごめんだけど、明日も頼めるかな?」
ス「もちろんです・・・!俺が帰るまで、ナギくんと、ガクトさんと一緒に過ごしたいです・・・!!」
「じゃあ、おやすみ。スンヒちゃん。」
ス「おやすみなさい・・・。」
そう言うとスンヒちゃんは車から降り、車が見えなくなるまでわざわざ見送ってくれた。
それから、彼女が帰るまでの2日間、ナギと一緒に買い物したり、遊びに行ったりもした。
ナギだけじゃなく、彼女も楽しそうな笑顔をしていた。その光景に僕は思わず、頬が緩んだ。
帰る日が来て、ナギは当然、泣きそうになったが、
ス『帰るよ。でも、またここに来たら会うから。泣かないで。』
ナ『ほんと!?』
「え?いいよ。無理しなくても・・・。」
ス「いえ、俺が会いたいって思ってるから言ってるんです。ガクトさんも仕事も大変かもしれませんけど、無理しないで下さいね。」
「ありがとう・・・。」
その後、彼女は韓国へ帰り、相変わらず仕事で日本と韓国の行き来の繰り返しで、日本にいる間は僕に会い、ナギの面倒を見てくれている。
奈々桜・・・、奈々桜には悪いけど、僕、やっぱり、スンヒちゃんが好きなんだ・・・。認めてくれなくてもいい・・・、ただ、僕たちのことを見守って欲しい・・・。
