運命の歯車


収録後、俺はガクトさんを追い、

「ちょっと、ガクトさん・・・!!」
ガ「あ、スンヒちゃん。お疲れ。」
「お疲れ様です・・・じゃなくて、なんなんですか、さっきのは・・・!?」
ガ「何が?」
「何がじゃなくて、あんな大勢の前で、俺、恥ずかしかったんですから・・・!!」
ガ「・・・あー。だって、さっき楽屋挨拶に来てた時のスンヒちゃんが僕の目合わずにそそくさと走り去ったから、さすがの僕も傷つくよ。だから、イタズラしようって思ってたの。」
「だからって・・・!もちろん、俺だってさっきのことは反省していますよ・・・!けど、最近、会ったばっかりで、3日前のことを思い出して、気まずかったんですよ・・・!」
ガ「3日前?あー、誕生日デートか。それがどうしたの?」
「ガクトさんが俺に宿舎を送ってもらって、入ろうとした時に、ガクトさんが俺の頬にキスしたことを・・・!」
ガ「あー。スンヒちゃんがあまりにも愛らしかったからつい。」
「”つい”じゃないですよ・・・!俺、本当に、ガクトさん、慣れすぎて恥ずかしかったんですから・・・!!///」

うぅ・・・!!また、思い出しちゃった・・・!!///

俺はまたあの時のことを思い出し、恥ずかしくなってきた。

ガ「後、気になってたんだけど・・・。」
「はい?」
ガ「スンヒちゃん、自分のこと”俺”って言うんだ。」
「うぇ!?出てました・・・?」
ガ「うん。無意識に出てたよ。」
「ッ・・・!!」

しまった・・・!!女に生まれ変わったから、言葉遣いには気をつけなきゃって意識してたのに・・・!!

俺は自分の失態に落胆した。ガクトさんの反応が怖くて、顔も見れなかったが、

ガ「けど、不思議に違和感がない。」
「え?」
ガ「むしろ、こっちの方がしっくりする。「私」より。」
「ほ、本当ですか・・・?」
ガ「うん。これがスンヒちゃんの素顔なんだって思って。」
「いやー、言葉遣いには気をつけようと思って、初対面の人だけは「私」って言ってるんです。メンバーとか親しい人だけは「俺」って言ってるんです。」
ガ「なるほど。確かに女の子って言葉遣いとか気にしちゃうから、余計に素の自分が出にくいからね。」
「はい・・・。言葉遣いには気をつけてるんですけど・・・。これが俺にとって苦痛で仕方なくて・・・。」

女に生まれ変わってから、言葉遣いには気をつけようと頑張ってはいたんだけど・・・、こんなに大変だったとは思わなかった・・・。女性らしい言葉遣いは俺には合わねぇな・・・。

ガ「・・・別にいいよ。」
「え?」
ガ「無理して「私」なんて言わなくて。逆に少しだけど素の君を見れて、僕はよかったって思ってる。今度から「俺」って僕の前でも言っていいから。」
「えぇ・・・!?」
ガ「だって、そうしないとスンヒちゃん。「私」って無理して言っちゃいそうだから。」
「そ、そうですけど・・・。」
ガ「だったら、無理をせず少しだけでいいから。本当の君を見せて欲しい。ずっと自分を偽り続けるのも大変だと思うから。」
「ッ・・・!!」

俺はガクトさんの言葉で胸が少し軽くなった気がした。

「本当に、がっかりしませんか・・・?」
ガ「しないよ。寧ろ、本望だから。」
「プッ、なんですかそれ・・・!」

俺はガクトさんの言葉がおかしくて、思わず吹き出してしまった。









ガクトside

また素顔が知れて、嬉しい自分がいる・・・。

収録後、彼女は僕のことを追いかけ、

タ「ちょっと、ガクトさん・・・!!」
「あ、スンヒちゃん。お疲れ。」
タ「お疲れ様です・・・じゃなくて、なんなんですか、さっきのは・・・!?」
「何が?」
タ「何がじゃなくて、あんな大勢の前で、俺、恥ずかしかったんですから・・・!!」

さっきの・・・。あー!収録中のか!

「・・・あー。だって、さっき楽屋挨拶に来てた時のスンヒちゃんが僕の目合わずにそそくさと走り去ったから、さすがの僕も傷つくよ。だから、イタズラしようって思ってたの。」
タ「だからって・・・!もちろん、俺だってさっきのことは反省していますよ・・・!けど、最近、会ったばっかりで、3日前のことを思い出して、気まずかったんですよ・・・!」
「3日前?あー、誕生日デートか。それがどうしたの?」
タ「ガクトさんが俺に宿舎を送ってもらって、入ろうとした時に、ガクトさんが俺の頬にキスしたことを・・・!」
「あー。スンヒちゃんがあまりにも愛らしかったからつい。」
タ「”つい”じゃないですよ・・・!俺、本当に、ガクトさん、慣れすぎて恥ずかしかったんですから・・・!!///」

彼女は顔を赤くし、恥ずかしそうに両手に自分の両頬をあてた。

ん?けど、さっき「俺」って言ってなかった・・・?いつもは「私」なのに・・・。

「後、気になってたんだけど・・・。」
タ「はい?」
「スンヒちゃん、自分のこと”俺”って言うんだ。」
タ「うぇ!?出てました・・・?」
「うん。無意識に出てたよ。」
タ「ッ・・・!!」

彼女はさっきのことで気づかなかったのか、「しくじった」って顔に出てた。

やっぱり・・・。面白いな・・・。(笑)けど、本当に自然に喋ってたし、何より違和感はなかった・・・。

「けど、不思議に違和感がない。」
タ「え?」
「むしろ、こっちの方がしっくりする。「私」より。」
タ「ほ、本当ですか・・・?」
「うん。これがスンヒちゃんの素顔なんだって思って。」
タ「いやー、言葉遣いには気をつけようと思って、初対面の人だけは「私」って言ってるんです。メンバーとか親しい人だけは「俺」って言ってるんです。」
「なるほど。確かに女の子って言葉遣いとか気にしちゃうから、余計に素の自分が出にくいからね。」
タ「はい・・・。言葉遣いには気をつけてるんですけど・・・。これが俺にとって苦痛で仕方なくて・・・。」

確かに、男みたいな口調で話す女の子はいるけど、無理して言葉遣いを使うって苦痛で仕方ないし、その気持ち、わからなくもない・・・。

「・・・別にいいよ。」
タ「え?」
「無理して「私」なんて言わなくて。逆に少しだけど素の君を見れて、僕はよかったって思ってる。今度から「俺」って僕の前でも言っていいから。」
タ「えぇ・・・!?」
「だって、そうしないとスンヒちゃん。「私」って無理して言っちゃいそうだから。」
タ「そ、そうですけど・・・。」
「だったら、無理をせず少しだけでいいから。本当の君を見せて欲しい。ずっと自分を偽り続けるのも大変だと思うから。」
タ「ッ・・・!!」

僕もいつまでも、彼女に嘘つくわけにはいかないし・・・。ナギのことも、ちゃんと話さないとだ・・・。

タ「本当に、がっかりしませんか・・・?」
「しないよ。寧ろ、本望だから。」
タ「プッ、なんですかそれ・・・!」

彼女は僕の言った事がおかしいのか、思わず吹き出して笑っている。そんな笑ってる姿を見た僕は、この愛らしい笑顔を壊したくないと思う自分がいる。

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