メイドと主人
神威家のメイドとして働いて1週間が過ぎた。
最初は当然、慣れなかったけど。優しい先輩が教えてくれたおかげで、楽しく働いている。
「今日は多分、紅茶・・・。昨日あれだけ、目がバキバキしてたから・・・。」
ガクト様の部屋に向かい、ノックをした。
「ガクト様、ハイドです。」
ガ「いいよ。入って。」
と俺は部屋に入ると、眼鏡をかけ、資料を見ているガクト様に俺は一瞬見惚れてしまい、紅茶が入っているティーカップを机に置くと、
「ガクト様、これ・・・。」
ガ「これは?」
「蒸しタオルです。ガクト様、昨日、忙しかったみたいですし・・・。目がバキバキでしたから・・・。これで目を温めて下さい・・・!」
ガ「・・・フッ、ありがとう。気を使ってしまってごめんね。」
「い、いえ・・・!///じゃ、じゃあ、私。失礼します・・・!!///」
俺はそそくさと部屋を出た。
あれから、1週間が経つけど・・・、ガクト様って、こんなに笑う人だったなんて・・・!!///
知「ハイドちゃん、ここに来て1週間しか経ってないのに、覚えが早いし、ガクト様のことをちゃんと見てるなんてすごいね!ここで働いていたメイド達は上辺だけのガクト様しか見ていなかったのに。」
「そうですか・・・?俺はたまたま、調子が悪そうだったように見えたので・・・。」
明「けど、ハイドちゃんが来てから、ガクト様。笑顔が増えた気がするわ。」
「そうなんですか・・・?さっき、お茶とかコーヒーを持って行きましたけど、後に笑顔でお礼とかされてましたけど・・・。」
麗「えぇ!?全然!!私たちの時はお礼は言うけど、いつも真顔だった。」
明「きっと、ハイドちゃんのことを気に入ってると思うわ。」
「そ、そうなんでしょうか・・・?」
ガクトside
ハイドという少女が入って、1週間が経った。最初はぎこちなかったけど、彼女は過去のメイドより覚えるのが早かった。
何より、僕のことを気を使ってくれる。さっき、蒸しタオルを渡された。僕が昨日、大量の資料で目を通してたから目がバキバキになっていて、結局、4時間の睡眠だった。
それをハイドは見ていたらしい。僕は彼女の容姿だけじゃなく、気配りと内面の美しさに益々惹かれていく。
僕は気になり始め、さっそく、ハイドのことを調べることにした。
実はここにいる使用人は辛い過去を持っており、明美は男尊女卑の家庭に生まれ、小さい頃から実家に虐げられてきて、実家に逃げてきた所、父さんが拾い、メイドとして雇った。知恵は施設に育てられ、親の顔も知らない。施設へ出た後、母さんがスカウトし、メイドとして雇った。麗は親から虐待を受け、逃げてきた所で明美が拾い、メイドとして雇った。
調査報告が来て、見てみると、ハイドは日本人の父とイギリス人の母との間に生まれたハーフ。兄弟は兄が1人。幼少期に母親を亡くし、その後、父は再婚したが、母親似の兄ばっかり可愛がり、ハイドだけを虐げられている。父はハイドのことを助けず、見て見ぬ振りばっかりだった。
近所からも、学校からも兄とハイドを比較され、辛い日々を送っていた。そんな中、味方だったのが父方、母方の祖父母、伯父夫婦、従兄弟だけだった。
ずっと、辛い思いをしてたんだね・・・。けど、ここにいる者は皆、ハイドの味方だからね・・・。
続く
