メイドと主人


なんて・・・、カッコいい人・・・。この人が、ガクト様・・・。///

俺は絵から出てきたようなイケメンに心を奪われてしまった。先輩が咳払いをし、我に返り、慌てて自己紹介をした。

「は、初めまして・・・!!今日から、ここのメイドとして働くことになった、ハイドです・・・!!まだ分からないことがありますが、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします・・・!!」

勢いで自己紹介した後にお辞儀をして、顔を上げると、

ガ「フッ、そんなに固くならなくていいから。僕はガクト。まだ分からないことがあって当然。少しずつでいいから、慌てず焦らず、仕事を覚えておくといいから。」

と優しい笑顔でそう言われ、俺は思わず「は、はい・・・。///」と顔を赤くなりながら、返事をした。

先輩メイドの知恵さんから基本を教え、ガクト様のことを教えてくれた。

知(先1)「コーヒーか紅茶を飲みたい時はガクト様の気分次第らしい。」
「知恵さんでも分からないことがあるんですか?」
知「そうね~・・・。ここを努めてもう10年になるけど、まだ分からないこともあるわ。」
「そうなんですか・・・。そういえば、奥様はいないのですか?」麗(先2)「奥様は今、お仕事のため海外出張に行ってるわ。」

と話してくれたのは先輩メイドの中で最年少のうららさん。

「それって、キャリアウーマンってことですか?奥様。」
麗「そうよ。奥様は神威財閥の当主の妻だけじゃなく、経営者でもあるの!旦那様も会長でもあって、学園の理事長でもあるの!かっこいいと思わない?」
「か、かっこいいです・・・!!ガクト様、ご兄弟は・・・?」
明(先3)「いるわ。8才上の兄のヨシキ様って方。」

そう説明してくれたのは、先輩メイドで最年長の明美さん。

「お兄さんが?後継者にはならなかったのですか?普通だったら、一番上が後継者になるイメージが・・・。」
知「なんかヨシキ様曰く「俺は後継者っていう器は持ってないから。次期当主には向いてない。」って言ってたわ。今はロスに住んでいて、Xってバンド知ってる?」
「はい。知っています。有名なバンドですよね?ヨシキって、あのリーダーのヨシキですか・・・!?」
知「そうよ。学生時代にやっていたバンドが今じゃ若者に人気で有名バンドなの。」
「反対とかありませんでしたか?」
麗「反対はあったんじゃない?けど、旦那様と奥様は反対はせず、「自分で決めたことだから、最後までやり遂げろ。」って聞いたことある。」

良いご両親だ・・・。ウチとは大違い・・・。

明「さぁ、話はこれぐらいにして。基本はちゃんと覚えた?」
「はい!ちゃんと、メモをとりましたから!」
明「よし!じゃあ、早速、仕事を始めるから。覚悟しといた方がいいわよ!」
「はい・・・!!」

よーし!!これから、ここのメイドとして頑張るぞーー!!













ガクトside

どうせまた・・・。同じだと思う・・・。新しいメイドなんて・・・。

僕はガクト。代々続く神威財閥の御曹司で次期当主。そのため、僕は小さい頃から裕福な家庭で何不自由なく育てられて、金持ちの子供として生きてきた。

だが、両親は仕事で忙しく、一緒にいる時間が少なかった。
そのため、代わりに乳母と8才年上の兄、ヨシキに育てられた。

何故、次期当主がヨシキじゃなく、僕なのかって?

ヨシキは「俺は後継者っていう器は持ってないから。次期当主には向いてない。」って後継者の座を捨て、僕がこの財閥の後継者になった。

年頃になった頃に金持ちの集まるパーティーに行くようになると、「神威財閥の御曹司」としか見てくれないし、「神威」の名に惹かれる女性ばっかりだった。

それが原因で僕はパーティーが嫌いになった。

新しいメイドも僕との結婚を夢に媚び売ってるのもバレバレだった。媚薬の入った紅茶を飲まそうとしたり、「私がいないとダメなんですから~。」と頼んでもいない手伝いをしたり、「これ、余り物なんですけど・・・。」と得意じゃないお菓子を渡されたりとそればっかりだった。

だから、嫌われるようにわざと嫌な主人を演じた。それが上手くいったのか新人メイドが次々に辞めていった。

今、信頼できるメイドは知恵と麗、明美、メイド長の4人だけだった。あの3人メイドは僕のことを媚びを売らず、主人として、誠実に接してくれるから信用できる。

今回はおじいさんの紹介で新しいメイドが入ることになった。
そのメイドはおじいさんの旧友の孫で高校卒業したばかりで上京したばかりで就職先が見つからず、相談したら、おじいさんが勧めてくれ、ここで住み込みで働くことになった。

どんな子かは知らないけど・・・、絶対に辞めさせてやる・・・。

窓の外を見て、そう思ってるとノックが聞こえ、

明「ガクト様!新人のメイドのご紹介に・・・。」
「・・・入って。」

僕が許可を言うと、いつもの3人と新人のメイドの子が入ってきた。

まぁ、顔ぐらいは見ておこう・・・。今回も同じだと思うけど・・・。

僕は新人メイドの子の顔を見て、思わず息をのんだ。

明るい茶髪に琥珀色の瞳。ハーフと思わせる目鼻立ちがハッキリしている美少女が立っていた。

え・・・?何この子・・・。めちゃくちゃかわいい・・・!僕のタイプじゃん・・・!!

ハ「は、初めまして・・・!!今日から、ここのメイドとして働くことになった、ハイドです・・・!!まだ分からないことがありますが、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします・・・!!」

お辞儀しながら、僕に懸命に挨拶をした。僕は彼女の懸命さに愛らしく見えてきて、

「フッ、そんなに固くならなくていいから。僕はガクト。まだ分からないことがあって当然。少しずつでいいから、慌てず焦らず、仕事を覚えておくといいから。」

そう言うと彼女は「は、はい・・・。///」と顔を赤くなりながら、返事をした。

知恵たちが出て行った後、僕はこう思った。

この子、今までのメイドと違うかも・・・。この子なら、信頼できるかも・・・。

続く

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