第5界層 〜不朽不滅の幽鬼の塔〜
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俺とおっさんでこの馬鹿デカい幽霊のような奴を押していく。
その幽霊に抱き着かれているメルクは足が着いていないせいか、俺たちが押すと勝手に動いてくれるので快適だと零していたので、まぁ良しとしよう。
大きな広場を抜け、いざ通路へと行こうとした矢先の事だった。
メルクを抱えたまま幽霊が大きく身体を振るため、おっさんと慌てて後退する。
するとあろう事か、メルクを抱き抱えたまま上へと逃げていくではないか。
ユーリ「?! 待てっ!!」
レイヴン「こりゃ、まずいんじゃない…?」
ジュディス「あの子も災難よね。毎回攫われていくんだから。」
レイヴン「おやゆび姫だからね〜?」
ユーリ「呑気に言ってる場合か!追いかけるぞ!」
通路を必死に駆け上がっていくが、一向にメルク達が見えてこない。
幽霊は飛んでいたし、そりゃあ足が早いに決まっている。
だが追いつかないとメルクが危ない。
何をされるか分かったもんじゃないからな。
最後の扉を勢いよく開くと、どういう状況かは分からないが既にメルクと幽霊のような奴が、ヌシと交戦中だった。
どうやら幽霊のような奴は味方についてくれているらしく、メルクの詠唱を守るかのように前線を張っている。
ユーリ「メルク!遅くなって悪い!」
『!!』
歌での詠唱中だが、僅かに反応したメルク。
大きく頷き、短杖をこちらに向けていた。
その瞬間、体の奥底から湧き上がる活力に一瞬目を見張ったが、すぐにメルクの支援だと気付き助けに入る。
ジュディス「幽霊が邪魔ね。」
レイヴン「いやいやジュディスちゃん?あの子、多分味方よ?味方を攻撃しないわよね…?」
ジュディス「さぁ?どうかしら。」
ユーリ「ジュディ!頼むから攻撃するならあの鎌持ってるやつにしろよ?2体相手はキツイぞ!」
ジュディス「分かってるわよ。」
少し拗ねたようにジュディが口を尖らせたが、瞬間消え去ると敵の頭上から攻撃をしていた。
……流石ジュディだな。
寸分の狂いなく敵を攻撃出来ている。
俺もジュディに負けないように前線へと走り出し攻撃を繰り出す。
ユーリ「蒼破っ!」
レイヴン「メルクちゃん!火属性の術、お願いよ!!」
『〜♬*°(こくり)』
おっさんの言う通りに、次の瞬間ヌシへと火属性攻撃を当てに行くメルク。
その攻撃はまるで敵を追尾する灼熱の弾だ。
追尾ということもあってか、必中の火属性攻撃が敵を苦しめている。
そこへ追い打ちをかけるように俺とジュディが攻撃をすると、僅かに敵が後退する。
《◎△$♪×¥●&%#?!!》
訳の分からない言葉を発していたのは、大層メルクを気に入っていた幽霊だった。
言葉が言い終わると同時に炎弾が後退する敵に襲いかかり、直撃する。
どうやらあの幽霊も術が使えるようで、先程の前衛はサブなのだろう。
……ひとつ気に食わないのが、メルクと息を合わせて術を発動させることだが、一々そんな事で嫉妬していては器の小さい男と思われるので決して言わないが…。
それでも気になるものは気になってしまうのだ。
『〜♬*°.・*’’*・.♬』
《࿓༅༅☺︎︎♪◎☆◇$×𖤣𖥧𖥣。!!》
メルクが地面から炎を出現させると同時に幽霊が風を巻き起こし、まるで炎の竜巻のようになると勢いよく敵を包み込み、その身を焦がしていく。
敵の悲鳴が大きくなると、徐々に体が消えていく。
どうやらメルクのお陰で倒したようだ。
早く倒してしまったからジュディがまた拗ねるだろうな、とジュディの方を見てみると…やはり物足りなかったらしく不平そうな顔を見せていた。
おっさんに至ってはその場で倒れ込み、ボーッとしている始末。
メルクは嬉しそうに幽霊にお礼を言っていたので、それさえ気に入らない。
しかしそんな中、〈
途端に悲しそうな声で鳴く幽霊は放っておく事にして、早く外へ出ないとまた何処かのおやゆび姫は黒い奴に攫われてしまいそうなので急いで出口を探す事にした。
ジュディス「確か出口はあの扉の向こうだったわね。」
ユーリ「よし、早いところ行くぞ!おっさん寝てるなら置いてくぞー!」
レイヴン「分かったって!」
飛び起きて扉へと向かうおっさんを視認し、俺達も扉を潜りいつものメルクの居る場所へ。
……頼むから攫われてくれるなよ…!
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__知らぬ内に私は、またあの白い空間に居た。
《私の〝神子〟…。聞こえますか?》
『ユグドラシル様…』
《様はいりませんよ。私と貴方の仲ではありませんか。》
『…はい。』
《私の〝神子〟……。第5界層踏破、おめでとう。これはいつもの贈り物です。》
ユグドラシルの声が響き渡ると、目の前に光が現れそれに触れる。
そこには小さな宝箱があって、やはり例の宝石入った宝箱だろう。
……最近、これを飲み込むのが怖くなりつつある。
次はどんな副作用が現れるんだろう、と。
まるで…、どんどん人間としての自分とかけ離れていくみたいで、こんな事言ってはいけないのだがとてつもなくそれが怖い…。
《私の〝神子〟…。恐れることはありません。それは貴女が私の〝神子〟として、ちゃんと責務を果たしている証なのですから。》
『…そう、ですね…』
《それに今の貴女は痛みを感じないようですから、飲み込んだ時の弊害も出ないでしょう。……流石に副作用を止めることは出来ませんが、それだけでも幸いですね。》
『そうですか…』
宝石を飲み込むと胸が焼けるように熱くなったり、苦しくなるからそれは有難い。
でも、流石に副作用までは治らないか…。
『私、頑張ります…。頑張って願いを叶えます。だから…』
《分かっていますよ、私の〝神子〟。貴女が願いを叶えればこの世界は優しい世界へと生まれ変わるでしょう。マナの力の前では皆、平等なのですから。》
『…ありがとうございます。』
《さあ、行きなさい。私の〝神子〟……。くれぐれもあの男に注意なさい。殺されないよう、気を付けるのです。》
『…はい。』
クレイは今頃、何をしているんだろう…。
また迷子になって困っているのかも知れない。
私はそのまま光に包まれてその場から消えたのだった。
《…………。》
ユグドラシルは少女の居なくなった空間を覇気のない目で見つめていた。
先程までとは全く違う様相である。
《もうすぐ……もうすぐで叶いますよ。───。》
呟かれた声は直ぐに空間に霧散した。
そしてその白い空間には誰も居なくなっていた───