第5界層 〜不朽不滅の幽鬼の塔〜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
一方、中に入ったユーリ達はゆっくりと塔の中を順調に進んでいた。
なだらかな傾斜を上がっていくが、今の所何も出会っていない為拍子抜けしそうになる。
カロル「ここは上に上がれば上がるほど、敵の強さも、罠の数も増えていくんだ。」
ユーリ「そりゃ、気をつけないとな。」
リタ「つーか、ここまで何も無いと拍子抜けよね。」
パティ「リタ姐が元気になったのじゃ。」
リタ「バカねぇ、何も無いって分かったらそりゃあ──」
《ピーヒョロロロロ…》
「「「「!!!」」」」
ユーリ「どっかで罠が作動したぞ。」
カロル「皆気を付けて…。平気で前から岩が降りてくるとかあるから……」
ゴロゴロ……
カロルがそう言った傍から上の方で何かが転がってくる音がする。
全員が息を飲む中、カロルだけは横道を探し出し仲間たちを先導する。
カロル「皆!こっちだよ!!」
カロルの機転のお陰で横道に全員で逸れた一行の目の前を巨大な岩が転がっていった。
道幅ギリギリのようで、それは壁を擦って行きながら先程の道を下っていった。
……よくよく見れば、壁には何かが擦れた跡があったのを仲間たちは今更ながらに気付いたのだった。
リタ「あっぶないわね…」
パティ「凄い仕掛けなのじゃ!誰かが上の方でウチらの事を監視して作動させておるのか?」
ユーリ「ならそいつは、かなりの悪人だな。」
カロル「でも、本とか読んでても不思議だったんだけど、誰もいないみたいなんだよね。」
「「「……。」」」
カロルの言葉に辺りがシンと静まり返る。
リタに至ってはフルフルと震え始める始末。
ユーリはそっとリタから離れ、パティは天を見上げ不思議がっていて、カロルはリタの様子にようやく気付き慌てて逃げようとしたが、一足遅かったようだ。
リタの制裁を喰らい、吹っ飛ぶカロル。
そこへ__
《ピーヒョロロロロ……》
リタ「また?!」
パティ「今度はどんな仕掛けなんじゃ?!」
ユーリ「パティ!楽しがってないで、急いでここを抜けるぞ!」
カロルを起こし急いで先を急ぐユーリ達。
鳥の鳴き声がすれば、時には矢が、時には岩が、時には水が、ユーリ達へと襲いかかってきていた。
ユーリ「……これならまだお化けが出てきた方がマシだな。」
リタ「嫌よ!!」
カロル「ここの罠の数は星の数ほどあるらしくて大変だって冒険譚にも書かれていたよ。」
パティ「肝心のお化けの布が手に入ってないのじゃ〜…。」
カロル「多分もうそろそろ幽霊とかお化けがいる場所に辿り着くと思う。」
リタが喚き散らすが、ユーリ達は黙々と進んでいく。
次いつ鳥の声がするか分からないからだ。
だが、その一行の前には扉が立ち塞がっていた。
カロル「あ、ここを通ればもうお化けゾーンだよ。気を付けないと、悪戯されたり、物を盗られたりして大変だよ。」
ユーリ「お化けに気をつけろって言われてもな……」
パティ「お化けには何が効くんじゃ?」
カロル「アンデッド系の魔物も多いから火属性が効くらしいよ。」
リタ「じゃあ、あたしの出番ね…!何もかも燃やし尽くしてあげるわ…!」
ユーリ「頼むから塔は燃やさないでくれよ…。」
人選ミスったかな、とユーリが心の中で思えばカロルとパティが扉を開けていた。
見た目に反して重いらしく、2人がかりでも少しずつしか開いていないので、ユーリも手伝えばそれはあっという間に開いていく。
ユーリ「さて、と…。ちゃっちゃとお化けの布とやらを拝借しようぜ?」
カロル「持ってるなら魔生物型モンスターかも。ほら前に戦ったスピリッツ系とか。」
ユーリ「一応、知ってる魔物も出るんだな。」
パティ「見た事ない魔物希望なのじゃ!」
リタ「あんたら、気楽過ぎでしょ…!!」
そんな仲間たちの前にふーっと、白い何かが通り過ぎる。
いきなりの事だったので、誰もが息を止めてそれを見遣る。
半透明のそれはどう見ても、一般的に言われるお化け、と言うやつだ。
リタが失神しそうになり、パティが慌ててリタを支える。
カロルも顔を青くしてそれらを見ていた。
カロル「うそ…。こんなに早く…?」
ユーリ「こいつらは一体なんなんだ?」
カロル「これこそ、この塔の名前の由来だよ。本当はもっと頂上付近で出るはずなんだけど…。」
パティ「じゃあ、これがお化けなのかの…?大したことないのじゃ。」
ふわりふわりと浮かんでは消える白い塊。
そしてそれらは、幽鬼と呼ばれたお化けだった。
人にイタズラしては楽しむ厄介なヤツら。
ただ楽しむだけなら良かったのだが、1番厄介なのはそのイタズラが度を越している事だった。
カロル「気を付けて!何か出してくるよ!」
カロルの言葉通り、幽鬼がどこからともなく大きな火の玉を出しユーリ達を襲った。
あまりのデカさに躱すのがやっとで、流石のユーリ達も冷や汗が体を伝う。
ユーリ「こりゃ、やべえぞ…!」
パティ「退散なのじゃっ!」
カロル「リタ!起きてよ!早く逃げないと!」
カロルがリタを叩き起して一緒に頂上へ向けて走り出す。
その後をユーリとパティが走り出し、その白いものから逃げ出す。
幽鬼が追いかけてくることが無い様子を見て、一安心する4人だったが、すぐにまた別の個体が現れそれ所ではなくなってしまう。
更に運の悪いことに、魔生物型モンスターが現れユーリ達に襲いかかる。
ユーリ「このモンスターなら、全然余裕なんだがなっ…!」
カロル「とにかく、モンスターを倒さないと次に行けないよ?!」
パティ「じゃあ、早く葬ってやるのじゃ!リタ姐!頼むぞぃ!」
リタ「やってやる…!全て燃やし尽くしてやる…!!!」
リタの特大の魔術が炸裂し、モンスターが一掃される。
それを怖がるように幽鬼も後退りを始めた。
ユーリ「流石だ!天才魔導士!」
パティ「でも、どいつがお化けの布を持っているんじゃ?このままじゃ、ここに来た意味が無いのじゃ〜。」
カロル「モンスターをとにかく倒すしかないよ!メルクやベンだってこの第5界層にあるって言ってたんだし!」
ユーリ「タルカロンの時のようにすぐ落としてくれればいいがな。」
リタが他の魔物を一掃している間、幽鬼へと近付きユーリが思いっきり武器を奮う。
物理が効かなかったら天才魔導士様に頼めばいい。
今は少しでもお化けの布とやらを手に入れなければならないのだから。
カロルも攻撃を開始し、その後ろからはパティも銃で加勢する。
幽鬼には物理が効かないようで、ユーリがリタへと指示を飛ばす。
ユーリ「リタ!こいつをやれるか?!」
リタ「ぶっ飛ばしてやるわよ!!」
目標を幽鬼へと変更したリタを見て、ユーリ達は周りのモンスターの方を倒すことに専念した。
そしてその戦いが暫く続いた後、パティが嬉しそうな声を上げた。
パティ「これじゃないのか!!」
パティが両手に掲げた物は確かにお化けの布らしき素材だった。
それに誰もが喜びの声を上げ、すぐに頂上へ向けて走り出した。
ユーリ「これでもうここには用はないな!!」
パティ「おさらばなのじゃ〜!」
カロル「でも追いかけて来てるよ?!」
後ろからは魑魅魍魎の類が押し寄せてきていた。
今歩みを止めればそれらに捕まり、どうなるかは分からないだろう。
それくらい沢山の魔物やらお化けやらが群がっては追いかけてきているのだ。
カロル「うぅ…!!まだー?!」
ユーリ「でも最後にはまたヌシがいるんだろ?!」
パティ「もうこんな所懲り懲りなのじゃー!!」
リタ「だから言ったじゃない!!こんな所来たくなかったって!!」
止まれないユーリ達はひたすら頂上に向かって走っていた。
そしてユーリ達にとって希望の扉が見えてくる。
そうヌシの扉だ。
ユーリ「あそこに入るぞ!」
先にユーリが扉を蹴破り入っていく。
そこへリタ達が到着し、扉の中へと入ってくる。
後ろからついてきていた魑魅魍魎達は、その扉を潜ることなく、元の場所へと戻っていくのを見届け、ユーリ達は一息ついた。
だが気を抜けない。
ここにはこれから倒さなければならないヌシがいるのだから。
リタ「早くやってしまって、帰りましょ!!」
パティ「同感なのじゃ!」
主の部屋は頂上に相応しいくらい、大きな部屋となっていた。
よく目を凝らさないといけないほど薄暗く、ユーリ達は恐る恐る奥へと進んだ。
カロル「あれ?何もいない…?」
リタ「そうやって油断してると、後ろからやってくるわよ。」
パティ「ここのヌシはどんな奴なんじゃ?」
カロル「確か、大きなお化けのようなヌシで…」
ユーリ「あれじゃないか?」
ユーリが指差す方向には、鎌を持った死神の様な格好の魔物がいた。
だがしかし、その魔物はまるで寝ている様子である。
リタ「寝てるわね…。はぁ…。お気楽なもんねー?」
パティ「でも油断大敵なのじゃ。」
ユーリ「このままやっつけてしまえば楽なんじゃないか?ただでさえ人数が絞られてるんだ。少ない人数でやるなら奇襲が好ましいと思うが?」
カロル「誰が仕掛ける…?」
一斉に3人はリタを見る。
奇襲ならば、近付かず且つ悟られにくい魔術の方が効果的である。
それならば、ここはやはり天才魔導士様に頑張ってもらうしかないだろう。
リタ「分かったわよ。やればいいんでしょ。」
終わると分かっているからか、道中よりも元気な様子を見せるリタ。
すぐに詠唱を開始し、主へと奇襲を仕掛けた。
すると、本当に寝ていたらしい主が飛び起きて、悲鳴をあげる。
ユーリ「よし、やるぞ!」
パティ「あの鎌には気をつけるのじゃ!なんかあっという間に斬られそうなのじゃ!!」
カロル「体真っ二つとかシャレにならないんだけど?!」
ユーリ「そうならないように敵の動きはしっかり見とけよ?」
前衛組が一斉に攻撃を仕掛けるが素早い動きで避けられてしまう。
そこへ中距離からの銃攻撃でパティが応戦した。
何発かは当たっているものの、あまり効いていない様子でユーリ達前衛組に強烈な鎌で攻撃をしていく主。
そこへリタの魔術が炸裂する。
リタ「クリムゾンフレア!」
ユーリ「よし、もう少しだぞ!」
カロル「うぅ…メルクの支援が欲しいよー!!」
パティ「無いものねだりは今はご法度なのじゃ!!」
そこへフレン達2班が主への扉を開いた。
丁度戦っているユーリ達に加勢する形で、4人が入ってきた為、先発チームは喜びを表した。
リタ「これで全員よね!」
ジュディス「ご苦労さま。何も無かったかしら?」
カロル「いや!結構罠とかあったよ?!」
フレン「じゃあ、ユーリ達が罠に引っかかってくれたからすぐに僕たちが来れた訳だね。」
ユーリ「おいおい、まじかよ…。不公平過ぎだろ。」
エステル「本当に何も無かったんです…。お化けとかはいましたけど…。」
リタ「言わなくていいから!!」
賑やかになってはいるが、今は戦闘中である。
気を取り直して主に向き直った仲間たちは、総攻撃を仕掛ける。
後衛組であるエステルとリタにダメージは期待しておき、後衛組に行かせないようにと前・中距離組が主を引きつける。
カロル「光、火属性が有効なはずだよ!!」
エステル「私たちの出番ですね!リタ!」
リタ「こっちはさっきから出番続きよ!」
詠唱を始め、すぐに術を発動させるエステルに対し、リタは詠唱こそ長いが強力な術を発動させていた。
そんな攻撃を繰り返したいたからか、それとも奇襲作戦が功を奏したのか、呆気なく光の粒となり消えていく主。
そして奥には〈
罠や敵のせいでかなり時間を食ってしまったが、これでようやくメルクの所へと行ける。
仲間たちは清々しい顔で〈