第4界層 〜進退両難なる黒雨の湿原〜
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___一方、ユーリ達一行
古代都市タルカロンにて、エクスユニコから聖なる角を集めていたユーリ達一行は、思いの外簡単に素材が取れた事に拍子抜けしながらも帝都への帰路についていた。
カロル「やったね!意外と早く終わって良かったよ!」
リタ「取れたというより、落としてくれたというか…。」
ジュディス「あら、いいじゃない。早く帰れて。それ程早くあの子に会えるわよ?」
リタ「べ、別に会いたいなんて言ってないじゃない。」
ジュディス「顔に書いてあるわよ。」
リタがそれを聞いてジュディスから顔を背ける。
そして、その傍らにはカロルが何かを考えるように、歩きながら唸り出した。
ユーリ「何考えてんだ、カロル先生?」
カロル「ほら、メルクってさ、今は外も歩けないほど病弱な訳じゃん?だからお土産でも買って元気になって欲しいなって思ってさ。」
ユーリ「なるほどな。」
パティ「それは良い考えなのじゃ!よし、誰が一番メルク姐を喜ばせられるか勝負なのじゃ!」
カロル「え?!そこまでするの?」
パティ「やるならとことんなのじゃ!よーい、どんなのじゃ〜!」
カロル「ちょ、ズルいよ!?パティ!!」
パティとカロルが街へと走り出し、我先にとお土産を選ぶ気だろう。
ジュディスは元々やる気らしく、さっさと街へと行ってしまい、レイヴンも珍しくやる気を見せた為、全員参加で勝負をすることに…。
ユーリ「お土産ねぇ…?」
思い当たるのは、やはりメルクが大好きな飴玉で、何の捻りもないがそれにしようと俺は甘味処や雑貨屋を回る事にした。
飴玉を見た時のメルクの顔は本当に可愛いと思うし、綺麗だとも思う。
またあの顔が見たい、と僅かに口元が緩んでいて慌てて口元を隠す。
『赤、青、白……。色々あるんだな…。』
目当ての飴玉を見つけたと思ったら色が沢山あって迷う。
色々な色を買えば良いじゃないか、と思うがやはりひとつに絞りたい。
俺は一目見て、紫の飴玉を手に取り会計に向かう。
最初に渡した飴も紫色だった。
だから今回も紫にして、少しでも自分だと意識して貰えたら、なんて考えてしまい頭を振る。
ちょうど店の外へ出れば各々も買い終わった様で、集まりつつあったのでそこへと向かう。
レイヴン「お、丁度青年も帰ってきた事だし、ここら辺で話しときますかね、っと…。」
カロル「何を?」
ユーリ「もしかして例の件か?」
レイヴン「そうだぜ?おっさん頑張ってきたんだから。」
キメ顔でそう言うレイヴンに興味無さそうにするカロルとリタ。
それでもパティは気になる様子で、レイヴンに急かしていたのでレイヴンもその気になる。
レイヴン「ま、先に言っとくけど結構真面目な話になるからどっか宿屋にでも行かね?」
ユーリ「そんなに長くなるのか?」
レイヴン「つーより、ここで話す内容じゃないな。」
ジュディス「鬼が出るか蛇が出るか、ね?」
レイヴンの言う通りに宿屋へと移動したユーリ達は、各々部屋の場所取りをし聞く体勢になる。
それを見て、レイヴンはひとつ頷くと真面目な顔になり話し始める。
レイヴン「まずは青年に頼まれていた、あの案内人のベンについてだが…黒だな。」
ユーリ「やっぱりな。」
カロル「え?え?どういうこと?ベンが何かしたの?」
この中では一番カロルが仲が良かっただけあって、意外な人物の話に目を見張っていた。
レイヴン「そうだな、話が長くなるからあんまり話したくねえけど…、あのベンって奴のいる慈善団体は元は〈白夜〉っつーギルドだったんだ。そのギルドの創設者はアビゴール・ジギタリス、そしてヴィスキント・ロータスだ。」
リタ「その名前って…」
ジュディス「あの子のいたギルド〈怪鴟と残花〉のギルドマスターと、もう1人名簿から発見された謎の人物ね。」
カロル「え、どういうこと…。何でその2人が2個もギルドを作ってるの?」
レイヴン「まあ、早く言っちまうと…ヴィスキント・ロータスと案内人ベンは同一人物だな。」
レイヴンの話にカロルが絶句し、俯く。
だって、その名前はもしかしたらメルクを攫っているあの黒い人かもしれないのだから。
カロル「でも、メルクはベンを見ても何も反応してなかったよ?!」
ユーリ「あの二人、もしかしたらグルかもしれないな。」
「「え?!」」
カロルとパティが叫ぶ。
だとしたら何故攫われたりなんて面倒な事を?
ユーリ「こっちを監視ついでかもしれないな。第4界層に行く前、皆で探索前の準備してただろ?あの時、二人は密会してたんだよ。会話的に、恐らくな。」
レイヴン「同じギルドのメンバーだから、有り得なくはないしなぁ。」
パティ「メルク姐……」
ユーリ「こりゃ、帰ったら少し話をしないとな…。待ってるだけじゃ何も始まらねえ。こっちから暴くつもりで話す。これしかねえ。」
リタ「監視うんぬんかんぬんは分かったわよ。なら何であの子は視力を一時的に失ってたの?それの説明はつくわけ?」
ユーリ「流石にそこまでは分かんねぇな。」
レイヴンが暫く考え込んでいたが、話の続きを話始める。
レイヴン「ギルド〈白夜〉、そしてギルド〈怪鴟と残花〉……。二つのギルドは言うなら光と闇…、表と裏だ。メルクちゃんがそこまで知ってるかは分からねえが、事実二つのギルドには共通点が幾つも見つかったんだ。まぁ、今思えばそうだよな。〈
カロル「そんな……」
気を落とすカロルに皆が一度黙り込む。
しかし、ここまで分かっていれば後はメルクからも話を聞かないといけないだろうし、もっと深く調べる必要があるだろう。
レイヴン「それからもう1つ。〝神子〟を殺すと言っている男がそこら辺を彷徨いてるらしい。テンガロンハットを被り、腰に銃を提げてる男だな。早く〝神子〟を見つけねぇと大変な事になりそうだな。」
リタ「次から次へと問題が起きてくわね。」
ユーリ「まぁ、最初から分かってた事だろ?もう、この件に関しては事が大きくなりつつあるんだ。今更だろ。」
ジュディス「つまりベンって男には気をつけろって事でしょ?後はメルクの監視の件ね。もしかしたらあの〝神子〟情報も嘘をついている可能性があるわね。」
カロル「……ボク、メルクと話したい。会って、話して……真実を知りたいよ。それにボク、約束したんだ。メルクがもし悪の道へ行こうとしてるならボクが止めるって。」
ユーリ「なら行こうぜ。真実を確かめにな?」
その日は宿屋に泊まり、次の日に帝都へ帰還することにした。
果たして、貴女の運命は如何に……。