第3界層 〜窮猿投林の流転の森〜
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___第3界層、最終地点
結局メルク達3人が見つからないまま、ヌシの手前まで来てしまった一行はこのまま進むかで悩んでいた。
ここで3人を置いていけば、3人だけでヌシに挑まなくてはならない。
正直、目が見えないメルクを抱えての3人での戦闘は無謀だと感じていた。
今までのヌシの強さは折り紙付きだった上に、界層を上がれば上がるほどヌシは強くなっていくと聞いている。
今回も絶対に手強いに決まっている。
しかしここまで来るのに3日もかかっている。
向こうの安否が気になる中、こちらの体力も考慮するとここで待つのはなかなか厳しいとも思っていた。
カロル「3人とも大丈夫かな…」
レイヴン「メルクちゃんの目の為の材料も、本人が居なけりゃわかんねーしな?」
ジュディス「案外3人で見つけて楽しくやってるかもしれないわよ?」
ユーリ「だといいがな。」
誰もが心配している最中、奥の方からズルズルと何かを引きずる音がする。
段々と近付いてくるその音に、その場にいた皆が覚悟を決めた。
“ヌシが現れた”のだと。
リタ「あーもうっ!あの3人戻ってなかったら承知しないわよ!」
レイヴン「そーよそーよ!おっさんも心配してんだから、そろそろ顔くらい見せに来てくれてもいいんじゃない?!」
ジュディス「皆、余裕ね。」
ユーリ「来るぞ!」
ユーリの掛け声と共に現れたのは大きな大木に人の顔がついている人面樹のような化け物だった。
その木の大きさ人の3倍以上あり、見上げるのも一苦労する程の大きさだ。
〝〈
メルクは話していなかったが、そういう名前である。
ただ、メルクが言ってた通りヌシを倒すにはタノシミの実が必要である。
その訳は〈
その顔は妖しくもこちらを畏怖させる顔であり、瞳のない目は見るもの全てを恐怖へと陥れる。
つまりタノシミの実で楽しませ、顔を変化させないとこいつに攻撃するのは無理、という事だ。
カロル「ひっ…!こ、こここんなやつ、倒せるの?!」
リタ「気持ち悪い顔ね…」
ジュディス「流石に怖い顔ね」
あの戦闘狂であるジュディスやユーリが尻込みしているのだ。
その顔の効果は抜群だろう。
〈
後退していくばかりの勝負にどうしたものか、と仲間たちが焦燥を滲ませたその時。
パティ「ちょーっと待ったのじゃー!!」
突如パティの声が森の中に響く。
そして、黄色い何かがユーリ達の近くへと降り立ち、ポーズを決める。
パティ「キュートな女海賊、パティ・イエロー!」
「「「は?」」」
それは全身真っ黄色だが、覚えのある背格好にその声……姿に惑わされてしまうがどうやら迷子になったパティのようで何か良く分からないポーズを決めている。
しかしその後何も起こらず、パティが遂に大きな声で叱咤する。
パティ「早く来るのじゃ!!」
エステル「やるんですー?!」
パティ「ここまで来て何を言っとるのじゃ!!早く来るのじゃ!」
そしてその言葉通りエステルが何処からか降り立ち、恥ずかしそうにポーズを決める。
しかしユーリ達からするとピンクの何かが降り立っただけでその正体は分からない。
エステル「うぅ…!ほ、本が大好き…エステル・ピンクっ!」
フレン「エステリーゼ…様…?」
皆が呆然とその行方を見守る中、今度は水色の何かが降り立ってくる。
その上、エステルと違いそれは堂々とした登場だった。
『ふふ…!食べる事より植物研究、メルク・ブルー!』
ユーリ「メルク?!」
パティ「3人合わせてー?」
「「『イロイロ戦隊、イロガールズ!』」」
その瞬間何処からか爆発音が聞こえ、パティが嬉しそうに拳を作ると「決まった…!」と呟く。
そして腰に手を当て、皆を振り返る。
パティ「ふふ~ん♪苦戦して居るようじゃな!なら、ウチらの出番じゃ!!」
パティが手に持っていた何かをヌシへと投げつける。
丸いボールのようなその物体は敵に当たると瞬時に破れ、中に入っていたらしい粉が敵へと降りかかる。
その瞬間、
恐ろしいはずだったその顔は一気に楽しそうな顔になり、優しそうな顔へと変わっていく。
それを見たユーリ達は今がチャンスだと察する。
ユーリ「なんか良く分からねえが…よくやった!三人とも!」
パティ「へっへ~♪ユーリに褒められたのじゃ!」
ジュディス「攻撃するなら今のうちね。」
リタ「っていうか、あんた達どこに行ってたのよ!こっちは大分探したのよ!?」
エステル「すみません…。何か誰も居なくなってて…」
フレン「話は後にしましょう!今はあの敵です!」
カロル「メルク!あの敵の情報を教えて!」
『
レイヴン「うわ…。前衛組、気を付けてちょーだいよ?!」
『あと、
ジュディス「当たらなければいい話でしょ?簡単ね。」
カロル「いや…ジュディスは簡単かもしれないけど…」
前衛組がいつもと同じ様に次々と攻撃を仕掛けていく。
後衛組が支援を施しつつ、状況を見て攻撃していくのも最早おなじみ。
目立つ三人組(イロガールズ達)を加えたことで余計に戦闘の幅が増えた一行は順調に戦闘を進めていく。
ユーリ「気を付けろよ!何か来るぞ!」
ユーリが叫ぶと敵は体を震わせ、口から何かを吐き出してきた。
それにワンテンポ遅れたカロルがかかってしまう。
カロル「うわっ!!甘っ!!」
カロルにかかったのは木の樹液のようなものだった。
それを樹液だと分かった瞬間、カロルがさっと青ざめる。
カロル「ぎゃああああ!!メルク!どうしたらいいのーー?!」
『•*¨*•.¸¸♬︎.・*’’*・.♬』
歌い途中のメルクがその声を聴き、援護に回る。
僅かに短杖を大きめに振ったメルクが出した技はスプラッシュだった。
カロルの頭上より水瓶を出現させ、勢いよく水流で樹液を流してしまう。
カロル「うわっぶ、おぼぼれるるるる…!!」
ユーリ「メルク、ナイスだ!!」
一気に流れた樹液は地面に流れ落ちると、すぐに固まってしまった。
まるでコンクリートのような硬さにカロルは冷や汗をかいた。
あのまま固まっていたら本当に脱出不可能になってしまうと分かったからだ。
カロル「メルクっ!ありがとーー!!?」
微笑んだメルクにカロルが再度お礼を言い、前線に復帰する。
そんなメルクを見て、ヌシがメルクへと攻撃を仕掛けようとするが、その前にユーリが気付き攻撃を跳ね返す。
ユーリ「後衛には行かせねえ…!」
パティ「ウチらが相手なのじゃ!」
腕のような枝を中心に切っていく前衛。
同時に後衛は本体を狙っていく。
リタ「木なら燃えるでしょ!スパイラルフレア!」
その言葉通り所々木が燃えていき、ヌシが堪らず悲鳴を上げる。
あと少しというところなのは確実で、徐々に主の攻撃の勢いが弱まってきていた。
そして酷い断末魔を森中に轟かせ、ヌシが消えていく。
エステル「完全勝利ですね!」
嬉しそうにエステルが喜ぶ中、再び辺りは光に包まれて行き仲間達を飲み込んだ。
ユーリ「!!メルク!」
最後に聞こえたユーリの声を最後に、メルクはまばゆい光に目を閉じた。