第1界層 〜変幻自在なる翻弄の海〜
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__第?界層、????
目を覚ましたメルクは自身が立っている事に気付いた。
確か、エステルの腕の中で気絶をしたはずなのに。
ゆっくりと目を開けるとそこは真っ白い空間で、自分以外何も見当たらない。
一体この空間は何だろう。
《───よ、──はどうで──?》
良く聞こえない。
何かを言ってるのは分かるが、まるで何かに阻まれているようにその声は遠かった。
だから聞き取れる言葉も途切れ途切れで、それだけで言葉を理解するのは至難の技だ。
《私の──。どうか────を》
強いて言えばそれだけ聞こえた。
でも、それは何故か暖かくて、とても心地好い声だとメルクは感じた。
《気をつ──、貴女────す》
何だか、懐かしささえ感じるその声にメルクは少しだけ口を動かし、声を発した。
『あなたは、だれですか…?』
その声が届いているのかは定かではないが、相変わらずあの声は途切れ途切れに何かを言って、こちらに何かを伝えようとしている。
《──時間です》
その声だけはしっかりと聞こえた瞬間、目の前が輝きだしあまりの眩しさに目を閉じる。
そして次に目を開けた時には、何故か私は船の上でなく、あの〈
おかしい、私だけ…?
辺りを見渡してもユーリ達はいない。
それどころか自分の荷物が、その場に立っているメルクの近くに置いてある。
まるで試練は終わりだとでもいうように。
『……』
夢のような出来事に呆然としていると、手に何かを持っているのに気付いた。
石版と、宝箱のような箱だった。
もしかして、これがギルドマスターの言っていた〝箱〟?
次から次へと疑問が湧いてくるが、とにかく手に持っている石版へと目を向ける。
そこには見たことのない文字があり、それは誰もが読めない文字の筈なのに、メルクだけはその言葉が分かった。
[その石版持つ者、そして石版の文字が読める者、特別な者なり。
この世界の願いを叶える存在である。
この門を踏破した者だけの願いを叶える存在。
決して殺すことなかれ。
殺した者には裁きを与える。
但し、門の中での魔物に倒された場合はその限りではない。]
そう、書かれていた。
願いを叶える者?
一体それは……誰のこと?
もう1つの宝箱を開けてみれば、宝石アクアマリンが眩いばかりの輝きを持ち、鎮座している。
その近くには紙があり、それは誰でも読めそうな文字だ。
そこにはこう書かれていた。
[この宝石を願い叶える者に食べさせるべし。]
……この宝石は食べれるのか。
手に取ってみると馴染み深く、なんだか美味しそうにさえ見えてきた。
いやいや、鉱物を食べるなんてそんなゲテモノな行為…出来、ないよね……?普通…
自分の常識が果たして合っているのかさえ分からないが、とにかく、これでギルドを追い出されることは無いはず。
ギルドマスターを思い浮かべ、笑顔になるメルク。
『神よ、お目当ての物は取れました。これで私は追い出されませんか……?』
天に願うように、か細い声で呟いたメルクの耳にとある声が聞こえる。
「「「「メルク!!」」」」
ユーリ達の声…!
咄嗟に手に持っていた2つのアイテムをカバンに突っ込む。
振り返ると想像通りの人物達がこちらに駆け寄ってきていて、カロルやパティ、エステルなんて私に思いっきり飛び付いてきたので一度に三人を支えきれる訳もなく、全員で尻もちをついた。
良かった、と口々に聞こえる辺り、彼らにかなり心配かけていたのだろうと分かり、素直に謝った。
『皆さん、ご無事で……』
「メルク!なんでもうここに居るの?!」
「そうです!!急に消えるから私、怖くて…!!」
『私も何が何だか……。いつの間にかここに立っていて驚いているんです…』
抱き着いてきた3人にそう言えば、後からやってきた人達も不思議そうに聞いていた。
「身体は大丈夫なのか?」
ユーリが心配そうに聞くので、そこでようやく思い出す。
気絶するくらい身体が怠かったり痛かったりしたのに、今はそれが全くない。
笑顔で「はい」と言えば、本当かどうか怪しんでる顔付きになる。
『体調が悪かったら今でも気絶してたかもしれないわね?』
そう返せば、ようやく納得した顔つきになったので、にっこり笑う。
しかし、ここまで来れば別れが近いことも誰もが分かっていた。
別れを惜しむエステル達に困った顔で笑えば、ユーリがそれを止める。
「また会えるかもしれないだろ?メルクも〈
「そうだよね…!ユーリの言うとおりだよ!メルク!今度第2界層に挑む時は一緒に行こうよ!!そしたらボク達も安心だし!」
「あんたのその術、まだ全然調べてないんだから逃げたら承知しないわよ!」
色々な人から声をかけてもらい、メルクは途端に嬉しくなる。
ここまで言ってもらえるなんて、本当に自分は幸せ者だな、と。
『次ご一緒出来たら、是非。』
「やったー!絶対だよ!?メルク!」
いつもの笑顔でそういえば、彼らは途端に花が開いた様に笑い、嬉しさを表す。
それを境に、皆へお別れを告げメルクはギルドへと帰っていく。
『ただいま、帰りました』
はたして、メルクはどうなるのか。
▷▶︎▷▶︎ 第1界層の後書きと幕間、そして次の界層へ行く為の物語。