第8界層 〜蜿蜒長蛇なる深淵の懸河〜
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目を覚ました少女は、そのまま薄目で視線を彷徨わせて横にいた医師を見上げる。
それに気付いた医師は、少女の手を取ると脈診を始め、それが終わると少女の額に手を当てて熱を測っていた。
「……ふむ。熱もありませんし、脈にも異常はありませんねェ。後は栄養面ですか。」
『私…どこか悪いんですか…?』
「栄養面で少々…といっただけですよ。不安にさせてしまってすみません。」
『いえ、いつもありがとうございます。お医者様。』
「メルクさんの医師として、当然のことをしているだけですよ。……もしかして、今眠いですか?」
『……? いえ、そういえば眠気が来ません…。』
「それはそれは良い傾向ですねェ? これがいつまでも続けばいいのですが……。」
『そう、ですね…?』
「そういえば、ベンが貴女に用事があると言っていましたが……呼んでも大丈夫そうですか?」
『え?ヴィスキント様が…? …はい、大丈夫です。』
「では少し席を外しますね。」
医師が緩慢と立ち上がり、扉の向こうへと姿を消そうとしたがすぐに戻ってきた。
その訳は、まさに今呼びに行こうとしていた人物が扉前に居たからだ。
医師も付き添う形でヴィスキントが少女の前に姿を表せば、少女はいつもの笑顔で横になったままヴィスキントを見上げる。
流石にこれでは失礼だ、と起き上がろうとする少女をヴィスキントが手で押えて横にならせる。
「……横になっていろ。起きて目眩が来られても困る。」
『はい、ありがとうございます。』
「……調子はどうだ。」
『おかげさまで、何もありません。』
「まぁ、見るからに何かありそうではあるがな…。」
点滴に繋がれ、病室のベッドで横になっている少女など、誰が見ても元気だとは思わないだろう。
顔を顰めさせたヴィスキントだったが、ベッドの縁にある椅子に座ると腕を組んで少女を見た。
「今回の件で何個か質問をさせてもらう。……体調が優れなければ遠慮なく言え。」
『はい。』
「まず、お前がどこまで記憶を保持しているのか聞きたい。…どこまで覚えている?」
『えっと…、黒猫を追いかけて行ったら何故か急に視界が真っ暗になったんです。その後は……起きたらどこかの花畑で目が覚めていて…近くにはあの黒猫もいたんです。』
「それから?」
『それから…黒猫がこのお城までの道を教えてくれたんです。』
「……お前、夢の話でもしてるのか?」
『いえ、本当の事なんです…。マオがここまで…』
「“マオ”? 誰だ、それは。」
『あの黒猫の名前なんです。飼い主が見つかるまで名前が無いのも寂しいと思いまして…。』
咄嗟についた嘘だったが、どうやらヴィスキントには見破れなかったようで少女の言葉に納得したような顔を見せていた。
「犯人の顔は見てないのか?」
『犯人……と言われても、誘拐されてるとは思ってもみませんでしたので…。』
「……はぁ。まぁ、そうか…。記憶が断片的すぎるしな。覚えてないのも無理はない、か…。なら声は聞かなかったのか?男の声か、女の声か。」
『…?』
「だろうな…。……はぁしかし、全く分からん。」
頭を抱えるヴィスキントを見ていた少女だったが、窓から黒猫が現れて少女の頬へと擦り寄る。
そして頭元で丸くなって目を閉じる黒猫に、ヴィスキントも気付いたようだった。
「(あの黒猫がこいつを助けた、とは思いにくい…。たかが動物が、そんな人間のような高度な芸当出来るのか?…いや、最近の動物は妙に頭が良いやつがいるからな…。あの犬然り…か。)」
思い出すのは、あのラピードとかいう犬の事だ。
いつだったかの作戦がうまくいかなかったのも、あの犬のせいだと分かっていたヴィスキントからすれば、そう考えるのは自然だった。
睨む様にして黒猫を見ていたヴィスキントに、少女が苦笑いをして彼を見る。
「……あぁ、それから。宝石はどこにやってる?一度こちらで預かるから渡せ。」
『宝石…。』
ヴィスキントの言う宝石はきっと、界層踏破した時にユグドラシルから貰える例の宝石である。
願い叶える者に食べさせ、その身体を神子の体へと作り替えるために必要な宝石。
少し逡巡した少女だったが、カバンの中にあると伝えヴィスキントにカバンを渡す。
そこから取り出した複数の宝箱の中身を確認したヴィスキントは、一度少女を見て再び視線を元に戻す。
「……今、体調悪くないなら一個食べるか?」
『は、はい…。』
「ふっ…冗談に決まってるだろ。そんな状態のお前に食べさせれば、絶対死ぬに決まってる。それはこちらとしても困る。」
そう言ってヴィスキントは三つの宝箱の中身を取り出し、それを自身のカバンへと入れていた。
すると丁度そこへユーリやエステル、他の仲間達までやってきた。
一気に混雑してきた病室に、ヴィスキントが嫌そうに顔を歪めるのを少女がクスリと笑えば、余計に彼は顔を顰めさせた。
カロル「メルク!大丈夫?!」
リタ「あんたも災難ねー?」
レイヴン「ま、でも無事で良かったわよ。」
ラピード「ワフッ。」
医師も苦笑いでその混雑を見る中、仲間達の視線は少女からヴィスキントへと移った。
何か変な事してないだろうな、という疑わしき視線を物ともせず、ヴィスキントは鼻で笑うと少女へと向き直る。
「……また後で来ます。ともかく、犯人を思い出したなら、いの一番に私へ伝えなさい。」
『はい。』
少女の頭を撫でたヴィスキントは早々にこの場から立ち去り、それをユーリが鋭く睨みつけていたのを彼も知っていた為、歩きながら舌打ちをした。
残った仲間達は少女へと元気よく声をかけて、無事を祝っていた。
それを医師も安堵の顔をしてずっと見つめていた。
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その日の午後。
食事指導が始まった少女を気遣わしげに見遣る仲間達。
結局のところ、例の誘拐事件は謎のまま幕を閉じようとしていただけあって不安に駆られるのだ。
その上、栄養不足と診断のあった少女に不憫な気持ちや、犯人に対しての怒りの気持ちが湧き上がってくる、湧き上がってくる…。
そんな不平不満を勿論、体の外へと吐き出そうと皆が愚痴を言うのを少女もその場で耳にして苦笑いを零していた。
少女自身例の事件は分かっていない部分もあって、どうしたものかと思っているからだ。
ただひとつ言えるのは……
「……ニャー。」
『…ふふ。』
黒猫がいつもそばに居てくれるのが安心な様な、複雑なような、そんな気持ちにさせられることだ。
自身を“マオ”と呼んでいたこの黒猫。
少年の姿にもなれることから、何だか不思議な感覚にさせられる。
人間と猫との扱いでは雲泥の差があるのだから、猫として接すればいいのか、それとも人間として接すればいいのか…。
『…今日も眠そうですね?マオ。』
「ニャー。(いえ、眠くはありませんよ?神子様。)」
たまにこうして人間のマオとしての声が聞こえてくるのだから困ったものだ。
撫でていた頭から少しだけ手を離したが、またすぐに再開させる。
その間にも医師からの食事指導が続く。
「────以上が、食事指導となりますが…。薬剤師でもあるメルクさんに食事指導とは…、何だか複雑な気持ちにさせられますねェ?」
『そんな事はありません。薬剤師といえど医師ではないので、有難いお話でした。』
「そう言って頂けるなら医師冥利に尽きるばかりですよ。えェ…本当に。」
『これからは食事は御一緒されるんですよね?』
「はい。メルクさんのことですから、言ったことはちゃーんと守るとは思いますが、念の為…といった所でしょうか? 他の方に貴女の状態を説明出来ないのでは、医師として失格ですからねェ。……それに、私自身がメルクさんの状態を知っておきたいというのが一番の根底にあります故。」
『あらあら、ふふ…。』
「……それも久しぶりに聞きましたねェ?」
頬に手を当ててのほほんと笑った少女。
それを見て目を細めさせて懐かしいものを見る目で医師が少女を見る。
そんな少女の周りに仲間達もやってきて、久しぶりに見るその仕草に感動したような姿を見せていた。
少女が自身を責めるようになってからは見なかったその仕草。
どうやら少しずつではあるが、心の方も回復してきているのかもしれない。
そう、医師は感じたのだった。
「……では、お食事にしましょうか。メルクさん。」
『はい。』
穏やかに笑う少女を全員が再び感動した顔で見て、……ある者は涙さえ見せていたのだとか。
医師に連れられ、食堂へと向かった少女の後を追うようにして仲間達も移動する。
流石に昼食にしては遅いものがあるため、医師は何か間食を食べさせようと考えていた。
栄養のつくものならなんでも良いのだが……、この少女の好きな物といえば栄養価のないものであって…。
『まぁ…!素敵な飴細工…!』
「「「「(ですよねぇー…?)」」」」
「……ニャー。(……神子様。それは栄養になりませんよ?)」
流石に指摘してきた黒猫に、ハッとした少女は首をふるふると振っては別の物を見ようとするも、どうしても料理人の作る飴細工に目がいってしまうのは仕方がなかった。
あまりにも職人技すぎて、見ていたくなるのだ。
「……こちらは?」
「これは次の品評会用の飴細工なんです!見た目を綺麗にして評価を貰おうという魂胆です!」
医師が聞けば、飴細工をしている料理人が快活にそう言う。なんならニヤリと笑ってはキラッと目を輝かせた。
同じくキラキラと目を輝かせて見る少女と、仲間達もそれぞれの反応をしてその高さのある素晴らしい飴細工を見ていた。
まるで生きているかのような生命溢れる飴細工である。
カロル「すっご…。」
リタ「はぁー、これは職人技よねぇー。」
レイヴン「流石城の料理人は違うわね。」
ジュディス「素敵だわ。食べるのがもったいないくらいよ。」
ユーリ「流石にこれを食べるとは言わないよな?メルク?」
『た、食べませんよ…!こんな見事な作品を食べるなんて…!』
「メルクさんにはこれを差し上げますよ!」
『まぁ…!』
「「「「(いや、だから……飴は栄養つかないんだって…。)」」」」
「……ニャー。(神子様…。)」
感動の顔をさせた少女に料理人が余った飴細工を渡す。
それも見事な植物の飴細工で、植物博士の少女からすると最高の物を貰ったのかもしれない。
そっと壊れ物を扱うようにして飴細工を持った少女だったが、そのまま飴細工のように固まってしまい、動きが見られない。
怪訝な顔をする仲間達は少女の顔を見たが……すぐにその怪訝な顔は笑顔に変わった。
何故ならば、少女は今までに見たことがないくらいキラキラした顔を見せていたからだ。
『も、勿体なくて…。』
「ハハッ!そんなものならいくらでも作れますから!食べちまってください!」
『で、では…お言葉に甘えまして…。』
恐る恐る飴細工を口にした少女は次の瞬間、もっと嬉しそうな顔をさせていた。
『美味しいですっ!甘くて口の中に溶けていくのが…またなんとも…!』
「……!! (……今、“甘い”とハッキリと言いましたねェ…。メルクさんは副作用の影響で味覚がないはず…。なのに何故…?)」
医師がチラリとユーリを見たが同じ事を思ったのか、ユーリも医師を見て困惑した顔を見せていた。
その顔から見ても、今回の件は何が起因か分からない。
もしかしたら昔の記憶から、“飴は甘い物”と脳が勝手に叩きだし、それを少女が咄嗟に口にしたのかもしれない。
……これは様子見か。
「ハハッ!そんなに喜んで貰えるなら他の飴もどうですかい?」
『宜しいのですか!?』
ユーリ「おいおい。飴は栄養がつかないって言われるだろ?他のにしとけ。」
『は、はい…。そうですよね…。』
カロル「うわー。ユーリがメルクをいじめたー!」
ジュディス「最低ね。」
レイヴン「無いわー、青年。」
パティ「人の風上にも置けんのじゃ。」
ユーリ「お前ら…!」
顔を引きつらせたユーリを見て、落ち込んでいた少女がクスリと笑う。
そして手にある飴細工を食べてしまい、医師を見た。
『オススメはありますか?』
「そうですねェ…? 無難にカロリーのあるチーズケーキや、タルトケーキ等召し上がって頂きたいものですが…。」
エステル「ここのデザートはどれも美味しいんですが、これとかどうです?」
そう言ってエステルが指さしたのは、リーフ模様のあるパイのようなお菓子だった。
見たこともないデザートに仲間達が集まっていくと、エステルから説明が入る。
エステル「あれはガレット・デ・ロワと呼ばれるものなんです。切り分けて食べるのが普通なんですが…、実はあの中身には王冠を模した小さな玩具が入っていまして…」
パティ「何っ!?そんなの危なくて食えぬぞ?!」
エステル「そういう食べ物なんです。その切り分けた中でその王冠のあるものを引き当てたのなら、今日一日その人は王様になれるんです。」
『あらあら、まぁ…? 王様なんてすごいわね?』
パティ「ふふん♪ そういう事ならウチが当ててやるのじゃ!そして…ウチの偉大さに跪くが良い!」
パティがやる気に満ち溢れながら、そのお菓子へと近付く。
他の皆が別のお菓子を食べようとしている最中、パティからの催促で全員がその切り分けられたガレット・デ・ロワを食べる羽目になっていった。
それぞれがピースを取っていく中、最後に医師と少女だけとなり、少女が医師へと先を譲る。
少女の言葉に甘えた医師が二つある中の一つのピースを取り、残ったピースを少女の皿の中へと入れてあげていた。
『ありがとうございます。』
「いえいえ。これくらい当然ですよ。……それにしても、果たして誰のケーキに入ってるでしょうねェ?」
『結局のところ、私としてはパティが取りそうな気がします。』
「私はメルクさんの奴に入っていると思いますよ?残り物には福がある…と、よく言いますからねェ。それに……最後まで誰かの為に取っておくお優しいメルクさんのお菓子に入っていて欲しいという、私なりの願望も含まれていますが…。」
『それなら、ケーキを交換しませんか? 私も優しいお医者様に王冠を受け取って欲しいので…。』
「おやおや…。これではお互いに譲り合わなくてはいけなくなりますねェ? ムッフフゥ…!それでも私としては宜しいのですが…、それでは埒が明かないので今回はお互いのこれに賭けて見ることにしましょう。」
『分かりました。』
それぞれが席に着く中、医師と共に席に座った少女も手を合わせる。
そしてお菓子を食べ始め、誰が王冠が入ってるだろうとお互いの顔を見ながら食べる。
すると、
『あいた…。』
「「「!!」」」
口を押さえ、口の中から何かを取り出す少女に全員が期待の眼差しで見遣る。
しかし医師とユーリ、そして副作用の事を知っているレイヴンの三人だけは、少女の様子に驚きが隠せないでいた。
味覚の次に、痛みまで元に戻っているからだ。
レイヴンも医師もユーリの顔を見るが、ユーリが慌てて首を横に振る。
以前、少女の副作用の半分をユーリと少女で分け合ったことがあったからだ。
だから今回もそれでは無いか、と考えていた二人の予想は大きく外れることになる。
医師の隣では、他の仲間達が少女のケーキに王冠が入っていたことを素直に喜んでいる。
それを聞いて、少し恥ずかしそうにはにかむ少女もまた、自身の異変にはまだ気付いていない様子だった。
パティ「おめでとうなのじゃ!今日一日、メルク姐が王様なのじゃ!」
フレン「王様は一体何をするものなんですか?エステリーゼ様。」
エステル「文献には、王様は誰にでも命令出来る…と書かれていたんですが…。何を願います?メルク?」
『うーん…そうね…?』
まさか自分のお菓子に王冠が入ってるとは思ってなかった少女は、エステルのその言葉に困った顔をする。
皆に命令などしたくないし、特別何かをお願いしたいことも無い。
だから困っていたのだ。
レイヴン「ちっさな事でもいいわよー?」
ジュディス「そうね。なんでもいいみたいだし、簡単なものから手当り次第で言ってみたらどうかしら?」
ユーリ「簡単なものならそんなに悩まなくても、一つや二つくらいあるだろ?あれをやって欲しい、とか何とかが欲しいとか。」
「まぁ、それが思い当たるまでに完食して貰えたら個人的には嬉しいですがねェ。」
『あ、そうですね。食べてしまいます。』
他の皆もお菓子を食べ終えてしまい、少女の願いを改めて聞く。
しかし少女は願い事などないと、そう皆に伝えた。
『……皆さんが無事で、そして元気ならなんでもいいんです。皆さんが幸せであれば……それで。』
目を閉じながら優しい笑顔で、ゆっくりと言葉にした少女に全員が沈黙する。
『私の周りの全ての人が…、私の知らないところでも幸せなら。……それはとても、私自身にも幸せを届けてくれるんです。だから私の願いは……皆さんが元気で、幸せでいてくれる事です。』
少女の言葉が、食堂内に優しい響きを持って届いていく。
それは休憩をしていた兵士たちも、調理をしていた料理人たちでさえも。
途端に辺りは水を打ったように静まり返る。
ゆっくりと目を開け、目を伏せた少女は近くにいた黒猫を抱き上げるとそっと微笑んだ。
誰もが見蕩れてしまうほどの微笑みで顔を上げた少女に、全員が目を見張った。
『ですから、どうか…元気でいてください。幸せであってください。私からの命令は…それでお願いします。』
「……。なんともメルクさんらしい、お願いですねェ?」
そう言って医師は少女の頭を優しく撫でる。
自分の事よりも他人を優先する少女に、医師も思うところがあったからだ。
ユーリ達も沈黙していたが、各々顔を見合わせると困った顔をした。
…まさか、そんな難しい願いをされるとは思わなかった。
だから全員が顔を見合せたのだ。
「メルクさん。間食を食べられたようなので、今度は少しばかり私の手伝いをお願い出来ますか?」
『はい。私に出来ることなら。』
そう言って優しい少女と医師は食堂を出て行った。
そんな二人を見送った仲間達だったが、エステルが皆を引き止める言葉を紡ぐ。
そして全員に提案をした。
────“今日一日、王様であるメルクを楽しませよう”と。
そうすれば全員も楽しく過ごせるし、何より王様であるメルクにも楽しんでもらえる事が出来て、思い出にもなる。
その思い出が、少女を敵側に行かせないためのひとつの材料となればいい───そう考え付いたのだ。
無論、全員がその提案に賛成をする。
そして計画を練る為に、食堂ではそのまま話し合いが続けられていた。
少女への日々の恩返しも兼ねて、ひと時の楽しい時間を過ごして欲しいという皆の願いを根底に置いて。
今日という残り僅かな時間を大切にしながら、仲間達は作戦を決行する。
……少女は、楽しんでくれるだろうか?
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ガレット・デ・ロワの王様。