第7界層 〜永久不変たる薄霧の鍾乳洞〜
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ガヤガヤという音に慣れた様に少女は立ち上がる。
───〈
そこへ欠伸を隠しもせず大きな口を開け、怠そうな様子で頭を掻くアビゴールが向こうからやってくる。
やはりその姿は教祖姿で、どうやら仕事の為に朝帰りになった様だった。
アビゴール「…あ?」
アビゴールが少女に気付き、立ち止まれば少女はお辞儀を一つ入れ、それからアビゴールに近寄った。
そして高い身長を見上げるように顔を上げた少女に鼻を鳴らしたアビゴールは、その下に見える頭を不器用に撫でる。
アビゴール「どうやら、ちゃんと俺の言った事をこなしてるようだなぁ?メルク。」
『…! はい、頑張っております。』
嬉しそうに顔を綻ばせた少女にクックッと喉奥で笑ったアビゴールだったが、少女の言葉に満足して余計に可笑しそうに喉奥で笑った。
『お仕事帰り、でしょうか…?』
アビゴール「あ? ……まぁ、そうだな。朝から晩まで信徒達の相手は流石に俺でも疲れる。〈
それでもアビゴールの顔は愉悦に歪んでいた。
アビゴールやリコリスの演説のお陰で、益々信徒達の数が伸びているからだ。
そのお陰でユグドラシル教の教祖と偽神子がこうして皇族と対等に渡り歩ける為に、城の中を自由に行き来出来ているのだ。
それを騎士達は複雑な顔で見遣るものの、文句を言う奴はいない。
簡単に言えば、“一時休戦”状態なのだから。
『現在は何界層まで踏破されたのですか?』
アビゴール「この間やっと第3界層だ。……あの主は少々厄介だが、仕掛けさえ分かっていれば簡単なものだな。」
『流石でございます。』
アビゴール「…ふん。ま、あのヴィスキントも一人で踏破出来たなら俺でも出来るだろうしな。」
『…お一人で?』
アビゴール「他に誰がいるって言うんだ?メルク。」
『失礼しました。やはりお強いのですね、アビゴール様。』
アビゴール「当然だろ。じゃなきゃ、ギルドの頭張ってねぇ。」
そのまま歩き出したアビゴールに合わせる様に少女も歩き出す。
しかしその歩き方は少々ぎごちない。
それに即座に気付いたアビゴールが立ち止まり、少女を見下ろした。
アビゴール「…何だ。足がおかしいのか?」
『いえ、大丈夫です。』
アビゴール「…なら、そんな変な歩き方をするな。見てて気になって仕方ねえ。」
そして歩き出したアビゴールだったが、少女もそれに合わせて歩けば、やはり例のぎごちない歩き方をしてアビゴールの足も再び止まる。
さっきと違う事と言えば、彼の額に青筋が浮かんでいたことくらいだ。
アビゴール「…お前、俺をおちょくってるのか?」
『いえ…。申し訳ありません…。』
アビゴール「謝る前に何か言う事があるだろうが。あぁ?」
『…。』
少女が言うべきか口ごもった瞬間、その横に救世主が現れる。
ヴィスキント「ギルドマスターは、貴女の事を心配しているんですよ。」
『…! ヴィスキント様。』
アビゴール「おう、やってきたな。」
ヴィスキント「えぇ。朝早くからお疲れ様ですね、ギルドマスター。」
アビゴール「ふん。お前こそ朝が早いな。」
ヴィスキント「任務を遂行する為なら、どんなに早くとも起きなければいけませんからね。」
アビゴール「…。」
ヴィスキント「…。」
ニヤリと笑う二人の間に挟まれ、僅かに目を瞬かせた少女だったが、二人の視線はやはり少女に向けられる。
アビゴール「で?俺に言う事があるだろ、メルク。」
ヴィスキント「……恫喝じゃないですか。」
アビゴール「なんか言ったか?」
ヴィスキント「いえ、何も?」
二人は仲が良いのか、悪いのか…。
静かに見つめあった…?二人だったが、少女の足についての話に戻したいらしいアビゴールを見て、ヴィスキントが少女に助け舟を出す。
ヴィスキント「……貴女、その足どうしたんですか。いつもの歩き方をしていませんよ。」
『…実は、』
少女は二人から問い詰められ、症状について話すことにした。
するとそれを聞いて目を見張った二人は、お互いに顔を見合わせる。
アビゴール「…おい。そんな話聞いたことがあるか?」
ヴィスキント「いえ…。少し歩いてみてもらっても?」
『はい。』
少女がぎごちなく歩き出せば、二人もそれを見て悩む様に黙りだす。
振り返った少女は困った顔で二人を見ていて、ヴィスキントはそんな少女を見ては少女の足……主に踵部分を気にしていた。
ヴィスキント「……。(踵が浮いている…?いや、足全体が地面に対して踏み込めていないのか。)」
アビゴール「お前、足が地面についてる感覚あるのか?」
『…無いかもしれません。』
アビゴール「じゃあ、それだろ。試しにスキップでもしてみろ。」
アビゴールに言われるまま、少女がスキップをする為強く踏み込めば、驚くほど少女はまるでジャンプする様に浮き上がってしまい、思わず見ていた二人も「おぉ。」と歓声を上げるほど少女自身が浮き上がっていた。
ゆっくりとつま先から降り立った少女は驚いた顔で自分の脚先を見つめていた。
アビゴール「これで解決だろ?」
ヴィスキント「まぁ、解決といえば解決ですが。歩きにくい原因を突き止めただけじゃないですか。」
アビゴール「充分だろ。」
これで終わりだ、とアビゴールがその場で欠伸をして少女に近付けば、その軽い身体を無遠慮に俵のように担ぐ。
その軽さとふわりとした持ち上げ感に、アビゴールが再び「おぉ。」と口から零す。
『アビゴール様…?』
アビゴール「行くぞ。」
ヴィスキント「……はぁ…。どちらへ?」
アビゴール「あ?さっきまで仕事してたんだ、寝るに決まってるだろ。」
ヴィスキント「それなら彼女は邪魔では?」
アビゴール「あー?こんな抱き心地の良いやつを放っておけるかよ。お供だ、お供。」
そう言って少女に了承の確認も取らずにアビゴールは少女を肩に担いだまま歩きだして、本日何度目かの欠伸を漏らす。
少女も頭にハテナを沢山浮かべながら目を瞬かせ、そのまま連れて行かれる。
ヴィスキントはそんな少女を見て、可哀想にと同情した上で溜息を吐きながら見送る。
ヴィスキント「(……ま、あんなに眠そうなアイツなら何かをする訳でもないだろ。仕事に戻るか。)」
ヴィスキントはすぐに頭を切り替え、そのまま今日の仕事のことを考え出していた。
……ただこの後、黙って見送ったのを後悔することになるのだが。
‥‥・*・‥‥………‥‥・*・‥‥………‥‥・*・‥‥
少女がアビゴールの肩に担がれ連れていかれるのを城の騎士達が顔を青ざめさせては、それをどうしようもなく見送っていく。
そしてそれに気付かぬままアビゴールは勝手に自室にしている場所へと入ると鍵を閉め、中に入った。
そして容赦なく少女をベッドへと投げ置く。
いきなりの事で驚いた少女だったが、すぐに肩を押されてベッドに横たわらせられると、アビゴールが少女を抱き枕がわりにしてベッドで横になってしまった。
『ア、アビゴール様…?』
アビゴール「ん……?」
眠そうな様子で返事をしたアビゴールだが、すぐに彼の口から寝息が聞こえ始めたのに気付き、少女は強張らせていた身体を少しだけ解いた。
だが、せめて布団をかけなければ風邪を引かれないだろうか…。
そんな心配を余所に、アビゴールは少女を抱いて寝てしまったのだった。
『(お疲れだったんですもの…。仕方ないですわ…?)』
緊張より心配が勝った少女はこっそりとアビゴールの顔を窺う。
さっきまで気付かなかったが、酷いクマがそこにはあり、見るからにお疲れだ。
顔色だって少し悪いように見える。
徹夜特有の体調の悪さを感じて、少女は心配そうな顔をしてアビゴールの顔を見ていた。
しかしその時、ギュッとアビゴールが少女を抱き締め、引き寄せるので少女は僅かに目を見張る。
それ以上ないと分かると何故かホッとしている少女がいた。
『(…? 何故、ホッとしたのでしょう?もしかして例の力が発動しないか心配だから、でしょうか?)』
神子の羽根が出てないか確認しようと身動ぎしようとすれば、アビゴールが顔を歪める。
アビゴール「………にげるな……」
寝言の様に呟かれ、少女は更に引き寄せられ身体を硬直させる。
他人と寝た事が無いからどうしていいか分からない少女は、心の中で焦燥に駆られていた。
これは何をすれば正解なのか、と。
アビゴール「……な、んで…………おれた、ちが……」
『…!』
寝言を言うアビゴールに少女はそのままの体勢で耳を澄ませる。
アビゴール「…ベン…………、すま、ない……。」
『(ベン、と言えば確か…ヴィスキント様の別名…。)』
アビゴール「ど、うして…………。」
苦しそうに、
泣きそうな声で、
アビゴールの声が頭上から聞こえてくる。
それは少女の心にキュッと締め付けてくるものだった。
身内がこんなに苦しんでいるのに何も出来ないなんて苦しい。
少女はそう考えてしまったのだ。
誰の事も優しく、分け隔てなく接する少女だからこそ、そう思ったのだ。
アビゴール「だれ、か……たすけて、くれ……」
せめてこの悪夢を終わらせてあげたい。
少女は悲しそうな顔をして、そっと両手を胸の前で組む。
そして目を閉じて口を開いた。
『……゚.*・。゚♬*゜.。*♬♬⃝♪.*𓂃𓈒𓏸 *・☪︎˚*.⋆.*˚˖ ࣪⊹₊˚♬*.◦*・☪︎˚*.⋆.*˚˖ ࣪⊹₊˚♬*.◦𓂃𓈒𓏸 。. •*¨*•♬✧』
それはアビゴールの為に歌う優しい、悪夢を終わらせるための歌。
いつもと違い、その歌は悪夢に魘されるアビゴールにしか聞こえないほどの声量。
すると、アビゴールの顔に変化が現れる。
苦しそうに歪めていた顔が徐々に緩んでいき、安心したような寝息へと変わったのだ。
アビゴール「…………。」
落ち着いた様子なのに、少女の歌が止むことはない。
そして歌いながら少女は思う。
そんなに苦しんでいるアビゴール様の“願い”は何なんだろうか、と。
『(こんなにも身近な人が苦しんでいる…。だからこそ、私は……)』
願いを叶えて、そして誰にも優しい世界へと変えたいと願う───
ユグドラシル様が言っていた言葉が本当なら、神子の命一つで世界は優しい世界へと変わる事ができる。
だからこそ、少女はアビゴールの為に、ヴィスキントの為に…………そして、何より心配し助けてくれたユーリ達の為にここまで頑張ってきたのだ。
『……。』
歌い終わるのと同時に少女はアビゴールの胸へと頭をつけ、眠った。
今はただ…未来の事に思い馳せて。
‥‥・*・‥‥………‥‥・*・‥‥………‥‥・*・‥‥
___3時間後
ふと、アビゴールの目が覚める。
薄ら開けた目に飛び込んだのは、すやすやと寝息を立てる少女だった。
そして自分もまた、その少女を抱き締める形で寝ていた事に気付く。
アビゴール「……。」
ヤバい、寝る直前の事を憶えていない。
しかしいやに目覚めが良く、アビゴールは不思議な気持ちで目覚めたのだった。
アビゴール「(……いつもなら悪夢を見て体が重いのに…なんで今日に限ってこんなに体が軽いんだ…?…………ていうか、俺、寝る直前何してたんだ…?)」
ちゃんと白衣を着ていて、安らかに寝ている少女を見るからに、何もしていないと思いたい。
アビゴール「(こいつ…すげえ抱き心地いいな…?)」
改めて少女を抱きしめてみれば、フワフワとした感触がして病みつきになりそうになる。
その上、見た目は白衣を着ている癖して薬品の香りではなく、優しい……甘い香りがする。
いつも抱いてきた香水のキツイ女の香りじゃない……優しい、優しい少女の香り。
アビゴール「……。(なーんか、絆されるな…?)」
アビゴールは顔を歪めて少女を改めて見る。
……しかし、だ。
年頃の少女が男とベッドの上にいるというのに、この少女は危機感というものを知らないのだろうか。
ましてや、自分は以前にこの少女を自分の女として宣言したにも関わらず、安心出来ます、と言わんばかりにすやすやと寝息を立てる少女を見て、アビゴールは片肘着いた手に頭を乗せ、大きく嘆息した。
アビゴール「……教育が足らなかったか…。男に対しての……。こいつの将来が不安で仕方ねえ…。」
育て親として、不安で不安で仕方がない。
そして少女を何度見下ろしても、平和そうな顔で寝ている。
アビゴール「……チッ。ホケホケしやがって……」
少女の頭を優しく小突くと、少女が身動ぎをしたが起きることは無かった。
再度大きな溜息を吐いたアビゴールは、情けとして布団を掛けてやると、その瞬間、扉が激しい音を立てて叩かれる。
それに瞬時に反応し、武器を持って身構えたアビゴールだが、無理やり開かれる事はなく、ただ激しい音を立てて叩かれるだけ。
それにアビゴールは頭を掻いて面倒な顔をした。
アビゴール「……誰だ。」
リコリス「ちょっと!アビゴール様?! メルクちゃんと寝てるって本当ですか?!」
アビゴール「(なんでそんな噂が立ってんだよ…。)あぁ?それがどうした?」
リコリス「ズルいです!! 私も横で寝かせて下さい!!」
アビゴール「(こいつ…。)」
額に青筋を浮かべて引き攣った笑いをしたアビゴールは武器を持ったまま扉近くまで行き、荒く声を張り上げる。
アビゴール「断る! サッサと消えろ!」
リコリス「えぇ?! お一人だけズルいですよ!! っていうかどうでした?!メルクちゃん。可愛かったですか?!」
アビゴール「(なんでこいつにそんな事言わねえといけねえんだよ…。めんどくせぇな…。)」
しかし、ふとニヤリと笑ったアビゴールは扉を開けずに向こうへと話してやる。
アビゴール「……あぁ、そうだな。柔らかかったぞ?」
リコリス「きゃああ! 流石アビゴール様、手が早い!」
アビゴール「甘い良い香りもするしなぁ?」
リコリス「ちょ、早く入れてください!私もメルクちゃんを堪能したいですぅぅ!!」
アビゴール「(……あぁ、俺何してんだ。余計に面倒を増やしただけじゃねえか。)……断る。俺は眠いんだ。サッサと消えろ。」
リコリス「えぇ?!!」
ドンドンと扉が容赦なく叩かれる。
それに顔に手を当てて嫌そうな顔をしたアビゴールだが、もうそれを無視することに決め、ベッドへと近寄れば少女を抱き締め再び寝る体勢になった。
リコリス「アビゴール様? アビゴール様ーー!!!」
アビゴール「(うるせぇ…。)」
相変わらずドンドンと叩かれて騒々しいにも程がある。
それなのに目の前の少女はそれにも気付かずに、スヤスヤと寝ている。
……朝早いから、やはり眠たかったのだろうか。
アビゴール「チッ…。(とにかくもう一寝入りするか……)」
そう思って目を閉じた瞬間、扉が蹴破られ騒々しい奴が中に入ってくる。
リコリス「メルクちゃーーーーん!!」
アビゴール「…。」
ベッドへとダイブしてきそうな偽神子にすぐさま武器を手に取り振り下ろせば、すぐに体勢を立て直して受け身を取った偽神子に鼻を鳴らす。
アビゴール「うるせぇ!!! 静かに寝かせろ!!!」
リコリス「だから私も寝ますって!!!」
アビゴール「アホか!! どこにそんなスペースあんだ?! あぁ?! 切り刻まれてぇのか、テメェ!?」
リコリス「切り刻むならメルクちゃんと寝てからにしてください!!」
そんな風にギャアギャアと騒いでいると横目にヴィスキントやら、騎士の連中やらユーリ達やらが中に入ってきていた。
ヴィスキント「……本当に寝ていたんですね。」
アビゴール「お前、そこにいたならこいつを止めろ!! 騒々しくて寝れんだろーが!!?」
リコリス「騒々しくないですぅー。」
アビゴール「あぁ、クソッ!! うるせぇよ!!」
ギャアギャアする中、スヤスヤと眠る少女にヴィスキントもユーリ達も呆れてみている。
白衣も着ているし、ヴィスキント達の想像していた光景はなさそうで安心した。
ヴィスキント「城中で噂になってますよ?貴方が彼女を強制的に部屋へと連れ込んだ、と。」
アビゴール「あぁ?! 誰だ、そんな噂立てたやつは!」
ユーリ「とにかくだ。メルクは返してもらうぞ。」
ユーリが少女を抱き抱えようとするとそれを見越した偽神子が少女を奪い取る。
女性でも軽々と持てている事に対して騎士達が驚いていたが、それよりもユーリ達やらヴィスキントが呆れて偽神子を見遣る。
……あの偽神子は少女の事となると、人が変わる。
リコリス「待ってください!ちょっと一緒に寝てきますので!」
アビゴール「おい!勝手に連れて行くな!」
リコリス「アビゴール様はさっきまで一緒に寝てたじゃないですか!! 次は私の番ですよ!?…………って、なにこれ!フワフワして気持ちいい〜!」
ギュッとキツく少女を抱き締める……もとい、締め上げるリコリスに少女が苦しそうに呻く。
それにヴィスキントがやれやれと首を振り、離すよう伝えるが偽神子は既に少女の抱き心地に病みつきである。
リコリス「やーん。これは病みつきになる〜♪」
アビゴール「……はぁ。」
ヴィスキント「……。」
ユーリ「(どうしたもんかな…。)」
そんな時、少女が再び苦しそうに呻き目を開ける。
そして現状を見て、不思議そうな顔をした。
『?????』
アビゴール「はぁ……もういいからそいつを連れてけ……。俺は寝たいんだよ……。」
リコリス「よし!アビゴール様から許可が出たから寝てきますね!!」
そしてサッと逃げる様に部屋から出た偽神子を誰も追い掛けることなく見送る。
そのままベッドで横たわったアビゴールは、布団も掛けずに寝ようとしており、ヴィスキントはそれを見て再び嘆息して、ユーリ達に外に出るよう伝え、その場をあとにするのだった。
こうしてアビゴールと少女が寝た、という妙な噂が城中へ広がったのだった。