9・協議の日

★★★
「勇希兄ちゃん、終始浮かない顔していたね。」
「え?んな事ねぇよ!いつも通りだぜ?」
ミーティングが終わった後、私と勇希兄ちゃんの2人は通路を歩いていた。
会議は3日後。
事前準備の為に訓練も時間短縮で実施予定だった。
本日は個室に戻り、眠るだけだった。
勇希兄ちゃんも方向は同じだから、一緒について行った。
「電話で何か言われたの?友達に。」
「…バレたな。すごく寂しそうにしてたんだ。
夏の大会はベスト4ぐらいいったんだが、俺がいなくて寂しいって。」
「前に言った燈太さん?」
「おう。燈太は気は弱いが優しい人間なんだよ。」

優しい友達…。
丸井君みたいに、気にかけてくれる友達。
「本当はアイツだけは打ち明けたいとは思っているんだ。『課外活動』って言葉で誤魔化したくない。
決まりは決まりだから、うまく話せないのがしんどいんだ。」
「勇希兄ちゃん。私に着いてきた事、後悔している?」
「それはねぇよ。」
「だったら悔いのない活動を頑張ればいいじゃない。[ラストコア]の説明はできなくても、要点や感想ぐらいは言えるんじゃないかな?
笑顔で応えてあげたら、きっと燈太さんも笑ってくれると思うよ。」
「お前からそう言ってくれるなんてな。ありがとう。」
勇希兄ちゃんに感謝された。
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