サスナルワンドロ
雪がうっすらと降り積もる木の葉の里に、うちはサスケは一人部屋の中で寝込んでいた。
「くそっ…!なんだってこんな時に熱なんて…!」
今日は第七班で里外にB級任務に行く予定だった。
夕べも遅くまで子守り任務に就いていて、日付が変わる寸前に眠りについたのだ。
思い起こせば、子供を引き渡しの時に依頼者の家人が咳き込んでいたのを思い出した。
「チッ。あんときだな…。」
39℃以上の熱なので、体を動かすにも儘ならない。
これでは任務に支障が出ると班長のカカシに申し出た。
「うーん、この熱じゃ仕方ないね。しっかり寝とくんだな。」
「こんぐらいの熱…、大したことない…!」
「はいはい、分かったから、これでも飲んで寝ときなさいって。」
意地でも突っぱねるサスケにカカシはグイッと白い錠剤をサスケの口に放り込んだ。
「くっ…!何を……。」
「風邪薬だよ。それ飲んでおけば、少し楽になるから。ちゃんと寝てれば良くなるから、こっちの心配より自分の事だからな。」
催眠作用が強いのかサスケは瞼が急に重くなった。
いつの間にか寝てしまったサスケが再び起きた時には正午もかなり回っていた。
薬の効果か、些か体は楽になってはいたが頭痛と微熱は続いていた。
きっとアイツらだけで任務に出て行ったんだろう…。
サスケは自分の不甲斐なさに苦渋の顔を浮かべていた。
朝から何も口にしていないとさすがに腹も減るわけで、少しは何か口に入れるかと、怠い体を起こしてベッドから這い出した。
台所を辺りまでやっとの思いで辿り着くと、玄関のドアをドンドンとけたたましく叩く音が聞こえた。
「サスケー、起きてっかー?」
ドアの音と共に聞こえたいつも煩い、今日里外の任務に行ってる筈のうずまきナルトの声が聞こえてきた。
サスケはゆっくりと玄関に向かい、そっとドアを開けた。
「…ナルトか。なんでここに……?」
「サスケ、具合わりぃんだろ?おじや作ってきてやったってばよ!」
ナルトはニコニコしながらおじやの入った鍋をサスケに見せるように持ち上げた。
「俺の言ってる事は、そういう事じゃない…!任務は、今日のB級任務はどうしたんだ…!?」
サスケはくらつく頭で顔を歪めながらも目は鋭くナルトを睨みつけた。
「ああ、その事か。今日はみんな揃わないと成り立たない任務だから中止だってばよ!急遽休みになったからサクラちゃんと一緒にサスケの為におじや作ってたんだってばよ!」
「そうか…。」
任務に行った訳じゃないという事実にホッとしつつ、自分のせいかという不甲斐なさにサスケは自分自身に嫌気がさした。
「…用はそれだけか。さっさと帰れ!」
「ちょっ、ちょっと!なにすんだってばよ!」
鍋を持ったままのナルトをそのまま家から追い出そうと背中を押そうとしたところ、サスケは足元かグラつき倒れそうになった。
「おっと!だから無理すんなって!」
寸でのところでナルトが腕を掴んでサスケを受け止めた。
「まだ熱があんじゃねーかよ。少し大人しくしてろってば!」
左手には鍋を右手にはサスケを担いだナルトは足で靴を脱いでサスケの部屋に上がった。
鍋をテーブルに置き、サスケをベッドに横たわらせた。
「やってくれって頼んだ覚えはないからな!」
熱のせいか、照れ臭さなのかわからないが、サスケは顔がほんのりと赤くなっているのを隠すかのようにナルトに背を向けた。
「じゃあサスケ!おじや、俺が食べさせてやるってばよ!」
ナルトの言葉にサスケは度肝を抜いた。
「そんな事は自分で出来るから、もう帰ってくれ!」
サスケは慌てて言い放ったが、ナルトも頑として引き下がらなかった。
「今温め直すからちゃんと寝て待ってろよ!」
熱で力の出ないサスケはナルトにベッド押し付けられ、毛布と布団をしっかり掛けられた。
抵抗の出来ないサスケはそのままナルトに従うしかなかった。
ナルトは鍋をコンロに移して火を掛けてる間にベランダに移動した。
「お!まだ雪残ってるな!」
そういうとナルトはベランダの雪で何やら作り始めた。
「…ナルト。お前人ん家で何してんだ…。」
「出来上がってからのお楽しみだってばよ!」
満足げに言ったナルトは鼻歌まじりでささっと作りあげた。
「ほら見ろってば!雪ダルマだ!」
簡単に雪を大小丸めただけの雪ダルマを二つ並べてナルトはサスケに見せた。
「フン。単純だな。」
「んだとぅ!?サスケが一人で寂しいかと思って作ったんだぞ!」
「作ればいいってもんじゃない。」
サスケは布団から這い出すとナルトの作った雪ダルマにつま楊枝とビー玉のような玉をつけた。
赤っぽい玉とブルーの玉をそれぞれの雪ダルマにつけた。
「すげぇな。俺とサスケみてぇだな!」
確かに目にした玉だけ見てるとサスケとナルトに見えてくる。
暫くするとコンロからグツグツ煮出す音がしてきた。
「お!あったまったな。」
ナルトは煮立ったおじやの火を止め、一皿分掬ってサスケの元に持ってった。
「ほら、こっち座れってば!食べんぞ!」
再度ベッドに座らされたサスケはナルトと向かい合わせに座らされた。
「ホラよ、サスケ!」
一さじ掬ったおじやをナルトはフーフーしながらサスケにあげようとした。
「なっ、ナルト!?おまえ何を…!」
「病気の時はこうやって冷ましてから食べさせんだろ?」
「それは自分でやる!」
「遠慮すんなってばよ!」
ナルトから無理やり食べさせられたサスケは丁度よい温度のおじやをコクンと飲み込んだ。
「ま、まあまあだな…。」
「だろ?最後の味つけは俺だってばよ!」
照れながらも最後までナルトに食べさせて貰ったサスケは赤い顔で早々に毛布に潜り込んだ。
するとナルトが立ちあがり、
「もうそろそろ行くってばよ!ちゃんと寝てちゃんと食べろよな!」
「…ああ……。」
そのままナルトは部屋を出て帰っていった。
サスケも先ほどつくったナルトとサスケ似の雪ダルマを見ながらニタリと笑って眠りについたのだった。
Fin
「くそっ…!なんだってこんな時に熱なんて…!」
今日は第七班で里外にB級任務に行く予定だった。
夕べも遅くまで子守り任務に就いていて、日付が変わる寸前に眠りについたのだ。
思い起こせば、子供を引き渡しの時に依頼者の家人が咳き込んでいたのを思い出した。
「チッ。あんときだな…。」
39℃以上の熱なので、体を動かすにも儘ならない。
これでは任務に支障が出ると班長のカカシに申し出た。
「うーん、この熱じゃ仕方ないね。しっかり寝とくんだな。」
「こんぐらいの熱…、大したことない…!」
「はいはい、分かったから、これでも飲んで寝ときなさいって。」
意地でも突っぱねるサスケにカカシはグイッと白い錠剤をサスケの口に放り込んだ。
「くっ…!何を……。」
「風邪薬だよ。それ飲んでおけば、少し楽になるから。ちゃんと寝てれば良くなるから、こっちの心配より自分の事だからな。」
催眠作用が強いのかサスケは瞼が急に重くなった。
いつの間にか寝てしまったサスケが再び起きた時には正午もかなり回っていた。
薬の効果か、些か体は楽になってはいたが頭痛と微熱は続いていた。
きっとアイツらだけで任務に出て行ったんだろう…。
サスケは自分の不甲斐なさに苦渋の顔を浮かべていた。
朝から何も口にしていないとさすがに腹も減るわけで、少しは何か口に入れるかと、怠い体を起こしてベッドから這い出した。
台所を辺りまでやっとの思いで辿り着くと、玄関のドアをドンドンとけたたましく叩く音が聞こえた。
「サスケー、起きてっかー?」
ドアの音と共に聞こえたいつも煩い、今日里外の任務に行ってる筈のうずまきナルトの声が聞こえてきた。
サスケはゆっくりと玄関に向かい、そっとドアを開けた。
「…ナルトか。なんでここに……?」
「サスケ、具合わりぃんだろ?おじや作ってきてやったってばよ!」
ナルトはニコニコしながらおじやの入った鍋をサスケに見せるように持ち上げた。
「俺の言ってる事は、そういう事じゃない…!任務は、今日のB級任務はどうしたんだ…!?」
サスケはくらつく頭で顔を歪めながらも目は鋭くナルトを睨みつけた。
「ああ、その事か。今日はみんな揃わないと成り立たない任務だから中止だってばよ!急遽休みになったからサクラちゃんと一緒にサスケの為におじや作ってたんだってばよ!」
「そうか…。」
任務に行った訳じゃないという事実にホッとしつつ、自分のせいかという不甲斐なさにサスケは自分自身に嫌気がさした。
「…用はそれだけか。さっさと帰れ!」
「ちょっ、ちょっと!なにすんだってばよ!」
鍋を持ったままのナルトをそのまま家から追い出そうと背中を押そうとしたところ、サスケは足元かグラつき倒れそうになった。
「おっと!だから無理すんなって!」
寸でのところでナルトが腕を掴んでサスケを受け止めた。
「まだ熱があんじゃねーかよ。少し大人しくしてろってば!」
左手には鍋を右手にはサスケを担いだナルトは足で靴を脱いでサスケの部屋に上がった。
鍋をテーブルに置き、サスケをベッドに横たわらせた。
「やってくれって頼んだ覚えはないからな!」
熱のせいか、照れ臭さなのかわからないが、サスケは顔がほんのりと赤くなっているのを隠すかのようにナルトに背を向けた。
「じゃあサスケ!おじや、俺が食べさせてやるってばよ!」
ナルトの言葉にサスケは度肝を抜いた。
「そんな事は自分で出来るから、もう帰ってくれ!」
サスケは慌てて言い放ったが、ナルトも頑として引き下がらなかった。
「今温め直すからちゃんと寝て待ってろよ!」
熱で力の出ないサスケはナルトにベッド押し付けられ、毛布と布団をしっかり掛けられた。
抵抗の出来ないサスケはそのままナルトに従うしかなかった。
ナルトは鍋をコンロに移して火を掛けてる間にベランダに移動した。
「お!まだ雪残ってるな!」
そういうとナルトはベランダの雪で何やら作り始めた。
「…ナルト。お前人ん家で何してんだ…。」
「出来上がってからのお楽しみだってばよ!」
満足げに言ったナルトは鼻歌まじりでささっと作りあげた。
「ほら見ろってば!雪ダルマだ!」
簡単に雪を大小丸めただけの雪ダルマを二つ並べてナルトはサスケに見せた。
「フン。単純だな。」
「んだとぅ!?サスケが一人で寂しいかと思って作ったんだぞ!」
「作ればいいってもんじゃない。」
サスケは布団から這い出すとナルトの作った雪ダルマにつま楊枝とビー玉のような玉をつけた。
赤っぽい玉とブルーの玉をそれぞれの雪ダルマにつけた。
「すげぇな。俺とサスケみてぇだな!」
確かに目にした玉だけ見てるとサスケとナルトに見えてくる。
暫くするとコンロからグツグツ煮出す音がしてきた。
「お!あったまったな。」
ナルトは煮立ったおじやの火を止め、一皿分掬ってサスケの元に持ってった。
「ほら、こっち座れってば!食べんぞ!」
再度ベッドに座らされたサスケはナルトと向かい合わせに座らされた。
「ホラよ、サスケ!」
一さじ掬ったおじやをナルトはフーフーしながらサスケにあげようとした。
「なっ、ナルト!?おまえ何を…!」
「病気の時はこうやって冷ましてから食べさせんだろ?」
「それは自分でやる!」
「遠慮すんなってばよ!」
ナルトから無理やり食べさせられたサスケは丁度よい温度のおじやをコクンと飲み込んだ。
「ま、まあまあだな…。」
「だろ?最後の味つけは俺だってばよ!」
照れながらも最後までナルトに食べさせて貰ったサスケは赤い顔で早々に毛布に潜り込んだ。
するとナルトが立ちあがり、
「もうそろそろ行くってばよ!ちゃんと寝てちゃんと食べろよな!」
「…ああ……。」
そのままナルトは部屋を出て帰っていった。
サスケも先ほどつくったナルトとサスケ似の雪ダルマを見ながらニタリと笑って眠りについたのだった。
Fin
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