君の残り香【RKRN】夢小説
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良くも悪くも今日は偶然にも授業が午前までで終了していたので、その点については何の憂いもなく行くことができた。
勘右衛門がなぜこれほどあの娘に執着するのか分からないが、それと同じくらいどうして昨日行ったばかりの団子屋に今日もう一度行こうと思えるのかが不思議でならない。それでも行っても良いと言ってしまったのは自分なのだから、その責任は自分にある。
この何ともいえない気まずさをお前も少しは感じてくれ、勘右衛門。鼻歌を歌っていないで。
「昨日ぶりね。いらっしゃい」
俺が傍らで呆れていると知ってか知らずか、勘右衛門は満面の笑みであった。団子屋の娘が覚えていてくれたことがよっぽど嬉しかったのだろう。
「みたらし団子三本と三色団子一本、・・・・・・あときつねうどん」
「はい。・・・・・・あなたは?」
しばらくしても俺が注文しないから娘から尋ねてきた。
「俺は・・・・・・じゃあ俺も同じので」
「はい、しばらくお待ちくださいね」
そう言うとやはり愛嬌のある笑顔を向けてから厨房へと消えた。勘右衛門の方を振り向くと、何ともしまりのない表情をしている。
「おい、鼻の下延びてるぞ。・・・・・・ったくどこが良いんだかさっぱりわかんねえ。ひょっとしてお前の好みにぴったりだったのか?」
「あ?そうだ。悪いか?さんざん遊んで行き着いた俺の女の美学に当てはまる女が目の前にいるんだ。そりゃあ顔も緩むだろ」
「ああそうかよ」
それならなぜたどり着いた勘右衛門の美学に当てはまらない女と戯れることをやめないのだろうか、俺には勘右衛門の考えていることはよく分からない。
いくら考えたって勘右衛門の考えていることなど分からないだろう。分かりたくもない。考えるのをやめよう。
「覚えててくれたんですね恵ちゃん!」
目をキラッキラに輝かせてそんな事を言っている奴のことなど、考えていたくもない。大の男がそんな顔しても、気持ち悪いだけだ。
「昨日の今日で忘れるわけないでしょう」
娘はこいつの勢いに気圧され困惑気味にそう答える。俺はこれ以上この惨状を見るに堪えなかったから、お茶を持ってきてもらうことにした。
少々お待ちくださいね、今お持ちしますと言うと、温かい緑茶を持ってきてくれた。再び奥に戻ろうと身をひるがえしたその隙に勘右衛門は行動に出る。
娘の腕をつかんで、離さない。
「……?どうなさいました」
「今度さ、俺と遊びに行かねえ?」
ああ、まったく。なぜ今それを言ったんだ。歯がゆい。歯が浮くような感覚とはまさにこれの事だ。
ほら見ろ、気の毒な娘さん。意味が分からないを通り越して恐怖を抱いているじゃないか。
「ごめんな。恵ちゃん……だったっけ?こいつちょっと熱があるみたいで」
俺も俺でこんな決まり文句のごまかし方しかできないのだから情けない。ますます怪訝な顔をされてしまった。もう何でもいいから、早く誰かこの状況を何とかしてくれ。
「遊びに行くくらいでしたら、かまいませんよ」
もうお手上げだ。この時代にこんなに素直な女性がいたのか。素直を通り越して世間知らずのおバカではないか。
俺にはこの純白の娘さんを汚すに忍びなかった。だが、勘右衛門はもう完全に歯止めがかかっていない。
かくなるうえは、俺が常に同行して勘右衛門を監視するか。
しかし俺はそこまでする体力も気力も、何よりそこまでしてこの娘を守ってやるほどのこの娘に対する情熱を持っていない。
だが、関わったら最後まで。これが俺の鉄則だ。
こうなったら意地でも勘右衛門からこの娘の純白を守ってやろう。
俺もたいがい、お人好しなのかもしれない。
勘右衛門がなぜこれほどあの娘に執着するのか分からないが、それと同じくらいどうして昨日行ったばかりの団子屋に今日もう一度行こうと思えるのかが不思議でならない。それでも行っても良いと言ってしまったのは自分なのだから、その責任は自分にある。
この何ともいえない気まずさをお前も少しは感じてくれ、勘右衛門。鼻歌を歌っていないで。
「昨日ぶりね。いらっしゃい」
俺が傍らで呆れていると知ってか知らずか、勘右衛門は満面の笑みであった。団子屋の娘が覚えていてくれたことがよっぽど嬉しかったのだろう。
「みたらし団子三本と三色団子一本、・・・・・・あときつねうどん」
「はい。・・・・・・あなたは?」
しばらくしても俺が注文しないから娘から尋ねてきた。
「俺は・・・・・・じゃあ俺も同じので」
「はい、しばらくお待ちくださいね」
そう言うとやはり愛嬌のある笑顔を向けてから厨房へと消えた。勘右衛門の方を振り向くと、何ともしまりのない表情をしている。
「おい、鼻の下延びてるぞ。・・・・・・ったくどこが良いんだかさっぱりわかんねえ。ひょっとしてお前の好みにぴったりだったのか?」
「あ?そうだ。悪いか?さんざん遊んで行き着いた俺の女の美学に当てはまる女が目の前にいるんだ。そりゃあ顔も緩むだろ」
「ああそうかよ」
それならなぜたどり着いた勘右衛門の美学に当てはまらない女と戯れることをやめないのだろうか、俺には勘右衛門の考えていることはよく分からない。
いくら考えたって勘右衛門の考えていることなど分からないだろう。分かりたくもない。考えるのをやめよう。
「覚えててくれたんですね恵ちゃん!」
目をキラッキラに輝かせてそんな事を言っている奴のことなど、考えていたくもない。大の男がそんな顔しても、気持ち悪いだけだ。
「昨日の今日で忘れるわけないでしょう」
娘はこいつの勢いに気圧され困惑気味にそう答える。俺はこれ以上この惨状を見るに堪えなかったから、お茶を持ってきてもらうことにした。
少々お待ちくださいね、今お持ちしますと言うと、温かい緑茶を持ってきてくれた。再び奥に戻ろうと身をひるがえしたその隙に勘右衛門は行動に出る。
娘の腕をつかんで、離さない。
「……?どうなさいました」
「今度さ、俺と遊びに行かねえ?」
ああ、まったく。なぜ今それを言ったんだ。歯がゆい。歯が浮くような感覚とはまさにこれの事だ。
ほら見ろ、気の毒な娘さん。意味が分からないを通り越して恐怖を抱いているじゃないか。
「ごめんな。恵ちゃん……だったっけ?こいつちょっと熱があるみたいで」
俺も俺でこんな決まり文句のごまかし方しかできないのだから情けない。ますます怪訝な顔をされてしまった。もう何でもいいから、早く誰かこの状況を何とかしてくれ。
「遊びに行くくらいでしたら、かまいませんよ」
もうお手上げだ。この時代にこんなに素直な女性がいたのか。素直を通り越して世間知らずのおバカではないか。
俺にはこの純白の娘さんを汚すに忍びなかった。だが、勘右衛門はもう完全に歯止めがかかっていない。
かくなるうえは、俺が常に同行して勘右衛門を監視するか。
しかし俺はそこまでする体力も気力も、何よりそこまでしてこの娘を守ってやるほどのこの娘に対する情熱を持っていない。
だが、関わったら最後まで。これが俺の鉄則だ。
こうなったら意地でも勘右衛門からこの娘の純白を守ってやろう。
俺もたいがい、お人好しなのかもしれない。