契闊 【両面宿儺】
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彼は呪った。人を、己を、そして、最愛の相手を。
その呪いに答えるように、彼女は過呪怨霊として再び彼の前に現れた。
「俺はいずれ死ぬ。そのときお前は俺の一部を取り込め。・・・・・・そしてもう二度と、逆らうな」
もはや人の姿ではない彼女を、宿儺は有らん限りの力で抱きしめた。
__________
宿儺に会えるのね。・・・・・・千年、長かったよ。
宿儺の気配はすぐに他の何かによってかき消される。それでも辛抱強く待ち続けた。今から彼に会うまでの時間と、今まで待ち続けた千年と、比べてみればどちらが短いかなどすぐに分かる。
数ヶ月は経っただろうか。東京に宿儺と宿儺の器が居ることを知った過呪怨霊である彼女は、ひたすらに息を潜める。時は来た。宿儺の器が一人でのうのうと人気のないところを散歩をしていた。
彼女は宿儺の器の真っ正面に降り立つ。
「契闊」
すぐに彼は現れた。
「宿儺、宿儺ぁ・・・・・・」
醜悪な見た目の過呪怨遼は、どこからともなく涙を流し、宿儺と抱擁しあう。
「・・・・・・俺とお前の主従は破棄だ、いいな」
彼女にはその理由がつかめなかったが、それでももう命には逆らえない。彼女はもとの人間の姿に戻り、目をしばたたかせ、小首を傾げている。
「それと、指は返してもらうぞ」
心臓のあたりにあった特級呪物、宿儺の指。それを無造作に引きちぎって抜き取った。
「宿儺・・・・・・?」
彼女はここで初めて、宿儺の善性を疑った。うつろな目で宿儺を眺めながら、ゆっくりと消えていく。
当の宿儺は冷笑を浮かべていた。
「事情が変わったのだ。指は一本でも多い方が良い。俺の興味の対象はもはやお前ではないということだ。・・・・・・それくらい分かれ、相変わらず、愚かな奴め」
彼女は安心して天へ還った。最後に付け足された一言に、その心は救われた。
彼は過去を忘れたわけではなかったのだ。
その呪いに答えるように、彼女は過呪怨霊として再び彼の前に現れた。
「俺はいずれ死ぬ。そのときお前は俺の一部を取り込め。・・・・・・そしてもう二度と、逆らうな」
もはや人の姿ではない彼女を、宿儺は有らん限りの力で抱きしめた。
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宿儺に会えるのね。・・・・・・千年、長かったよ。
宿儺の気配はすぐに他の何かによってかき消される。それでも辛抱強く待ち続けた。今から彼に会うまでの時間と、今まで待ち続けた千年と、比べてみればどちらが短いかなどすぐに分かる。
数ヶ月は経っただろうか。東京に宿儺と宿儺の器が居ることを知った過呪怨霊である彼女は、ひたすらに息を潜める。時は来た。宿儺の器が一人でのうのうと人気のないところを散歩をしていた。
彼女は宿儺の器の真っ正面に降り立つ。
「契闊」
すぐに彼は現れた。
「宿儺、宿儺ぁ・・・・・・」
醜悪な見た目の過呪怨遼は、どこからともなく涙を流し、宿儺と抱擁しあう。
「・・・・・・俺とお前の主従は破棄だ、いいな」
彼女にはその理由がつかめなかったが、それでももう命には逆らえない。彼女はもとの人間の姿に戻り、目をしばたたかせ、小首を傾げている。
「それと、指は返してもらうぞ」
心臓のあたりにあった特級呪物、宿儺の指。それを無造作に引きちぎって抜き取った。
「宿儺・・・・・・?」
彼女はここで初めて、宿儺の善性を疑った。うつろな目で宿儺を眺めながら、ゆっくりと消えていく。
当の宿儺は冷笑を浮かべていた。
「事情が変わったのだ。指は一本でも多い方が良い。俺の興味の対象はもはやお前ではないということだ。・・・・・・それくらい分かれ、相変わらず、愚かな奴め」
彼女は安心して天へ還った。最後に付け足された一言に、その心は救われた。
彼は過去を忘れたわけではなかったのだ。
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