契闊 【両面宿儺】
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千年以上前も昔のこと、まだ宿儺が人として生存していた頃である。彼女もまた人として存在していた。
豪族であった彼の屋敷には、近隣の術師の家から賄や贄として呪術師達が奉公していた。誰も皆宿儺のその強大な力を恐れ、彼の鼻息をうかがい、不用意に近づくまいとしていた。
時を同じくして彼の住んでいた屋敷のすぐ近くに、両親を流行病に亡くした少女が親族を頼って移り住んできた。その少女こそかの呪いであり、生前の宿儺の唯一の好奇の的である。
彼女の母親は術師の家庭に生まれた呪力を持たない女性であり、一般の男性と結ばれて宗家とは離れた土地に暮らしていた。
その娘、すなわち一般家庭に生まれながらも幼少期から呪いが見えた彼女は、一般家庭に生まれた呪力のある人間であるにも関わらず、たくさんの愛情を注がれて純真に、そして人なつっこい少女に成長した。
それはひとえに彼女の母親も術師の家系の子であったことのお陰だろう。また、呪術の全盛期であった当時の風潮により一般人にも“呪い”や“呪術師”という存在が居るということは浸透していたことも幸いだった。
彼女は親族に期待を持って受け入れられた。そして成長するとすぐに、宿儺の屋敷に下女として送られた。親族からすればどう頑張ったってボンクラの子はボンクラだった。
彼女は親族にやっかい払いされたとも気づかずに、宿儺のなんたるかも良く知らないまま、期待や高揚感で胸を膨らませて満面の笑みで宿儺と対面する。
彼の姿を見てもひれ伏さない彼女の頭を連れてきた親族があわてて床に押しつけ、口上を述べた。要するに彼女は、今後ともよろしくお願いします、という意味を込めての生け贄だった。
「一度は許す、二度はない」
ご機嫌とりのつもりが逆に機嫌を損ねてしまったのだからどうしようもない。彼らは必死で謝罪をして逃げるように去っていった。もちろん、彼女はおいて行かれた。
宿儺の恐ろしさを知らない彼女にとって、宿儺に対する他の者達の態度は奇異なものである。
また彼女自身は宿儺を全く恐れず、むしろ興味津々、勝手に師と仰ぐほどの懐きようを見せたので、自然、宿儺も悪くは思わなかった。
宿儺にとっても彼女は希有な存在であった。
豪族であった彼の屋敷には、近隣の術師の家から賄や贄として呪術師達が奉公していた。誰も皆宿儺のその強大な力を恐れ、彼の鼻息をうかがい、不用意に近づくまいとしていた。
時を同じくして彼の住んでいた屋敷のすぐ近くに、両親を流行病に亡くした少女が親族を頼って移り住んできた。その少女こそかの呪いであり、生前の宿儺の唯一の好奇の的である。
彼女の母親は術師の家庭に生まれた呪力を持たない女性であり、一般の男性と結ばれて宗家とは離れた土地に暮らしていた。
その娘、すなわち一般家庭に生まれながらも幼少期から呪いが見えた彼女は、一般家庭に生まれた呪力のある人間であるにも関わらず、たくさんの愛情を注がれて純真に、そして人なつっこい少女に成長した。
それはひとえに彼女の母親も術師の家系の子であったことのお陰だろう。また、呪術の全盛期であった当時の風潮により一般人にも“呪い”や“呪術師”という存在が居るということは浸透していたことも幸いだった。
彼女は親族に期待を持って受け入れられた。そして成長するとすぐに、宿儺の屋敷に下女として送られた。親族からすればどう頑張ったってボンクラの子はボンクラだった。
彼女は親族にやっかい払いされたとも気づかずに、宿儺のなんたるかも良く知らないまま、期待や高揚感で胸を膨らませて満面の笑みで宿儺と対面する。
彼の姿を見てもひれ伏さない彼女の頭を連れてきた親族があわてて床に押しつけ、口上を述べた。要するに彼女は、今後ともよろしくお願いします、という意味を込めての生け贄だった。
「一度は許す、二度はない」
ご機嫌とりのつもりが逆に機嫌を損ねてしまったのだからどうしようもない。彼らは必死で謝罪をして逃げるように去っていった。もちろん、彼女はおいて行かれた。
宿儺の恐ろしさを知らない彼女にとって、宿儺に対する他の者達の態度は奇異なものである。
また彼女自身は宿儺を全く恐れず、むしろ興味津々、勝手に師と仰ぐほどの懐きようを見せたので、自然、宿儺も悪くは思わなかった。
宿儺にとっても彼女は希有な存在であった。
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