第一章 Grib boblerne
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「……いや、多目的室って、どこだよ」
誰もいない廊下で一人立ち尽くす青年。
真新しい制服に身を包み、隠しきれないあどけなさを浮かべる彼は、数ヶ月前、ここ名門魔法士育成学校・ナイトレイブンカレッジに入学してきた一年生だ。
次の授業が移動教室だということをすっかり忘れ、呑気にトイレで用を足していた彼。出すものを出し切り、軽い足取りで戻ってきたら、びっくり仰天。教室はもぬけの殻。
黒板に書かれた『多目的室』という白文字を頼りに教室を出たわけだが、ご覧の通り、肝心な場所が分からないという状況に陥っている。
(弱ったなあ)
意味もなく、前髪をくしゃりと掴む。
このままじゃ、欠席扱いになってしまう。何とかして行かなくては。でも、どうやって?
頭を抱える青年。だが、その時、長い廊下の何処かで誰かの足音がしたような気がした。
ハッと思い、顔を上げると、青年が立っている場所よりも、十メートルほど先のところに女子生徒の姿があった。
ようやく見つけた救世主を呼び止めるが、声が小さかったのか、彼女はスタスタと歩いていく。
聞こえなかったのだろうか。ならばと、先ほどよりも、大きめに声を張り上げてみるが、少女は立ち止まるどころか、振り向くことすらしない。
「おい、待てよ」
無視されていることに腹が立ち、荒くなる口調。
もしそれが行動が能の低い悪戯だったとしても、ここまで怒らせたら、さすがにやめるだろう。だが、彼女は違う。
まるで、彼の声が聞こえていないかのように。彼がその場にいないかのように。透明人間かのように振る舞った。そして、そのまま渡り廊下へと続く角へと姿を消した。
「……んだよ、アイツ。感じ悪りぃな」
舌先で弾かれた文句が廊下にこだまする。が、感じの悪い彼女の耳に届くことは決してなかった。
誰もいない廊下で一人立ち尽くす青年。
真新しい制服に身を包み、隠しきれないあどけなさを浮かべる彼は、数ヶ月前、ここ名門魔法士育成学校・ナイトレイブンカレッジに入学してきた一年生だ。
次の授業が移動教室だということをすっかり忘れ、呑気にトイレで用を足していた彼。出すものを出し切り、軽い足取りで戻ってきたら、びっくり仰天。教室はもぬけの殻。
黒板に書かれた『多目的室』という白文字を頼りに教室を出たわけだが、ご覧の通り、肝心な場所が分からないという状況に陥っている。
(弱ったなあ)
意味もなく、前髪をくしゃりと掴む。
このままじゃ、欠席扱いになってしまう。何とかして行かなくては。でも、どうやって?
頭を抱える青年。だが、その時、長い廊下の何処かで誰かの足音がしたような気がした。
ハッと思い、顔を上げると、青年が立っている場所よりも、十メートルほど先のところに女子生徒の姿があった。
ようやく見つけた救世主を呼び止めるが、声が小さかったのか、彼女はスタスタと歩いていく。
聞こえなかったのだろうか。ならばと、先ほどよりも、大きめに声を張り上げてみるが、少女は立ち止まるどころか、振り向くことすらしない。
「おい、待てよ」
無視されていることに腹が立ち、荒くなる口調。
もしそれが行動が能の低い悪戯だったとしても、ここまで怒らせたら、さすがにやめるだろう。だが、彼女は違う。
まるで、彼の声が聞こえていないかのように。彼がその場にいないかのように。透明人間かのように振る舞った。そして、そのまま渡り廊下へと続く角へと姿を消した。
「……んだよ、アイツ。感じ悪りぃな」
舌先で弾かれた文句が廊下にこだまする。が、感じの悪い彼女の耳に届くことは決してなかった。
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