廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~(その5)
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ゾクゾクッッ……
女王一行が近付いてくるせいか、馬の危険察知能力が次第に警鐘を鳴らし始めた。
馬「ひぃぃ、鳥肌も凄いけど毛も逆立ってるぅぅ…」
馬はナギの手を取ると自身の頭を触らせた。
ナギ「……うわ、なんだこれ。」
ナギも思わず驚いてしまった。
わかりやすく言えば、下敷きを頭に擦り付けた直後の静電気を帯びた髪の毛のように彼女の髪が逆立っている。
シン「お前のシックスセンスが発動するとそうなるのか?」
ソウシ「いや、馬ちゃんの霊感アンテナが反応しているからってわけではないみたい。」
ソウシの部屋には『レレレの奇太郎』という霊感少年の小説が置いてあり、作中では奇太郎が霊の存在を感じ取るために髪の毛をアンテナ状に逆立てる。
その現象を『霊感アンテナ』として表記されているのだが、今のソウシはこの言葉に擬えて発言している。
ソウシ「ナギとトワはわかり難いけど、多分全員の髪が逆立ってると思う。」
馬「確かに、ナギさんとトワ君はお洒落ツンツンヘアーで、最初から重力に逆らってるけど、」
馬はチラリとシンを見た。
シン「?」
馬「サラッサラのシンさんの髪はカイワレ大根みたいにニョロニョロと空に向かってなびいてますね、ぷふっ(笑)」
ソウシ「こらこら、馬ちゃんもシンと同じようになびいてるんだから笑っちゃダメだよ、カイワレ大根って……ぷっっ(笑)」
シン「チッ、ドクターも似たようなもんでしょう。」
2人に笑われ、シンは苛々としながら言い返した。
とにもかくにも、黒髪やや長髪3人組の髪の毛が静電気を帯びたように逆立っている事は確かである。
シン「闇の女王とやらを拝んでみたかったが、もう撤退をした方が良いかもしれんな。」
先程のカイワレ会話の続きから、急にシンが撤退を提案した。
トワ「え、でも船に戻ったらまた昨日と同じ結果になるんじゃ…」
リュウガに指示され、各自昨日と同じ場所に行ってみたところ、やはり発生する出来事も同じだった。
昨日と同じ1日を過ごしてしまうとシリウス号は出航出来ないだろう、そう仮説付けたのはシン本人で、現状を把握、もしくは打破するためにも1度女王を確認しておきたいと提案したのも彼だった。
シン「女王一行が来る前に物理的な危険の方が先に来てしまうかもしれない。」
ナギ「……物理的な危険?もしかして髪が、」
馬「逆立ち過ぎて全部抜け落ちてしまうかもしれないという危険ですか!?」
それはイケメンにとっては致命傷となる物理的な危険である。
シン「違う!!」
どうやら違ったようだ。
トワ『違うのか、良かったぁ…』
まだまだ若いトワは髪の毛のお洒落も楽しみたい年頃である。
それがスキンヘッドか落武者ヘアーの2択しか選べなくなるかもしれないという結末は恐怖でしかない。
しかし、そうではないと知って1人安堵している。
ナギ「……髪が逆立ってる事に関係してるのか?」
ナギが正規の質問に戻した。
シン「あぁ、あの巨大な雲の塊が段々こちらに近付いて来てる。
人間に雷が直撃する瞬間、今のように髪の毛が逆立つんだが…」
ソウシ「あー、それならここにいるより船に戻った方が良いね。
天候ばかりは私達でも太刀打ち出来ない。」
落雷や豪雨を懸念するソウシは、シンの提案に賛成した。