廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~(その4)
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ソウシ「うーん、ナギの場合はシャツなのか… そこはパンツでいて欲しかったな(笑)」
日記の翻訳をしながら、ソウシは思い出したように少し前の話題を出してきた。
馬「パンツ、私もそれが1番良いんですけどー、」
馬も、シンから借りた旧古代辞書なる分厚い本を繰りながら本音を語っている。
馬「ナギさんは絶対に脱いでくれないんです。
両想いになる前に頼みに頼み込んでやっとシャツを脱いでもらえて……あーチックショー、辞書に載ってない……でも、最近は頼む前に自主的に脱いでくれるようになったからそれだけでもありがたいなって思います。」
ソウシ「へぇ、あのナギが自分からシャツを差し出すんだ。
馬ちゃん、愛されてるね♪」
職業病とでも言うべきか、ソウシは馬から巧みに話を聞き出しつつ、自分の担当する翻訳もスラスラと紙上に書き起こしている。
シン「そもそも、そんな物をもらってお前は何に使うんだ?」
シンも馬と同じく、辞書と日記のメモ用紙を持つ自身の手元を睨んだまま尋ねる。
馬「えっ、何に使うって勿論、」
この時、初めて馬が顔を上げた。
そして身ぶり手振りを加えながら、ナギの生シャツの使い道について力説を始める。
馬「シャツをナギさんだと思って愛でるんですよ!!
ギュッて抱き締めながら匂いを嗅いで悶えたり、服の袖に手を通して『ナギさんって大きぃ…キャッ////』と独り言を言ってみたりともう最高っ、ヒューッ!!
特に、夜中にふと目が覚めてナギさんがいないってなった時の、シャツの匂いを嗅いだ安心感ときたら言葉では表せませんね!」
シン「………………」
シンも初めて視線を起こしたが、その瞳は酷く冷たいものだった。
馬「ちょっとシンさん、毛虫を見るような目で見ないでくださいよ。」
シンは全力で引いているが、ソウシの方は違った。
ソウシ『馬ちゃんの気持ちがよくわかる。
身近に似たような事をする人がいるなんてちょっと嬉しいかも♪』
好きな人の所有品を愛でる同胞の発見に、彼は少し感動していた。
『○日×月 国王ア・ルー様とその従姉妹のルサ様が結婚した。
とてもめでたい。
私達も一月後に結婚する。楽しみだ。』
『○日○月 いよいよ私の結婚式 (略) 結婚の祝いに王家の(紋章?)入りの(島の特産品?)をもらった。
ア・ルー様はルーの人間にとても優しい。』
( )内の言葉は辞書には載っておらず、ソウシ達がそれらしい言葉を当て嵌めている。
馬「で、ここからは暫く日記の持ち主のイチャイチャ話が続いて、王族や女王様に関する表記は無しで、」
ソウシ「うん、だから手っ取り早く最後のページから訳してみたんだけど、どうにも様子がおかしいんだよね。」
『□日△月 怖い、怖い、怖い。
今日は(家?)を捨てる。
とにかく逃げる(逃げたい?)。』
馬「うーん、辞書のお堅い表現のままで書いてますけど、これを口語文にしたらめちゃくちゃ不気味になりそうですね。
『怖い…怖い…怖い! 今日にはいよいよ家を捨てて、すぐに逃げ出さないと!』みたいな感じですよね。
すんごく危機迫った状況だったのか…」
ソウシ「そうだろうね、殴り書きでグチャグチャの文字だし。」
馬「でもこの奥さんは旦那さんの暴力を恐れて、とか、女王様とは関係のない理由で逃げてるんじゃないですか?」
シン「最後のページから遡って…数週間前の記述で酷く字が乱れたページがあってな、そこだけを訳してみたらこう書かれていた。」
馬「どれどれ…」
馬はシンから手渡された用紙に注目する。
『(旦那の名前?)が死んだ、殺された。
(旦那)は悪くない、ルサ様が(※解読不能) ルサ様が怖い。』
馬「あっちゃー、旦那さん亡くなってますね。
ルサ様が原因かな…」
ソウシ「そうなんだよ、この旦那さんが亡くなった日辺りから不穏な内容ばかりでね。
他にもまだ訳せてないページがあるから手伝って欲しいんだ。」
馬「わかりました、私の脳細胞を全活用します!」
ソウシ「うん、よろしくね♪」
馬達の翻訳作業はもう少し続く。