廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~(その3)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬「絶対ダメですって!!」
馬はナギの片腕にしがみつき、必死になって説得している。
彼女がしがみついているナギの手にはリンドラが握られており、
ナギ「一口だけかじらせろって!」
彼は初めての食材を前にして、どうしても味見をしたい衝動に駆られている。
馬「だ、め、ぇぇぇ……ぐぐぐ!!」
馬も決して引こうとはしない。
その時、
「ちょっとちょっとお2人さん!」
「どうした、痴話喧嘩かい?」
2人のやり取りに見兼ねた初老夫婦が思わず仲裁に入ってきた。
他人の揉め事に対して素通りが出来ない性質のルーの人間は、やはり人情味に溢れている。
ナギ「…………」
ナギはばつが悪そうにしながらリンドラを持つ手を下ろし、
馬「えっと、ごめんなさい、お騒がせしました。」
馬は取り繕うような笑顔を浮かべて誤魔化そうとした。
「あんたらは流浪の……あ、でも立派な服装をしているから旅客かい?」
馬「はい、えーっと…新婚旅行でこの島にやって来ました!
ね、アナタ♪」
怪しまれないように馬は咄嗟に虚偽の設定を考えた。
ナギ「…………あぁ。」
察したナギも彼女の話に合わせる。
「ほー、新婚さんかー。
だったら今が1番熱い時じゃないか?なぁ、母さん。」
「えぇ、羨ましいわねぇ。
それにしてもどうして喧嘩なんかしてたの?
夫婦は仲良くしなくちゃダメよ?」
馬「えーっと、あのですね…(あ、そうだ。) 主人がお昼を食べたばっかりなのにおやつを食べたいってワガママを言いましてー、」
ナギ「……な、」
「あら、こんなに男前な旦那さんなのにそんな子どもみたいなことを言うの?
意外ねぇ、お父さん。」
「あぁ、そうだな。
可愛い奥さんを困らせちゃいかんよ、ご主人?」
ナギ「……いや、」
3人がかりで言いくるめられてしまい、気迫負けしたナギは口ごもる。
馬「ね!皆言ってるでしょう?
これはまた夕飯後に食べましょう!」
そう言いながら馬はナギの手からリンドラを奪い取る事に成功し、そして、
馬「よいしょ。」
取り上げたリンドラをそそくさと自分の鞄に仕舞い込んだ。
「それにしても2人共立派な衣装を着てるのねぇ…」
初老女性はしげしげと馬とナギを交互に眺める。
古代文字を使う時代のルーの人々の衣服は、馬達の時代の衣服と比べて当然生産技術が劣っている。
だから馬達からすれば庶民の服装でも、ルーの人間からすればとても華やかに映っているのだ。
だが、
馬『よりにもよって今日のTシャツは「専属襤褸雑巾」って書いてるのに…』
タイムリーに『どM漢字シリーズ』のTシャツを着こなしている馬はかなり複雑な心境にいる。
「美男美女で身分の高い新婚夫婦か。
まるでア・ルー様とルサ様を見ているようだな。」
初老男性がしみじみと語りながら馬とナギの顔を見比べている。
馬「ルサ様ってさっきも聞きました。
この島の女王様で、とっても綺麗なお方なんですよね?」
純粋な好奇心から馬はルサ女王について質問をした。
「えぇ、そうよ。ルーの自慢の女王様で本当にお綺麗でね。」
自分達の女王を褒められ、気分を良くした女性は持っていた皮袋から1枚の絵を取り出した。
「はい、この方よ。
あ、隣の男性が王配のア・ルー様ね。」
馬「あ……」
ナギ「……………」
馬とナギは見せられた絵に覚えがあった。