廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~(その3)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬「普通は単体の霊から臭いがするのですが、うーん、何だか街全体から臭いが漂っていて…」
馬は自身の言いたいことを上手く伝えようと言葉を選んでいる。
馬「ハヤテさんに憑いてた奴の臭いを強烈にしたような臭いがずっとしていて……とにもかくにも、こんなの初めてなんです!」
しかし、結局はアバウトな感想で締められてしまった。
ソウシ「馬ちゃん、さっきシンにも言おうと思ってたんだけど、」
馬「はい!」
シン「あぁ、そういえば…」
ナギ「……………」
ソウシ「何で私達は街の人の言葉がわかるんだろう?」
ソウシの指摘に、他の3人は息を呑む。
ナギ「……確かに昨日見付けた本は全部、」
ソウシが即席で読むのも困難な古代文字で書かれていた。
古代文字がここでの標準字ということは、街の人々が使う言葉も当然…
ソウシ「古代語のはずだよね?」
シン「オレは実物を見ていないが……ドクター、本当に古代文字だったんですか?」
ソウシ「うん、翻訳に時間が掛かりそうだから後で君にも協力してもらおうと思ってたんだ。
それくらい昔の文字だった。」
シン「……………」
シンは不可解な現実に頭を抱えている。
感じている恐怖の正体を知りたいのに、考えれば考えるほど深みに嵌まっていくようだ。
馬「あのー、こんな話知ってます?」
少しでも謎を解明するためにも、馬が口を開いた。
シン「………?」
ソウシ「何かな?」
馬「ホンモノの幽霊はハッキリと見えるって話。
霧や雨で視界が悪くても、真っ暗闇でも、見る人の視力が悪くても、何故だか決まってハッキリと見えるんだそうです。」
ナギ「……似た話を聞いたことがあるな。
夜の山中でやたらとハッキリ見えるモノはヤバいから近寄るなって、昔の…仲間が言ってた。」
ナギの言う『昔の仲間』とは勿論山賊仲間の事なのだが、馬の手前、ぼかした表現に留めている。
シン「海の亡霊に引き摺り込まれる時もそうなるらしいな。
水中なのに亡霊の姿だけは鮮明に見えるらしいぞ。」
馬『そういえば水中で見たトモカヅキもちゃんと見えてた!』
馬はかつての体験を思い出し、そして納得していた。
シン「それで、その話とドクターが言う言語の話と何の関係があるんだ?」
馬「えーっと、霊がハッキリと見えるのは脳内で自動補正してるんじゃ無いのかな?って私は思うんですよ。」
ソウシ・シン「自動補正…?」
馬の独特な見解に、理知的な2人が反応する。
馬「ほら、シンさんだって船舶無線をハッキリと聞くために自分で周波数を調整してるでしょう?
それと同じ感じですよ。」
舞踏会のために航海室で学習をさせられていた馬は、航海士としてのシンの行動を大体把握しており、彼が無線を使う様子を何度も目撃している。
その時の事を例えて馬は説明する。
馬「霊が見える人って、無意識の内にその霊の周波数みたいなのをキャッチして脳みそで上手に調整するんでしょうね。
だからハッキリと見えるようになる。」
ソウシ・シン「…………」
全く根拠の無い馬の説明だが、未だ解明されていない脳の作用だと言われると説得力があるように聞こえる。
馬「今は街全体が霊みたいなもので、力がとても大きいから私達全員の脳みそが反応して言葉まで補正しちゃってる……そんな脳みそミラクルが起こってるって考えるのはどうでしょう?」
ソウシ「うーん、昨日は無かった建物が見えてるくらいだし、脳の自動変換によって言葉がわかるようになっても……まぁおかしくはないか。
馬ちゃん、とても面白い考えだね。」
シン「フン、ただの推測でしかないが今はそう捉えておくか。」
2人は馬の説明に納得したようだ。
話に一段落ついた時、ナギが馬にだけ聞こえる声で話し掛けてきた。
ナギ「……お前って普段はアホな事ばっかり言ってるけど、たまに難しい事言うよな。」
馬「偉大なるナギさん!?
普段はアホって!?私の事をそんな風に見てたんです!?」
ナギ「あ…?」
思った以上に過剰な反応をする馬にナギは気圧されてしまった。
馬「私、女版シンさんみたいなクール賢いキャラで通してたつもりなのに…」
馬は愕然としながらブツブツと呟いている。
ナギ『クール賢い……?微塵も無ぇじゃねぇか…』
対するナギも愕然としている。