廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬は最初から人気のある航海室で眠るつもりでいたが、シンにとってはただの迷惑でしかなかった。
シン「ったく、無駄な手間を掛けさせやがって!」
普段は貴族さながらの気品溢れる振る舞いをするシンだが、立腹時は語気が荒くなる。
その辺りの豹変ぶりが、彼も海賊団のはしくれであることを物語っていた。
バンッッ!!
シンはナギの部屋の扉を乱暴に開けた。
すると、
シン「!?」
扉を開けた瞬間に漂う甘ったるい匂いに、シンは顔を歪ませた。
決して不快な匂いでは無い、むしろ極上の類いの芳香なのだが、自我を忘れてしまいそうな脅威がある。
シン『あぁ、これがドクター達の言っていた…』
どこか官能的なその匂いは、以前リュウガとソウシから注意されていた媚薬効果のある匂いだと、シンはすぐに理解した。
シン『そういえばこのアホ夫婦は自分達が主賓だってわかってるはずなのに、早々に戻っていたが…つまりはそういうことか。』
シンは宴時の夫婦の行動を思い返して納得している。
シン『新婚夫婦はお盛んな事だな…』
生々しい情事の痕跡を感じ、あの無駄に奥手だった2人がよくぞここまでの関係になったなと、シンは感慨深い気持ちになってしまった。
シン「……フン。」
船内イチ冷静なシンは、香りに当てられない内に、さっさと馬をベッドに寝かせて退室しようとしている。
ドサッ…!!
馬「ぶへっっ!」
シンが乱暴にベッドに寝かせたものだから、馬は蛙がひしゃげたような声を上げた。
だが、
馬「スフー…………」
すぐにいつもの間の抜けた寝息を立て出した。
シン「はぁ…」
寝ていてもマイペース過ぎる馬に呆れ、シンは溜め息を吐いてから踵を返した。
彼は早々に立ち去りたい。
シンが扉を目指して1歩前に踏み出そうとした時、
ガシッ…!
シン「!!」
シンの腰部に、寝惚けきった馬が絡み付いてきた。
馬「逃がしまへんぇ…ダーリン……」
まだまだシンの苦難は続く。
シン「くっ、離せ、アホ女!」
馬「あぁ……今夜のナギさん……最初の頃みたいに何だか乱暴にゃむ…」
馬はかつてハヤテに絡み付いて離れなかった時のように、シンの腰にガッシリとしがみついている。
馬「んんー……ナギさんふぉーえばー…」
言動からしてかなり寝惚けているのは明白だ。
シン「フォーエバーのくせに間違える奴があるか!」
馬「んんー…なんかいつもと匂いが違うにょろ…」
馬はシンの腰に頭を擦り付け、くんかくんかと衣服の匂いを嗅いでいる。
シン「セリフも動きも、お前は蛇か!?」
生まれついての気位の高い性格のシンは女性に対して決して無体を働く事はしない。
それ故、無茶苦茶な寝惚け方をしている馬に対して、せいぜいツッコミを入れるだけに止まっている。
そもそも、引っ剥がしたくとも彼女の脆弱な身体を力業で押し退けるなんて事は、怪我でもさせそうで出来なかった。
馬「行かせませんよ、ナギにゃむ…」
ギュッ…
シンの腰を掴んで離さなかった馬の手がほんの少し緩んだかと思えば、すぐに交差して組まれ直し、まるで恋人同士の抱擁のように情熱的に、そして何処と無く切なさを含んだ抱き着き方に変わった。
シン「………………」
これには流石のシンも参った。
月明かりが微かに入るだけの暗い部屋で、(※黙っていれば)愛らしい少女に恋人のように抱き着かれ、
馬「お願いでふ、一緒に寝てください…」
口調はややおかしいが、『女』を匂わせる甘い囁きをされ、
ギシッ……
ベッドが近くて、
馬「へへッ、皆さんはまだ宴の最中みたいですし、もう少しだけ……ぐぅ……」
シン「………………」
船内には誰もいない…
今や誇り高き航海士の矜持は崩壊の危機に追い込まれていた。
(その2に続く、あとがきへ)
【あとがき】
どうなっちゃうのシンさん!?と、当時の文章を忘れている管理人もハラハラしながら推敲作業をしています!
そしてここで明かされたトワの苦労話……元気な短パン少年かと思いきや、海賊故の厳しい掟があったのですね。
風引かないでね、トワキュン!!
馬ときどき魔王2026年の管理人より。