逃走中~迫り来る彦星の魔の手~
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ここはシリウス号の医務室。
現在、ソウシと馬で座薬講習会、もとい組手の練習に励んだ後の雑談タイムを満喫している。
ソウシ「確かヤマトでは7月7日に七夕祭をするんだよね?」
馬「はい、そうですよ! 彦星扮する鬼が包丁を持って、『悪い子はいねぇが~』って各家庭を回るんです。」
ソウシ「…そうだったかな。」
馬「それで、悪い子=魔性の女織姫を見付けると拐って嫁にするという、究極の略奪ストーリーです!」
ソウシ「怖い話だね。」
聞かされた七夕祭の話が遥かに違っていると思うのだが、馬が必死に彦星の恐ろしさを語るものだから、ソウシも頷くしかなかった。
……………………………
馬「トワ君も可愛いから彦星には気を付けないとね。」
馬はシャハイ島で購入しておいた紙で作った特製七夕飾りを勝手に倉庫に飾っている。
トワ「何のことですか?」
馬「今日7月7日はね、ヤマトでは七夕祭って言ってね…」
馬はソウシに話した内容と同じストーリーをトワにも説明した。
トワ「彦星様ってすっごく怖いんですね…なんか僕の出身地の星物語と全く違います。」
馬「星物語?」
なんだそのロマンチックな響きは、と、馬は興味を持った。
トワ「一年に一度だけ天の姫と王子が天の川を経て出会えるお話ですよ。」
馬「一年に一度ってかなりの遠距離恋愛だね。」
トワ「そうですね。確か内容は、最初に二人が……その…仲良し過ぎて////仕事が疎かになっちゃったんです。」
馬「あらっまぁまぁまぁ!」
馬の反応は茶の間の奥さまのようだ。
トワ「怒った天の神様が二人を遠距離の位置に配置したんですよ。」
馬「まぁー!!女にかまけて上司に左遷されるって、やっぱり何処でも彦星様はダメ男設定なんだね。」
トワ「馬さん、身も蓋もないこと言いますね。」
馬「じゃあトワくん、私はこの後も七夕祭を普及してくるよ!」
馬が去った後に残された七夕飾りを見たトワ。
トワ「馬さんの知っている七夕祭って一体…」
七夕飾りとして、『悪霊退散』と書かれたお札や、なすびの紙飾り、何か得たいの知れない角の生えた人形等が壁に張り付けられていた。
……………………………
馬「シンさーん、お菓子くださーーい。」
シン「今日の仕事は終わったのか?」
馬「YES!!シンさんの部屋はピッカピカですよ!
ギブミーラムネ笛!!」
本日もシンの部屋を綺麗に片付けたので、通常儀礼のように馬はお菓子を催促した。
最近の彼女はラムネ笛がお気に入りである。
シン「……この奇妙な物体は何だ?」
急にシンは不機嫌になってしまった。
シンの部屋の片隅に勝手に飾られた馬特製の七夕飾りを見付けたからだ。
その不気味な創造物はシンの美意識に酷く反している。
そもそも、何故こんなものをここに置いたのか、シンの中で疑問を抱くことになってしまった。
馬「これは七夕飾りですよ。シンさんも美しいですからね、彦星様に狙われるかもしれませんよ!」
シン「は?全く意味が分からない。」
馬「えっとですね、」
トワと同様に順を追って七夕ストーリーをシンに説明する馬。
シン「誰が得するのかわからない迷信だな。」
馬「まぁ一応今日だけの魔除けだと思って。」
シン「いらん。」
飾りを返されてしまった。
目の前で捨てられなかっただけでもシンは優しい、馬はそう前向きに捉えることにした。
馬「しっかし、魔除けを置かないなんて、シンさん本当に大丈夫ですか?」
シン「フン、生憎だがオレはそういうのは信じない。」
馬「なるほど、シンさんが鬼みたいなもんだから良いのか!」
シン「………」
カチャッ、とシンに銃口を向けられた。
馬「ヒィィッ、やっぱり彦星様より怖いですって!」
……………………………
馬はナギの部屋に戻り、報酬のラムネ笛を味わっていた。
馬「あ!」
その内の一粒が手から滑り落ち、そのまま棚の方へと転がって行く。
コロコロコロ………
馬「あぁ、ラムネ笛~!待ちたまえ~!!」
コロン……
やっと転がる音が止まった。
馬「ラムネ笛ちゃ~ん、私が美味しくピューピューしてあげますからね〜、ホホホ♪」
馬が音のした方まで探しに行くと、棚の真正面にドーナツ型に穴の開いたラムネ笛が落ちていた。
馬「無事発見!!!今から45秒間ルールを適用します!!!」
部屋には誰もいないのに、馬は声を大にして宣誓をした。
45秒間ルールとは、物を落としても45秒間以内に食べたら汚くない、セーフ!という気休めのことである。
馬は軽く埃を手で払ってから、ラムネ笛を口に含む。
そしてラムネ笛の特徴でもある笛の音を鳴らすために吹いてみた。
スㇲーーー
馬「あれ…鳴らない。」
いつもならピーッという小高い音が鳴るのだが、空気の抜ける音しかしなかった。
本物のラムネ笛か確かめるために馬はガリッと噛んでみた。
すると、甘味よりも苦味の方が勝る味わいが口の中で広がった。
馬「……ん?いつもと味が違う?」
馬はちり紙にペッと吐き出すも、三分の一は飲み込んでしまったようだ。
馬「まさか…45秒を過ぎたから腐ったんじゃぁ…」
と、ありえない可能性を考えてみたりもした。
馬「そんなわけないか。まぁ、ナギさんの部屋にあるものだし、死にはしないよねー。本当のラムネ笛ちゃーーん…」
ソウシの部屋に落ちていたら劇薬の可能性があるのだが、そうではないから大丈夫だ。
馬は再び本物のラムネ笛の捜索を続けた。
偶然にもその日馬はソウシに自慢するためのヒゲ付きメガネを探して棚を整理していた。
その時にとある薬が棚下へと転がり落ちていたのだが、その時の馬は全く気が付いていなかった。
そして、これら一連の出来事が『彦星都市伝説』を引き起こすきっかけとなってしまうのだった…