モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(その8)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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ルイーズ「あぁ…私の目には以前試着なさった時よりも麗しく映っております……馬様はモルドーイチの艶やかな女神と話題になること間違いなしですわ。」
ルイーズは、ほぅ、と溜め息を吐きながら馬の花嫁姿を褒め称えた。
実際に、たった数日で馬の色香は抜群に増していた。
皮肉な事に、ナギの死を聞かされて絶望にうちひしがれた事がきっかけとなり、馬の表情から憂いと儚さが見え隠れし、その風情がなんとも言えない色気となって他者を惹き付けてしまっていた。
さらに数日の絶食が馬の肌を赤子のようにきめ細かい滑らかなものへと変え、体型もモデルさながらの華奢な体つきへと変貌させていた。
これ以上痩せてしまうとそうはいかなかったが、絶妙に統制の取れた凛とした立ち姿は、ドレスに着負けすることのない優美な佳人さながらだった。
馬「は、恥ずかしいー////」
馬はルイーズの言葉だけは素直に受け入れていた。
ルイーズとウマが合う分、彼女は本心から褒めてくれているように感じるのだ。
ルイーズ「もう、照れるお顔も大変美しゅうございます!
そんな馬様の花嫁姿を沢山写真に残すよう、後で写真係に言付けて参りますわ。」
馬「うぇっ!? そ、それは勘弁してください…」
写真という単語を聞いて、馬の脳裏にはヤマト胴着を着た爽やかなイケメン医師の顔が過っていた。
コンコン…
花嫁控え室の扉がノックされた。
ルイーズ「はい、どうぞ。」
豪華な花嫁衣装を身に纏っているせいであまり動けずにいる馬に代わってルイーズが応えた。
梅「よーぅ、馬ー!!……おぉっっ!!」
タケル「馬、大丈夫か!?………うゎっ!」
梅は豪快に、タケルは心配した様子で入室してきたのだが、2人とも馬の花嫁姿を見て驚愕していた。
まるで昨日のゲオルグ邸の訪問時のデジャヴ現象のような反応だが、今度は良い意味で驚く2人だった。
ルイーズ「私はジェイガン様と打ち合わせをして参りますね。
直にゲオルグ様がいらっしゃると思いますので、それまで皆様でお過ごしくださいませ。」
馬の親族の登場に、ルイーズは今回も気を利かせて退室した。
馬「ど、どうかな、ドレス姿……変なら今すぐ脱ぎ捨てるんだけど。」
気心の知れた2人を前にすると馬の自信の無さはより顕著に表れる。
梅もタケルも彼女の自尊心の低さを理解しているので特に気を遣う事もなく素直に感想を述べる。
梅「めちゃくちゃ綺麗だから絶対脱ぐなよ(笑)
かーっ、俺が後30程若かったら嫁にしてたのにな!残念だ!!」
梅はガハハと大笑いした。
タケル「お前って化粧映えするんだな……えーっとほら、あれだ、孫にも衣装って…孫には何着せても可愛い的な、そんなじーさん達の気持ちがわかるぞ、うん。」
馬「あれ?ちょっと待ってタケル君。」
梅「『まご』は馬と子で馬子(まご)だろ?」
馬「そうそう!だからじーさんは関係無いよ。」
タケル「あ?そうだっけ?」
梅「おめぇなー、ヤマト人じゃない俺に訂正されるってよっぽどだろ。」
梅は呆れ返り、
馬「タケルくんのオ・バ・カ・サ・ン♪」
馬はわざわざ腕を伸ばし、タケルの顎を指先で突いた。
綺麗に彩られた彼女の爪が皮膚に刺さって地味に痛い。
タケル「イテッ…な、なんだよ、ちょっと間違えただけじゃねぇか!////」