シャハイ島~蝶とファラオの花畑~(その6)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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広場から出て住宅街を抜け、さらに商店街に差し掛かった時によく知る人物が話し掛けてきた。
ソウシ「馬ちゃん!ナギとトワもいるね、3人でお出掛けかい?」
包帯や数々の薬草、薬品等の医療品を抱えたソウシだ。
彼も最後の買い出しに来ていたようだ。
馬「私はナギさんの護衛をやっております!」
馬はビシッと敬礼をしながら返事をした。
ソウシ「そうなんだ。皆はもう戻るところ?」
トワ「はい、ソウシ先生もですか?」
ソウシ「そう、同じく戻るところ。私もナギの護衛に混ぜてもらおうかな。」
馬「ぜひともお願いします!」
ナギ「…………」
こうしてソウシも加わり、4人でシリウス号まで戻ることになった。
これだけの人数で行動しているのだから、何か危機が迫って来ても大丈夫だろう。
やはり馬は心配しすぎだ…と、ナギは思っていた。
……………………………
商店街を通り抜け、港区画まで後少しというところで、今度はサラと出会った。
こちらは偶然ではなく、わざわざ馬に会うために待っていたようだ。
サラ「馬ちゃーん、こっちこっち!!」
馬「あれっ、サラさん?」
サラが馬へと手を振る。
彼女の手には何やら大きめの荷物が抱えられている。
サラ「ほら、船旅に必要そうな物を見繕っておいたの。あなた色々と抜けてて心配だから……」
と、微笑みながらサラは馬に荷物を手渡した。
受け取った荷物からは女性らしい良い香りがする。
馬「こんなに良いんですか? ありがとうございます!
あの、お金払いますね…」
慌ててサイフを出そうとする馬を、サラも慌てて制止する。
サラ「良いのよ!私のお古ばっかり入ってるから。 大急ぎであなた用に裾を直しておいたから後で確認しておいてちょうだいね。」
馬「サラさん……」
サラの優しさに心を打たれる馬。
ヤマトのバーで働いていた時も彼女には何度もこのように助けてもらった事を思い出す。
サラ「皆さん、馬ちゃんをよろしくお願いします。」
トワ「 あの、馬さんのお知り合いですか?」
ソウシ「初めまして。」
サラと初対面のトワとソウシが朗らかに自己紹介を交わす。
シリウス海賊団とバレるわけにはいかないので彼らは偽名を名乗っていた。
サラ「私はヤマトで馬ちゃんと同じ職場で働いていた…」
全員がサラに注目している時、彼らの背後から一人の女がこちらに向かって足早に近づいて来ていた。
女は高級そうなローブを羽織って顔を隠しており、さらには、かすれた声でブツブツと何かを囁いている。
馬『………!!』
ゾクッ…
馬の肌が粟立った。
昔、味わったことのある殺意や憎しみ…これら負の感情を一つに凝縮したような強烈な念を感じたからだ。
誰よりも早く馬が振り向くと、そこにはローブの女が居て…
馬「ナギさんっ!」
ナギ「!」
ソウシ「!」
先に馬が声を上げ、一寸遅れてナギとソウシも気配に気付く。
ローブの女は馬達の元まで来て、立ち止まる。
この人物の背格好を見て、馬とナギには思い当たる人物がいた。
ナギ「……お前は」
指摘され、女は頭に被っていたフードのローブをスッと下ろした。
女「ムッシュー、ご機嫌よう。」
初日の夜にナギに声を掛けてきた高級娼婦だった。
ニッコリと微笑む彼女は前に会った時と変わらず美しかったが、何処と無く生気が感じられない。
女「あの晩あなたのお友達がお見えになったのよ。
けれども、あの殿方のせいで、私、いきなりお仕事を辞めさせられてしまったわ……酷い話でしょう?」
淡々と語る女だが、彼女は無表情のままである。
ソウシ「………」
話の流れから予想して、この人物があの時リュウガが話していた病を患っている当人だとソウシは気が付いた。
女「……その後、医師に診ていただいたところ、何やら病に冒されていると。
そして治療には莫大なお金がかかると言われてしまいましたわ。」
女は静かにナギの方に向き直る。
女「…………ムッシュー、あなた懸賞首でしたのね。」
ナギと馬は身構える。
女「フフフ、私、お金は今までの貯蓄があるから心配していませんの。 それにこれだけの人がいてムッシューを捕まえようなんて思うほど馬鹿ではございません。」
次に馬の方を向いて、
女「……雑用係さん、あなたにプレゼントがあるの。受け取ってくださる?」
ゾクッ…
馬の鼻が血の匂いを感じ取る。
強烈な憎悪を身に浴びて戦慄が走るも、馬はある事に気が付いた。
自分よりも女の近くに立っているナギが危ない!
ずっと感じていた危険予知は今まさにこの時を告げていたのだ、と。
急ぎ女の前に飛び出す馬。
ナギ「馬っ!」
ソウシ「馬ちゃん!」
女は右手に小さなナイフを握っていた。
ひとり前に躍り出た馬の腹部を目掛けてナイフを切り払う。
切れ味の良いナイフは馬の衣服を簡単に切り裂いた。
馬「……っ」
すぐに女は左手に持っていた袋を馬に向かって投げつけた。
ビシャッッ!!
かけられた液体、それは生臭くて赤黒い……
ナギはすぐに女を取り抑えた。
女は全く抵抗をする気はないようだ。
馬の切り裂かれた服がパラリと捲れて腹部が露になっている。
そして、そこを目掛けてかけられた液体が彼女の体を汚していた。
ソウシは女の行動の意味をすぐに理解した。
ソウシ「馬ちゃんっっ!!すぐに水で洗い流すんだ!!!」
女「雑用係さん、あなたは苦労なんかしたこと無いのでしょう?
これからの人生、私と同じように苦痛と屈辱に満ちたものになれば素晴らしいですわね。」
女は上品に微笑んだ。