モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(その4)
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ゲオルグはなかなか子どもに恵まれなかったランバート家当主と、その愛妾との間に生まれた子どもだった。
彼の産みの母親は産後すぐに行方をくらませたという。
育児放棄をしたのか、はたまた正妻に追い出されたのか、それはゲオルグ自身も知らない。
とにかく、ゲオルグの養育は正妻が率先してする事になったのだが……表向きでは待望の長男だったが、やはり愛人の子というだけで、正妻からは疎ましい存在として扱われた。
ゲオルグが5歳になった年に、ついに正妻が妊娠し、次男のライアンが生まれた。
正妻から生まれた嫡男ということで、ライアンは周囲からとても可愛がられ、逆にゲオルグはますます厄介者として扱われた。
その時にはゲオルグも6歳になっていたので、自分の扱い方が弟とは違っている事に気付いていた。
ゲオルグ『自分は要らない存在なのかな?』
母(正妻)の汚らわしいモノを見るような視線に、日々疑問を抱きながら過ごしていた。
しかし、意外なところでゲオルグの味方が現れた。
「ゲオルグ様は天才です!」
「馬術も剣術も、同じ年頃の子どもと比べて群を抜いていらっしゃる!」
何分ゲオルグの成績がずば抜けて秀でていたため、家庭教師や初等学校の教師達は彼の才能を褒め称えてくれた。
彼らがいなければゲオルグの自尊心は育たなかっただろう。
そして、ゲオルグが成長していくに連れ、彼と弟の才能の差は開いていった。
「ランバート公爵の家督を継ぐのはやはり長男のゲオルグ様では?」
家を取り巻く者達の間で、そんな噂が流れ出した。
それを面白く思わないのはやはり母だった。
「ゲオルグ、貴方また新しい馬鞭を買ったそうね。
お父様のお金をそんな無駄なものに使わないで頂戴。」
ゲオルグ「……………」
「こんな事もわからないなんて、本当に優秀な成績を収めているのかしら。」
新しい馬鞭は馬術の授業で必要なものだったが、ゲオルグは言い返す事はしなかった。
言い返せば何倍も煩く罵られる事を、とっくの昔に理解している。
母親のヒステリックな言動は黙って聞き流すのが最善の策だった。
ランバート公爵「ゲオルグ、帝国軍に入ってみないか?」
そう父に提案されたのがゲオルグが10代半ばの時だった。
父親であるランバート公爵もゲオルグの才能を認めていた。
しかし、ゲオルグは妾が産んだ子ども。
正妻が彼に対してキツく当たっている事も知っていたが、過去に不貞を犯した公爵は、その後ろめたさから妻を窘める事はしなかった。
ランバート家の家督を全てライアンに継がせたいという妻。
身内での争いを避けたい公爵も、ライアンに家督を継がせる事には賛成していた。
しかし、妻とは違って、彼にはゲオルグに対しても愛情があった。
どうにかゲオルグの才能を世に出してやりたいとう親心から、帝国軍に推薦状を送る経緯となったのだ。
ただ、
ゲオルグ『父からも見捨てられてしまったか…』
親の心、子知らずとはよく言ったもので、ゲオルグは父親から厄介払いをされてしまったように感じていた。
ゲオルグ『母からも、父からも捨てられてしまった自分にはもう何も失うものはない。』
捨て身になったゲオルグはがむしゃらに戦場に赴き、戦績を上げていった。
さらに彼の生家の身分の高さも相まって、気が付けば『大将』の地位にまでのし上がっていた。
まだ30代のゲオルグが『大将』になったのは異例の出世としか言い様がなかったが、それに見合った実績が充分な程あったのだ。
世間から、才能に恵まれ、身分に恵まれ、職にも恵まれているように思われがちなゲオルグだが、彼の心はいつも虚無感に支配されていた。
しかし、そんな渇いた心を潤す存在がついに現れたのだ。
馬「シャツを返せと言われたら、私は非常に困りますよ?」
ゲオルグに呼ばれた馬は首を傾げながら彼の座る椅子まで近付いた。
ゲオルグ「いや、」
大き過ぎて有り余っている袖からチラリと見える彼女の指先が愛らしい。
それに、湯上がりのシットリとした彼女の黒髪も艶々しく美しい。
何よりもゲオルグを見る馬の瞳は硝子細工のようにキラキラと輝き、桃色に染まる上気した頬も堪らなくて……
ゲオルグ「可愛いらしい…な。」
思わず口に出してしまった。
馬「はひ?」
ゲオルグらしからぬ発言を聞き、馬は一気に警戒モードに突入する。
馬『どうしたどうしたゲオルグさん、いきなり何言ってんだ!?』
どんどん及び腰になっていく馬だが、
グイッ!
馬「うぇっっ!!」
ゲオルグに力強く手を引かれ、気が付けば息が苦しくなるくらいに抱き締められていた。