イディ島~ドキドキプロポーズ大作戦~(前編)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬「これがあれば遭難してもいつでも魚を捌けますよ♪」
馬はニコニコとしながら、切っ先が飛び出たままの指輪をナギの薬指に嵌めた。
馬「うん、これ以上ないくらい似合ってます!ヒュ〜ヒュ〜男前〜♪」
ナギ「……………」
ナギは呆れ果てている。
彼の頭の中では、『歴史的価値のある物を勝手に改造したら価値が無くなるんじゃねぇのか?』と、懸念するセリフがグルグルと回っているのだが、あまりにも呆れ果ててしまったせいで全く言葉が出てこない。
馬「フフフ、今日から『鎖鎌のナギ』改め『リングクローのナギ』にしたらどうですか?」
ナギ「…………………………………………アホか。」
リングクローのナギからやっと出てきた言葉は『アホか』この3文字だった。
馬と一緒にいると、無口なナギですらツッコミ役に回らなければならなくなる。
ナギは心底げんなりとしていた。
馬「え!もしかしてお気に召しませんでした!?」
反応の悪いナギに改めて尋ねてみるも、
ナギ「…………」
返って来たのは冷た過ぎる視線だった。
馬「えぇ〜、こんなに格好良い隠し武器でも不満があるんですか?」
ナギ「……………」
やはりナギは冷たい視線で馬を見つめるだけである。
馬「フフ、しかしですね、そんな欲張りなナギさんのために!
まだ仕掛けは用意してあるんです。」
自信満々に語る彼女の姿はやり手の販売員のようである。
ナギ「………はぁ?まだしょうもない仕掛けがあんのかよ…」
ナギは既にお腹一杯の状態だった。
馬「それでは、こちらの窪みをご覧ください!」
ナギ「…………」
ナギが確認してみると、指輪には以前は無かった謎の窪みが新しく出来ていた。
馬はその窪みに爪を引っ掻け、よいしょと何かを引っ張り出した。
馬「はい、このように細長い針を仕込んでみました!
しかもこれは只の針ではございません!
なんと…後で麻酔薬を塗る予定にしております!
そうすることによって素晴らしい麻酔針となり、いざって時に敵を眠らせるでしょう!
これで楽に暗殺できますね?ナギさん♪」
ナギ「……できますね?じゃねぇだろ、完全に無駄な機能だ。」
馬「え、これにも文句を付けますか!?
しかし、しかし、しかーし!!まだ機能はありますよ!
こちらはソウシさん案なのですが…」
馬は先程の窪みがあった面とは反対側の面を向けた。
そこにも似たような窪みがあり、馬はまたもや何かを引っ張り出してきた。
馬「はい、こちらは小さな隠しポケットになっております!」
ナギ「……………」
口には出さないが、彼の脳内では『また無駄な事を』と、冷ややかに考えていた。
馬「あのですね、ここのスペースにこっそり毒薬を仕込んでおけば暗殺道具として役立ちますよね?
あ、爆薬を潜ませておくのも良いかも! やはり暗殺時に役立ちそう♪」
ナギ「……アホ。」
馬「む!?お医者さんのソウシさんの案がアホなわけないでしょう!?」
ナギ「……料理人の俺が毒とか火薬とか、そんな物騒なモンが詰まった指輪を付けるわけねぇだろ。」
馬「あ!!」
ナギは腕利きの暗殺者ではなくて料理人だった……馬はこの大前提をすっかり忘れていた。