馬「………////」
少し前までは笑って流していたような話題だが、今の
馬にはそれは出来なかった。
もしも笑うことによってナギを傷付けてしまったら一大事だ、という認識はちゃんとしている。
しかし、
馬は男女の密な空気に緊張し過ぎてしまい、愛しい人の男性の象徴をどう扱うべきなのかわからなかった。
馬『……よし。』
悩み過ぎた結果、
馬は悩む事を止めた。
前向きに考えると、今はナギと2人きりで話せるチャンスでもある。
戸惑うだけで何もしないくらいなら、開き直って本能のままに行動してみよう、と、無駄にプラス思考の対応をすることに決めた。
馬「………ナギさん!」
名を呼ぶと同時に
馬はペロリと彼の首筋を舐めた。
ナギ「……っ…」
不意を突かれたナギの手が緩む。
少しだけナギから身体を離した
馬は上目遣いで見つめながら、
馬「あのですね、ソウシ師匠から教わった手品を今から披露しますね。」
ナギ「……は?」
突然の手品お披露目展開に驚くナギを置き去りにしたまま、
馬はベッドの下からロープ…とは言い難い荒い縄を取り出した。
ナギは出てきた荒縄を凝視しながら、
ナギ「……なんでそんなもんが出てくんだよ。」
と、至極真っ当な質問をした。
一般人の感覚からすれば自室に置いていたら引いてしまう代物である。
馬「はい、これはシンさんの部屋にあったもので、廃棄品らしいので貰っちゃいました!
手品に使うのにちょうど良いでしょう?」
ナギ「……いや、」
手品で使うよりも捕虜を拘束しておく方がしっくり来るじゃねぇか、と、ナギはツッコミを入れたくなったが、
馬は勝手に話を進めていく。
馬「それでは参ります!!」
馬はソウシ直伝の手品とやらを披露するために一呼吸おいて、気合いを入れた。
馬「何の変哲もないロープですが……」
言うや否や、シュルンッと物凄い早業で、ナギの手首に荒縄(※
馬で言うロープ)が巻き付けられ、

ナギ「……!」
馬「そしてこの余った先を……ここに!」
ギュッ!!
ベッドの木枠に荒縄の端を固定した。
ナギ「…………で?」
ナギは縛られたことによって、ベッド上に座ったまま、手を動かせなくなってしまった。
馬「はい!力の強いナギさんでも抵抗出来なくさせちゃう手品です♪」
ナギ「…………」
馬「フフフ♪」
馬の笑みからナギは嫌な予感を感じ取っていた。
……………………………
ザッザッザッ…………
ソウシ「ちょっとシン、何故付いてくるんだ?
船長達と一緒に遺跡の探索に行ったらどう?」
現在、足早にシリウス号に向かっているソウシの後をシンが追っている……という状況だ。
シン「遺跡は小さかったから船長とハヤテで充分です。」
ソウシ「だったらトワの手伝いをしたら?」
シン「……アイツもそろそろ1人で火起こしくらいは出来て貰わないと困りますね。」
ザッザッザッ…
ソウシ「もしかして、私の邪魔をしたいとか?」
シン「えぇ。」
ソウシ「……どうして?」
シン「ナギと
馬の邪魔をさせないためです。」
ソウシ「……ふぅん。」
シン「ナギと
馬の関係はもどかし過ぎる。
アイツらは交わりでもしない限りずっと今のままな気がします。」
ソウシ「まぁ、一理あると思うけど……
馬ちゃんの気持ちはどうなる?
身体からの関係ってちょっと可哀想じゃない?」
シン「……逆に身体の繋がりがあった方が、アイツもナギの所有物だと自覚するんじゃないですか?」
ソウシ「シンって意外と男性的な考え方をするんだね。」
ザッザッザッ…
こんな恋愛論を繰り広げながらも、2人の足はシリウス号に向けて着実に進められていた。