シン「お前はつくづく変わってるやつだと思っていたが、人間じゃ無かったとはな…」
シンは、人魚の姿になった
馬を見た感想を素直に述べたのだが、対する
馬は本日2度目の『変人』扱いに、少々気落ちする。
馬「………」
喋れない代わりに悲しそうな瞳でシンを見つめるその仕草から、彼は、しまった、と自分の失態に気付いた。
そして、
シン「すまない、余計なことを言った。」
また
馬にキツい言葉を浴びせてしまったことを詫びた。
馬『げっっ、シンさんが謝ってる……新手のドッキリなのかな?』
まぁ、当の本人は全く気にしていなかったのだが。
ソウシ「ナギ、大丈夫かい?
それに………
馬ちゃん…だよね?
君も水を飲んだりしていないかい?」
馬はソウシの優しい声に反応し、彼の方を見た。
ところが……
馬「!!!!!」

ソウシ「君が無事に見付かって良かったよ。」
親指を立てて爽やかに微笑むソウシは、誰がどう見てもまごうことなきフンドシを着用していた。
ソウシは溺れるナギを助けようと急いで衣服を脱ぎ捨て、そのままの状態で2人の元に駆け寄ったのだが…
馬「………っっ……!!………っ!…………カハッッ……」
フンドシソウシの強烈な笑いのパンチを喰らった
馬は笑ってしまった。
しかし、案の定、声が出ずにグッと喉の奥で詰まっている。
ソウシ・ナギ・シン「…!」
観察眼の鋭い3人はすぐに
馬の異変に気が付いた。
ソウシ「もしかして
馬ちゃんは………フンドシに興味があるのかい?」
生憎、この場には真面目にツッコミを入れてくれるトワやハヤテがいなかった。
シン「喋れないのか?」
ソウシの質問は無かった事にされ、シンが正しい質問を
馬に投げ掛けた。
馬「………」
問われた
馬は不安げに頷いた。
……………………………
シリウス号のシャワールームにて。
滅多に使用しないシャワールームの浴槽に水が張られ、その中に
馬が入れられている。
そんな捕獲?された
馬の様子を窺いに、リュウガがシャワールームまで足を運んで来ていた。
リュウガ「
馬、ちょっと見ない間に色っぽくなったもんだな…
よし、これなら俺の範囲内だ!」
人魚姿の彼女に見惚れたリュウガはついつい下心ありきの本音を漏らす。
馬『本当ですか、船長?
ついに色気の方が私に追いついて来ましたか!
くぅぅ、嬉しい!』
リュウガの言葉を真に受け、話せない代わりに、弛みきった顔で
馬は露骨に喜んでいる。
しかし、監視員のナギが
馬に釘を刺してきた。
ナギ「……
馬、いちいち喜ぶな。
船長の悪い冗談だ。」
それは少々イラついた声音だった。
馬『………ですよね。』
ナギの言葉を受けて
馬は明らかに気落ちして肩を落としてしまった。
ナギ「………あ、いや………その…………悪ぃ。」
先刻のシンと同様、気落ちした
馬を見て、ナギは自身の厳しい言い回しを反省した。
馬『何でナギさんは謝ってるんだろう?』
謝られた意味がわからない
馬は、 何故? とナギの顔を覗き込んだ。
ナギ「………っ、」
しかし、彼と視線がかち合った瞬間、思いきり顔を逸らされてしまった。
馬「……………」
リュウガ「何だナギ、照れてんのか?」
ナギの『らしくない様子』を見たリュウガはニヤリと笑いながらからかった。
リュウガ「…というわけで、
馬。
お前が船を降りる必要は無いし、トワも今まで通りだ。
だから安心してシリウスに残れ、良いな?」
リュウガは真面目に今までの経緯と決定事項を伝えた。
後は
馬が、わかった、と頷けば丸く収まるのだが、なかなか頷こうとしない。
リュウガ「……
馬?」
想像とは違う
馬の反応を訝み、リュウガは再度呼び掛けた。
馬「……………」
それでも
馬は伏し目がちに黙り込んでしまった。