シャハイ島~蝶とファラオの花畑~(その3)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬は通称『アッパレ広場』のベンチでウトウトと微睡んでいた。
ナギ「……馬、起きろ。」
馬「へ?へいっっっっ、ただいま!!」
ルームメイトとして絶対の権力を誇るナギの声がしたので、すぐに起き上がる馬。
彼女の寝起きは非常に良い。
ナギ「……何してた?」
馬「何って…えーっと…野宿を少々…」
ナギ「あの店員の家に泊まるんじゃねぇのか?」
馬「えっと、頑張れ!って言われて今日は無しになりました。」
ナギ「だったら元から取ってるホテルに戻れ。」
馬「ワタシ、ホテル、トテマセーン!」
ナギ「……………」
本日も変わりなく何度もナギに言葉を失わせている。
しかし、この時の絶句しているナギの顔はMAXで呆れ返っている時のものだと窺える。
ナギ「はぁ……」
ナギはこれでもかと大きなため息を吐いた。
そして、
ナギ「……………………………俺の部屋か。」
『本当の本当の本当に仕方なく』というニュアンスが含まれている言葉を嫌そうに呟いた。
そんな彼の返事を聞く前に、馬はマイペースに泥の付いた手を洗いに行く。
馬『広場に備え付けの井戸があって良かったー。』
ナギの心労は露知らず、彼女は呑気なことを考えながら井戸水で手を洗う。
馬は水洗いでキレイになった手をふりふり、自然乾燥に努めながらベンチに戻ってきた。
馬「それではまた明日も会えたらお会いしましょう、お休みなさい。」
ベンチまで戻り、再び横になろうとする馬をナギは慌てて止めた。
ナギ「寝るな。 俺の部屋に行くぞ。」
馬「それは素晴らしいですね…むにゃむにゃ…」
ナギは話を全く聞いていない馬を無理矢理立たせた。
ナギ「……ほら、ホテル側に聞いてやるから。起きろ。」
馬「むにゃ…むにゃ…………ナギさんの部屋………ホテル?」
ほぼ夢の中でナギの言葉を把握した馬は目を見開いた。
馬「ほ、ほ、本当ですか!!!!!」
ナギ「あぁ、だから早く行くぞ。俺は明日早い。」
馬「あ、早番でしたっけ?わかりました、すぐ用意します!」
馬は急いで荷物をまとめた。
道中、話好きの馬も疲れているのか、珍しく口数が少なかった。
ナギ「…………俺のバンダナ、」
こちらも珍しくナギの方から話題を持ち出す。
馬「はい、ちゃんと元の場所にありますよ。私のささやかな胸で直接支え、」
ナギ「やめろ、返せ。」
ナギは間髪入れずに返還要求を申し入れる。
ナギ「……いつの間に持ってたんだよ。」
馬「出発の時ですね。 島でナギさんに会えなくなるのは辛すぎるので、せめて香りだけでもと拝借しました。」
ナギ「…………」
黙って聞いていたナギだが、彼女の言い分に既に呆れている。
馬「寂しくなった時に匂いを嗅ぐと…なんと!私の頭に素敵なナギさんが現れるのです!!」
それでも馬は聞いた本人が恥ずかしくなるような事を平気で言ってのけ、これを実際に聞いていたナギは案の定気恥ずかしくなった。
普通は自分の匂いがどうとか言われると不快に感じるものだが、今のナギは照れと少々の喜びの感情の方が勝っている。
ナギ「……………」
ナギはその感情を言葉で示せない代わりに、馬の手を握って表現した。
馬「!!!!!!!!」
ナギからの突然の行動に馬は仰天した。
他のシリウスメンバーの視線がないせいか、この日のナギは馬への気持ちに正直になっているのだ。
……………………………
馬にとって驚愕のサプライズばかり起こった『アッパレ広場』からホテルまでの道中…当の本人は、眠気が7割、緊張と恥ずかしさが2割、後の1割はしょうもない事を考えていた。
馬『ホテルまでの出来事は…正直あんまり覚えていないや…』
……ザァァァ……
現在、馬はナギに案内され、ホテル内のシャワーを利用している最中である。
馬『あ!ナギさんと手を繋いだ時、手が大きくて、ゴツゴツしてて、ラーメンのスープに入れたら良い出汁が出そうだな…って思ったのは覚えてる! 』
… ザァァァァ………
馬「…うぅっ……ナギさんが折角手を握ってくれたのに、ラーメンの事しか覚えてないなんて…一生の不覚………エグッ…」
馬はシャワーの水と共に自身の涙も一緒に流した。
思わず泣いてしまうほどに自分の考えの浅はかさを悔いていた。
馬『それよりも早くナギさんにシャワー室を明け渡さないと… 』
身体を洗う手をさらに早めた。
……………………………
現在の馬は脱衣室で身体をタオルドライしている。
身体を素早く拭きながら、
馬『ナギさんの、先にシャワー浴びてこいってセリフ、最高だったな…悪い大人が言いそうなセリフだけど、イケメンが言えばあんなにイケてるのね…』
と、これまたどうでも良いことを思い返しては締まりの無い笑みを浮かべていた。