シャハイ島~蝶とファラオの花畑~(その2)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬は石で穴を掘ったせいで手は泥に塗れている。
よくよく見ると顔にまでその形跡が飛んでしまっていた。
ナギ「馬、来い。」
見兼ねたナギが手招きをしたら馬は軽やかな足取りで戻って来た。
ひらひらひら…
今は泥が付いて少し茶色くなってしまったが、やはりこのドレスを着ている馬はチョウのように可憐だった。
馬「何ですか、ナギさん♪」
呼ばれただけでどうしてこんなに嬉しそうにするのか、 どうしてこんなに自分に懐いてくれるのか、一度聞いてみたい衝動に駆られる。
ナギ「顔にまで泥が付いてる。」
長身のナギとは身長差がある。
そのためナギは馬の顎に手を添えて自身の方を向かせた。
そして、ナギの手によって彼女の顔に付いた汚れを拭ってやる。
馬「て、手が汚れちゃいますよ!?」
馬はナギの行動に驚愕し、慌てて彼から離れようとした…が、彼女の力はナギからしたら全くの非力で、何の妨げにもなっていない。
馬「ちょっとナギさん!!」
まだ口うるさく抵抗しようとする馬を黙らせるため、ナギは彼女の身体を抱き寄せた。
馬「あゎゎゎゎ……殿、お戯れはお止めください…」
ナギ「……………」
尚も口を開こうとする馬の顔を、ナギは見つめることによって動きを止めた。
段々と馬の頬が朱色に染まっていき、ついには目を反らされてしまった。
馬「…イケメンナギさんに見られ続けたら……私…悶絶死してしまいますって……」
ナギ「……………」
言葉も途切れ途切れな馬はよっぽど恥ずかしいのだろう。
それでもナギは喋ってはやらなかった。
馬「……うぅ…」
馬の動きを止めるにはやはりコレに限る、ナギは段々と彼女の扱いをわかってきているのだ。
馬「…………離して。」
ナギ「……ダメだ。」
馬の声はかすれて微かに震えていた。 そんな彼女の懇願もナギはあっさりと却下する。
馬「…………」
何を言っても無駄だと悟った馬は、不安そうな顔でナギを見つめた。
黒目がちな大きな瞳がどんどん涙目に変わっていく様が、ナギの嗜虐心をさらに駆り立てる。
ナギ『…………まずいな。』
馬を少しだけ静かにさせるつもりが、いつの間にかナギの方がその気になって来ている。
ミイラ取りがミイラになってしまったようだ。
(馬視点)
ナギさんはさっきから何も話してくれない。
そんな状況が大の苦手なのに、今は抱き締められてまでいる。
さっき土をいじっていた自分の手は泥だらけで汚れているのに、こんな手でナギさんのタキシードを汚してはいけない。
その思いのせいでまともな抵抗も出来ない…本当に恥ずかし過ぎるから止めてほしい。
抱き締められる時間が長すぎて、頭はとっくにパニックを起こしており、一言も言葉が出てこない。
馬「…………離して。」
ようやく絞り出した声はかすれていて、自分でも何を言ってるのかわからないような声だった。
ナギ「……ダメだ。」
なんでこんなに意地悪をするのだろう… 私は何か彼を怒らすようなことをしたのだろうか。
馬「…………」
ナギさんの顔をそーっと確認する。
ジッと私のことを怖い顔で見ている。
やっぱり何も言ってくれないや… 私も黙って彼を見つめ返すしかない。
ナギさんの鳶色の目はとてもキレイ…それにもうあの蝶はいなくなっている。
良かった……けど……あぁ、恥ずかしくて死にそうだ… ナギさんは今怒っている。
なのに、その顔はとても精悍で美しい…
ナギ「………」
ナギさんは無言で私から離れた。
ようやく抱擁から解放され、ホッとしたのも束の間、そのままベンチまで腕を引かれる。
ナギさんは先にベンチに座り、
ナギ「……来い。」
と、静かに命令した。
馬「……?」
また座って休憩するのだろうか。
不思議に思いつつ、彼の隣に座ろうとするも、
ナギ「………そっちじゃない。」
と、再度腕を引かれた。
馬『じゃあ地面かな…』
戸惑っていると、ナギさんが告げる。
ナギ「………上に来い。」
……え!? 意味がわかって、一気に顔が熱くなるのが自分でもわかった。
馬「あ、あの…」
ナギ「お前、船では自分で乗ってくるだろ。」
私は腕をナギさんの方に引き寄せられ、自分の意思ではないままにベンチに座るナギさんの膝の上に乗せられた。
船では乗ると言われても、乗ってる場所は彼のお腹や背中の上だし、今みたいに対面でも無ければこんなに密着したりはしない。
完全にナギさんの言い掛かりだ。
馬「……無茶な命令、やめて…ください…」
泣きそうになるのを堪え、必死に許しを乞うた。
ナギ「………煽んなって。」
私のお願いはナギさんには逆効果だったみたいで、そのまま彼は左手で私の頭を押さえ込んだ。
必死に彼の服を汚さないよう、手で触れない事に意識する。
そんな感じで抵抗が出来ないものだから、ナギさんの左肩に私の頭は簡単に乗っかってしまう。
何が起こっているのか自分でも全く理解出来ない。
どうしよう、未知なる出来事に恐怖を感じる…
ジィィィ……
何か音が聴こえたが、まさかそれが自分のドレスのファスナーの音だとは夢にも思わなかった。