シャハイ島~蝶とファラオの花畑~(その2)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬の向かった方向は昼に行ったセレブ街ではなくて、普通の住宅街のようだった。
幾つかの街灯しか明かりが付いていない。
自分達のいた歓楽街の方角から微かに音が聴こえてくる以外は、辺り一帯が静寂に包まれている。
もう住民達は寝ているのだろう、どこかしこの家も皆カーテンを閉め切り、明かりが漏れてくる事もなく真っ暗だった。
そんな中、馬はより走りやすくするためにヒールを手に持ち、裸足で走っていた。
馬『ハァハアハァ…まさか!…うぅ、認めたくない…自分が迷ったなんて…』
張り切って大胆な迷子になるくせに、見知らぬ場所で一人になると急に心細くなるのが迷子クイーンの一連の流れである。
馬『み、認めない、私は迷子じゃない…認めるもんか、迷子になんかなって……あ!』
幸いなことに、町内掲示板と思しきものにこの辺り一帯の地図が掲示されていたので、必死になって地図を眺める。
馬『なるほど……なるほど。よし!!わかんない!!!現在地を示してよ〜。』
現在地が記されて居なかったため、地図を見てもよくわからなかった。
諦めて違う道を探すか、と思った矢先、掲示板に貼られたとある要項を見つけた。
じーーっとそれを睨み、読み砕く馬。
その頃…
ナギ『…あの方向音痴は何処に行った?』
馬を追いかけたものの、あっという間に見失ってしまった。
途中、彼女の姿を見つけて、もう少しで追い付きそうになったのだが、まさか靴を脱ぎ去りそのまま裸足で全力疾走されるとは思わなかった。
そして、馬の逃げ足の速さも想定外だった。
裸足で走り去る馬はそこらの男よりも速いかもしれない…ナギは仕方なくタキシード姿で走ることにした。
走っている最中、ナギはなぜ自分はこんなことをしているのかと虚しくなったが、馬が迷子になってしまう方が後味が悪い。
渋々捜索を続ける。
すると、
ナギ『…あんなとこに居やがる。』
掲示板を見ている馬を発見した。
馬「さぁ、行きますか!」
掲示板の要項を見終わり、大体のことは把握した馬。
彼女が再び走り出そうとした時、暗がりの中から走る足音が聞こえた。
タッタッタッタッタッ…
馬『夜間の……痴漢!?』
人通りの少ない場所には気を付けてね…咄嗟にソウシの言葉が脳裏を過る。
馬は急ぎ走り出した。
痴漢(仮)と馬の繰り広げるデッドヒート。 両者一歩も引かずに平行線を描いている!!!
しかし、勝負は一瞬で決まってしまう。
馬「あ!!」
ベシャッ!!バナナの皮を踏んでしまったのだ。
馬選手はバナナの皮を踏み、転倒してしまった。
敗因:バナナの皮
背後から近付く足音…痴漢(仮)はすぐそばまで来ている。
馬「…ハァハアハァ……ハァハアハァ…」
全速力で走った事による息切れのせいで叫ぶことも無ままならない。
むしろ今の息遣いだと自分の方が痴漢、否、痴女として疑われるかも知れない…ならば、座薬講習会の技を披露するして相手を怯ませるしかない!
馬は覚悟を決め、バッと背後を振り向いた。
ナギ「……………」
そこには少し汗をかいているナギがいた。
サラの店舗と高級レストランに続き、短時間で起こった3度目のナギサプライズである。
馬『こうして何度も会えるサプライズは嬉し過ぎるんだけど…』
馬は心のなかでは感極まっている。
馬「ハァ……ハァ……」
しかし、馬は汗だくになっている上にまだ息も切れている。
馬『まずは息を整えないと!』
喜びたいのに何もアクションを起こせずにいると、
ナギ「………正装用の靴は走りずれぇのな。」
と、ナギの方から声を掛けてきた。
馬「……ハァハァ……私なんて………脱いじゃってます……からね。」
一息ついて何とか話すことが出来た。
ナギ「………今は抱きついてこねぇのかよ。」
ナギなりの冗談なのだろう、ニッと笑いながら馬に聞く。
馬「……ハァハァ……頭と身体が追い付いてません………」
ナギ「……それは残念だ。」
まだ彼は笑っている。
馬「………はい、落ち着いたら沢山張り付きます……あと、痴漢(仮)がナギさんで良かったです。」
ナギ「………アホ。」
普段は無表情か怒り顔しか見せてくれないナギだが、今の会話は最後まで笑って話してくれた。
そのことが嬉しくて馬の顔も自然と笑顔になった。
馬はゆっくりと立ち上がる。
やりたくもない鬼ごっこを続けた結果、住宅街の奥の広場にまで来てしまった馬とナギ。
完全に息の整った馬にナギは改めて尋ねた。
ナギ「……………大丈夫か?」
馬「はい、復活しました!」
ニッコリ微笑む馬を見て、ナギも安心する。