おにいちゃんといっしょ~プチタイムスリップ~
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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ナギ「………!!」
馬「……!!」
ナギとチビ馬、同時に衝撃が走った。
おばちゃんに渡された作りたての玉子焼きを食べたのだが、これが今まで食べたことのない美味しさだった。
馬「ふわふわで中からおいしいの出てくるね。」
ナギ「…………あぁ。」
料理人ナギからすれば、本当に『衝撃』の一言だった。
ナギの知る、卵だけで作る料理で一般的なものはオムレツだ。
オムレツなら自分でも上手く作る事が出来るが、この『玉子焼き』は一体どうやって作るのだろうか。
オムレツとはまた違ったふわふわとした食感、中から出てくる水分にはあっさりとした味付けがされていてくどくない…
オムレツには生クリームやチーズ等の乳製品を隠し味に使うが、この『玉子焼き』にはそんな雰囲気が微塵も感じられない…
塩と、ヤマト調味料の味噌か?醤油か? この水分は一体………
馬「……おにいちゃん?」
ナギが『玉子焼き』について深く考察していると、心配したチビ馬が声を掛けてきた。
ナギ「……あ?あぁ…」
馬「…美味しく無かった?」
ナギ「……いや、美味し過ぎて言葉が出てこなった。」
フッと笑うナギを見て、
馬『おにいちゃんはこの料理が大好きみたい…』
と、チビ馬は察していた。
馬「…………」
チビ馬は玉子焼きをもう一度に口に入れた時、この味を覚えておこうと、じっくりと味わって食べた。
……………………………
馬「……お腹いっぱい、残してごめんなさい。」
ちゃんと一通り食べてからチビ馬はナギに告げた。
ナギ「……あぁ、残りは俺が食べる。」
普段からあまり食べていないチビ馬は胃が小さいのだろう。
ナギは無駄強いはさせずに、残った料理をそのまま引き受けた。
ナギ「………」
ナギはおばちゃんの料理を食べながら、再びヤマト料理の考察をしていた。
ヤマトのおかずとやらはフレンチに似ている気がする。
素材の味や見た目を重視する傾向にあり、無駄に調味料を入れないのが特徴のようだ。
それにしてもあの『玉子焼き』は抜群に美味だった。
何気無い主婦に見えた『おばちゃん』だったが、実は名うての料理人だったのではないか…
いつもソウシにヤマト風『玉子焼き』を所望されると、塩と醤油だけで作っていたが、あの水分を再現すると彼もさらに喜ぶかもしれない… 等、様々な事を考えていた。
ふと、チビ馬の方を見ると視線がぶつかった。
ナギ「……どうした?」
馬「やっぱりヤマモモ、1つもらって良い?」
ナギ「……あぁ。」
頼まれた通りに1つ渡してやった。
馬「……ありがと。」
共に食事をする度にチビ馬との距離が縮まっている気がする。
2人でベンチに座っていると、
馬「おにいちゃんはどこから来たの?」
と、チビ馬の方から尋ねてきた。
ナギ「……海…としか言えねぇな。」
馬「海?」
ナギ「……あぁ、俺は船乗りだからな。元に戻れたなら海にいるんじゃねぇか?」
馬「元に戻る……?
あの、またおにいちゃんに会いたくなったら海に行けば会えるの?」
ナギ「………さぁな。」
元に戻れるかは自分でも分からない。
戻ったとしても次から次に島を渡るからこの小さな馬とは二度と会えないかもしれない。
また会えるなんて不確かな事はナギの口からは言えなかった。
馬「……………」
何も喋らなくなったチビ馬はギュッとナギの腕にしがみついてきた。
ナギが彼女の顔をチラリと見ると、そのガラス玉のような瞳にうっすらと涙を浮かべている。
健気に泣くのをこらえているようだ。
不憫な環境にいるチビ馬はナギと離れてしまうと再び独りになってしまう。
それを想像して辛くなったのだろう。
ナギ「………なぁ。」
馬「……?」
ナギ「……俺と行くか?」
馬「………え…」
ナギ「……自分の家を捨てて俺と海に行くか?」
馬「……おにいちゃんといっしょに…?」
ナギ「……あぁ、お前が望むなら連れていってやる。」
馬「……………」
彼女なりに真剣に考えているようだ。
家族のこと、今いる環境のこと、今日出会ったナギのこと、一緒に遊んだこと、食事をしたこと、抱っこしてもらったこと……
小さな頭でたくさんの事を思い出しながら考えている。