ほぼ無人島~脱出SOS!~(その6)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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ナギは急いで馬を抱き起こしてやるが、
馬「………………」
目を開ける気力も無いのか、じっとしたまま動かない。
そんな彼女の身体は酷く熱くてナギは困惑した。
梅「………どうした?」
2人のただならぬ様子に気付いた梅がやって来た。
梅「馬、大丈夫かー?」
グッタリとしている馬に話しかけながら、彼女の熱の具合を調べ、脈を取り、口を開けさせて喉を見た。
最後に胸元を開けさせ、聴診器が無いので直接耳を当てて音を聞いている。
梅「ちょっとまずいな、肺炎かもしれん。」
ナギ「…!」
その時……
パァァァンッッ!!!
海の方から発砲音が聞こえた。
ナギにも覚えのあるこの音は……
ナギ「救援か……」
梅「おぉ!!馬、良かったな。助けが来たらしいぞ!
ほら婿殿、これを使え。」
梅は胸ポケットから発煙筒を取り出してナギに手渡した。
ナギが発煙筒を使うと……
パァァァンッッ!!
先程と同じ発砲音が返ってきた。
シリウス号では、遭難者からの合図を確認出来た時、2度目の音を鳴らすという決まりがある。
梅「馬には俺より婿殿が付き添ってる方が良いだろう。 ちょっと仕事してくらぁ。」
そう言って梅は大きめのサバイバルナイフを取り出し、熊の亡骸へと近付いていった。
ナギ「……馬、シリウスの奴らがそこまで来てる。ドクターに診てもらえば大丈夫だから…」
馬「…………………」
励ますためにナギが声を掛けたが、未だ馬の意識は混濁しており、返事は無かった。
辛うじて息はしているものの、かなり浅くて今にも途切れてしまいそうなくらい弱々しい。
ナギはただ彼女の手を握るしか出来なかった。
梅「あったあった。」
梅は熊の亡骸を解体している最中に、自身の探し物を見付けていた。
すぐに熊の血に塗れたそれを波打ち際まで持って行き、海水で洗う。
梅「これは俺が渡せる最後の嫁入り道具だ!」
意識の無い馬に代わってナギが受け取った。
それは豪華な装飾が施されたネックレスだった。
複雑な形をした家紋のようなものも刻まれている。
ナギ「…これは?」
梅「ヴァイカート家に伝わる首飾りだ。
俺には実子がいないからな、馬が嫁ぐ時にこれをやるつもりだったんだ。
しっかし、娘にやる前に熊に食われちまうとはなぁ、ガハハ!」
ナギ「…………」
梅「ガキだった馬が知らねぇ間にこんなに綺麗になっちまって…って、今は死にかけてるけどな(笑)」
ぐったりとする馬を見やる梅。
そんな彼の目は父性愛に満ちた優しい目をしていた。
梅「昔からコイツは我慢ばっかりする性格だからよ、婿殿も察してやってくれな。」
ナギ「……わかりました。」
梅はナギの言葉を聞いて安心したらしく、
梅「記念に熊肉を持って行くか?」
再び熊の解体作業へと戻っていった。
……………………………
リュウガ「おーい、ナギ!馬ー!」
救援用小型ボートにリュウガ、ソウシ、ハヤテの3人が乗って島まで上陸して来た。
シンは船の舵取りを、トワはボートの引き上げ役をするために、シリウス号に残っている。
ハヤテ「ナギ兄と馬ー!!って、大丈夫かよ!?」
ソウシ「馬ちゃんっっっ!!!」
誰の目から見ても馬の様子がおかしいと窺える中、特に医師であるソウシは一目見て重篤だと判断し、駆け寄ってきた。
ソウシ「私の声が聞こえるかい?」
馬「…………ソウシ……さん…?……」
ソウシ「うん、良く頑張ったね。」
この時のソウシの顔と声音は、馬が生存していた事に対する安堵と労いの意もあって、慈愛に溢れた非常に優しいものだった。
そんな彼を見て、
馬『…あぁ…天国にはソウシさんに似た天使がいるんだなぁ……』
と、馬は自分の死を錯覚していた。
馬『……でも、ナギさんそっくりな魔王がいるんだったら地獄でも良いけど……な……』
同時に、ナギに怒られてしまいそうな事を考えながら完全に意識を手放した。
ソウシ「ハヤテ!すぐに馬ちゃんをシリウス号まで運ぶんだ!!」
ハヤテ「わかった!」
ハヤテはナギから馬を受け取り、抱き上げた。
ハヤテ『……軽っっ!熱っっっ!!』
ハヤテは馬の体重の軽さにショックを受けたすぐ後に、体温の高さにも気付いた。
これは一刻を争う事態だとハヤテは慎重かつ迅速に馬を運ぶ。
ソウシ「ナギは余裕がありそうだね。 悪いけど先に戻って馬ちゃんを診るよ。」
ナギ「……ドクター、馬を助けてやってください。」
ナギは、珍しく悲痛な表情でソウシに懇願した。
ソウシ「うん、任せて。」
ソウシはナギに言い渡し、急いでハヤテが待つボートに乗り込んだ。