ほぼ無人島~脱出SOS!~(その3)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬は、鬱々とするに至った理由をナギに伝えてみることにした。
今の彼ならば、前にリュウガに話した時のように信じて貰えそうだ。
馬「ナギさん!唐突ですが、例の漁村時代の話をしても良いですか?」
ナギ「…………」
ナギは何も答えずに馬を見つめるだけだが、これは話しても良いという態度である。
馬「私が住んでいた漁村は、とにかくど田舎にあって、男は漁師、女もしくは夫婦は巣潜りで魚介類を獲って生計を立てるのが基本です。
私と弟は元は違う場所から流れついた他所者でして、村の特別な身分のお婆さんに拾ってもらったんです。」
ナギ「……………」
ナギは黙って聞いている。
馬「お婆さんは村の巫女さんで、所謂、霊媒師みたいな役目を負った人でした。
そのお婆さんのおかげで私達姉弟は巣潜りの仕事をさせてもらえるようになったんです。」
ふぅ、と息を吐いてから馬は話を続ける。
馬「数年はその仕事を、弟と協力しながらこなしてました。
大変だったけど辞めたいって程では無かったです。 けど…」
馬は無意識にナギの腕を掴んだ。
対するナギは嫌がる素振りは微塵も見せずに、逆に脇を少し開いて掴みやすいように配慮した。
馬「何歳の時だったかな……忘れちゃいましたが、ある日『トモカヅキ』を見たんです。」
ナギ「……何だそれ?」
『トモカヅキ』全く聞いた事のない単語である。
ナギは単語の意味を尋ねた。
馬「村に伝わる海の怪物です。
巣潜りをしている時に、気付けばもう1人巣潜り仲間が増えてるんです。
その人がそっと魚貝を差し出してくれるけど…その差し出された魚貝を受け取るとアウト、海に引きずり込まれるっていう。
よくある田舎の言い伝えですね。」
ナギ「……………」
馬「けど、私が見た『トモカヅキ』は言い伝えとは少し違ってたんですよね。」
ナギを掴む馬の腕に力が入る。
馬「最初は水面に揺れる海草だと思ったんですが、違っていて……ヤマト女性特有の真っ黒な髪の毛でした。
服装は…巣潜りをする女性の格好じゃなくて、真っ白なローブみたいなもので…うぅぅ……」
当時見たモノを思い出そうした馬は、恐怖まで蘇ってしまい、身震いした。
ナギに申し訳ないと思いつつ、馬は彼の腕にさらに身を寄せた。
ナギ「……無理して話さなくても良いんだぞ?」
馬「……もう、だいじょぶです。」
ナギの声を聞くと不思議と安心出来たので、馬は小さく深呼吸をしてから話の続きをする。
馬「その人が言い伝えの怪物だと気付いた時にはもう遅くって、バッチリ目が合っちゃったんですよね……殺気って言うんですかね、とにかく好意的ではないオーラを全身から放ってて、面食らっちゃいました。」
ナギ「………………」
ナギは相変わらず無言で聞いている。
馬「動けない私に気付いた弟が、すぐに命綱を引き上げてくれて、 私はソレから逃げる事が出来ました……
アレに会っちゃうと自分ではどうすることも出来ないっすね。
それ位のオバケと言うか、邪悪な神様って感じだったから…」
馬の手が恐怖に震えている。
そんな彼女の手を、ナギは空いてる方の手で包んでやった。
馬「さぁ!ここからはトンデモ話の連発ですよ?」
ナギ「……あぁ。」
馬「オーケー、話しますね。
陸に上がってから、お婆さんに言ったんです。 『トモカヅキ』を見たって。
そしたら、村の掟で『トモカヅキ』を見た人間は巣潜り業を引退して『海巫女』にならなければいけないんですって……さっきも言った霊媒師みたいなみたいな職業の事です。
その日からお婆さんの仕事の手伝いを本格的にするようになりました。」
ナギ「…………」
馬「さっき、私が見た『トモカヅキ』は言い伝えと少し違ったって言ったでしょう?
お婆さんに私が見たモノを詳しく説明したら、服装からして元海巫女の『トモカヅキ』じゃないかと言われたんです。
海巫女の『トモカヅキ』を見る人間は百年に一度いるかいないからしくって、 見た人はさらに特別な巫女になるんだそうです。」
ナギ「特別な…って、実際に何か変わったのか?」
馬「まず、勘が鋭くなりましたね。 昔から勘だけは優れていたのですが、それ以上になりました。」
ナギ「………確かに、お前の回避率は異常だな。」
シャハイ島でのドッジボールの件から始まり、普段の行動にも当てはまっていた。
馬「そうなんです、何となく障害物が何処から来るかわかるんですよね。
で、勘の次に、人の目を見ればその人に迫る危険がわかるようになりました。」
ナギ「……アレか。」
こちらの能力もシャハイ島で初めて知り、今回の漂流事件の時にもナギ自ら体験している。
馬「この能力は村の言葉で『幸黄泉』って言うらしいです。
老衰には対処出来ないけど、漁に出る者からしたらとても大切な力です。
なんせ不慮の事故を防げますからね。」
ナギ「…………………」
馬「お婆さんが健在の間は私はただの霊媒助手兼、事故防止アドバイザーみたいな立場でした。 けど……」
ここから先の話はナギには話し難い内容となる。
しかし、握られた彼の手の温もりに後押しされて、今なら話せる気がした。